なかなか本命と呼べるような機種が発売されなかったWindows 10 Mobileですが、やっと本命とも言える機種がHPから発表されました。
しかし、企業向けです。
未だにベータ版のWindows 10 Mobile
Windows 10 Mobileについて現状を整理した記事がASCII.jpに掲載されています。
- いまだ開発が続いているWindows 10 Mobileの現状を整理(ASCII.jp)
内容はWindows 10 MobileとWindows 10デスクトップ版との違いなどについて細かく説明されているのですが、問題は未だにWindows 10 Mobileは正式版にはなっていないことです。
既にWindows 10 MobileのスマホはSIMフリー版として各メーカーから発売されていますが、そこにインストールされているWindows 10 Mobileは未だにInsider Previewとのことです。
昨年、ドスパラの発表会で担当者に聞いた時も、正式版ができるのは2016年1月の予定と言っていたのを不思議に思っていたのですが、このような状況だったようです。
Continuum対応機発売
昨年、Surface Pro 4やSurface Bookの発表と同時にLumia 950/950 XLが発表され、そこでContinuumを盛んにアピールしていました。
しかし、Lumia 950/950 XLは日本では発売されず、その後日本で発売されたWindows 10 Mobileはすべて普及機で、Continuumに非対応のものでした。
それも当然です。高機能にすれば発熱が酷くなり、頻繁に熱暴走することで有名だったNECのスマホや、火傷しそうに熱くなるXperia Z4などのように製品化が難しいからです。Lumia 950/950 XLはスマホなのに水冷機構を搭載することで問題を解決していました。
そして今年に入って、Continuumに対応した製品が何機種か発表になっています。でも、それらはすべてSIMフリーでキャリアがついていない機種ばかりでした。
そこにいよいよ本命とも言える製品が発表になりました。
- 日本HP、史上最高スペックのWindows 10 Mobile搭載スマホ「Elite X3」(PC Watch)
- HP、Windows 10 Mobileスマホ「Elite x3」を発表 日本でも2016年夏頃に発売予定(ITmedia)
- ノートPC型ドックと連携可能なWindows 10 Mobile搭載スマホ「HP Elite x3」が日本でも登場(GigaZiNE)
そして、HPのWindows 10 MobileはKDDIから法人向けに発売されます。KDDIということですのでAU網となります。
- KDDI、HPのWindows 10スマホ「Elite x3」を法人向けに発売(PC Watch)
- 国内初VoLTE対応Windows10 Mobileスマホ「HP Elite x3」 KDDIが夏発売(ITmedia)
同日、マウスからも発表になっていますが、こちらはキャリアが付いていないSIMフリー版です。
- マウス、「MADOSMA」にフルHD液晶/メモリ3GBの上位モデルを追加(PC Watch)
- マウス、Windows 10スマホ「MADOSMA」に上位機を追加――6型フルHD液晶+Snapdragon 617+3GBメモリ(ITmedia)
- MADOSMAのContinuum対応上位機Q601が発表。6型フルHD液晶にスナドラ617、RAM 3GBの充実装備(engadget)
Microsoftが売りたいのがどちらかは明確でしょう。Microsoftは法人しか相手にしていませんので、HP+KDDIの方を売りたいのは明らかです。
騒いでいるのは周りだけ
こちらの記事にもありますが、未だにユニバーサルWindowsアプリは使い物にならないそうです。
そして、Continuumで実現されるのはWindows 10のデスクトップではなくWindows 8のデスクトップです。ユニバーサルWindowsアプリはフルスクリーンでしか実行できないとのことです。Windows 10でウィンドウで実行できるようになった利点が失われています。
- Windows 10 Mobileに萎えるのはなぜか(PC Watch)
MicrosoftはWindows 8そしてWindows 8.1でAppleやGoogleと真っ向勝負することは諦めて、自社の本来の強みである法人向けに注力することにしたと思われます。それはWindows 8で全面廃止したスタートボタンを復活させデスクトップに全面回帰したWindows 10を見れば明らかでしょう。
一般向けにWindows 10 Mobileを普及させたければ、高級志向の日本にはLumia 950/950 XLを投入すればそれなりの需要は得られるでしょう。こちらの記事によると世界平均のiOSシェアは20%程度なのに日本だけ66%となっていることから高級志向というのはデータでも明らかです。
- 世界のスマホはAndroid優勢だが日本は変わらずiPhone/iOS(ASCII.jp)
しかし、Microsoftは自社製品は投入せずWindows 10 Mobileの完成度を高める開発を続けています。数社からWindows 10 Mobileが発売されましたが、Microsoftは「邪魔はしないから勝手にやって」とでも言っているようで、大手キャリアも見向きもしません。
今回大きく違うのは法人ビジネスに強いHPに大手キャリアのKDDIが付いたことです。これはMicrosoftが望む売り方です。
HP以前にVAIO Phone Bizが法人向けにdocomoとの協業とのことで発表会を行いました。しかし、VAIOという法人に弱いブランドを日本マイクロソフトの平野氏を招いて補おうとしている時点で失敗が見えています。
- VAIO、ドコモと協業で法人向けにVAIO Phone Bizを展開(PC Watch)
発売は夏以降とのことですので、Windows 10 Mobileの完成はWindows 10の次期大型アップデートであるRS1と同時になる可能性が高いでしょう。
まとめ
Windows 10 Mobileは法人向けに開発されていることは確かでしょう。
Windows 10 Mobileは、デスクトップ版Windows 10やOffice 365やOneDriveなどのクラウド環境との連携も使い易いでしょう。
HPは直販などで一般向けにも販売したいとのことですので入手は可能でしょう。
しかし、コンピューターはソフトが無ければ使い物になりません。実際にWindows 10 Mobileが発売されてもユニバーサルWindowsアプリは増えず、今後も期待できません。こちらの記事では唯一の欠点がWindows 10 Mobileであることとまで言われています。
- HPのElite x3はモンスタースマホ…なのにWindows搭載(GIZMODO)
人柱になりたくなければ、Windows 10 Mobile関係のニュースに踊らされないよう注意した方がよいでしょう。
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