パソコンは性能が2倍になる毎にシステムを組み換えてきましたが、クロックが4GHz以上に上げられなくなり世代が変わっても性能が大きく伸びなくなって組み換えのペースも落ちました。
今回も第3世代Core i7-3770Kから第6世代Core i7-6700Kへの乗り換えで長いこと迷っていたのですが、Windows 10の無償アップグレードが終わることもあり乗り換えることにしました。
実際に乗り換えてみるとスペックでは分からない意外なメリットがありました。
Core i7-3770KとCore i7-6700K
まず基本スペックから。
- Intel Core i7-6700K Processor (8M Cache, up to 4.20 GHz)(Intel)
- Intel Core i7-3770K Processor (8M Cache, up to 3.90 GHz)(Intel)
- 比較(Intel)
大きな違いはプロセスが22nmから14nmと微細化が進んだことです。電力的に余裕が出たことでブースト時の周波数は3.9GHzから4.2GHzに向上しましたが、TDPは77Wから91Wに上がっています。
第3世代Core iから第6世代Core iと3世代も変わったことで性能も大きく向上したと思われるかもしれませんが・・・。
性能比較
これはCore i7-3770KでのCPU-Zの測定結果ですが、Core i7-6700KはCore i7-3770Kに対して約26%の性能アップということがわかります。
こちらはCore i7-6700KでのCPU-Zの測定結果ですが、Core i7-6700KはCore i7-4790Kに対して約18%の性能アップということがわかります。
このように世代が変わって、TDPも上がったにもかかわらず、性能はあまり向上していないように感じます。
18%や26%の向上をどう感じるかは人によると思いますが、最近のメディアは売ること優先で数%の向上でも大きな変化と扱っている物が多いようです。
Intel HD Graphics 530
では、増えた電力はどこに使われているのかと言えば、Core i7-6700Kに内蔵されたIntel HD Graphics 530です。
Core i7-3770KのIntel HD Graphics 4000は測定していないので、現状の標準的な環境との比較ということで3DMarkのSky Diverの結果です。
Core i7-6700K単体での性能はこのぐらいでした。
一般的なOffice PC(2013)よりは速いようです。2013年とのことで第4世代Core i搭載機との比較のようです。
ちなみに、このシステムにGeForce GTX 960を積むとこのぐらいになります。
Core i7-6700Kの意外なメリット
性能も2割強の向上、ゲームをやるならGPUを積まないと満足な性能は出ない(Officeを使うなら十分)ということで、第3世代、第4世代のCore iを使っているなら買い換えるメリットは少ないように思えます。
買い換える前に懸念していたことであり、実際に購入して測定しても、それを裏付けるデータしか取れませんでした。
ならば、第6世代Core iに買い換えるメリットは無いのかと言えばそうとも言えません。
今回、Core i7-6700Kでパソコンを組み立てている時、BIOSでCPU温度を確認すると30度でした。あまりにも低いのでセンサーが故障しているか、プロセスが変わったからなのか、あまり気にしていませんでした。
一通りシステムを組み上げWindows 10をインストールしていろいろ調べていると意外な事実が分かりました。
アイドル状態でのCPUの温度は、やはり30度でした。室温は26度です。
これはプロセスが微細化されたからではなく、クロック周波数を落とすことで実現していました。アイドル時のクロック周波数は760MHzです。
負荷をかけると、4.16GHzまで上がります。
この時のCPU温度は54度です。
(上記の測定は5月ですが夏になり室温30度で暫く使っていたところアイドル時は40度、高負荷時は64度になりました)
Core i7-6700Kは760MHzから4.16GHzまで負荷状況によりダイナミックにクロック周波数が変わります。
この可変範囲は従来のCPUより広く、Core i7-3770Kなどはアイドル時でも2GHz以下には下がらなかったと記憶しています。
このことによりシステム全体のアイドル時の消費電力が大きく下がりました。
システムはパソコン本体の他にディスプレイ2台、RAID5外付けHDD 1台で構成されており、従来はアイドル時でも200W以上ありましたが、Core i7-6700Kにしてから148Wに下がりました。
パソコン本体以外で100W程度食いますので、Core i7-6700Kにしたことでパソコン本体の消費電力は半減したことになります。これはシステム全体に電気を供給するUPSの画面です。
ブラウザーでサイトを見たり、メールを書いたりしているだけでは、2GHzを超えることはありません。しかし、動画のエンコードなど高負荷の作業を始めると最高速度で動作します。このメリハリはレスポンスがよく、使っていて気落ちが良いです。
サーバー用途などで使わなければ、アイドル状態の占める割合は結構大きいので電気代が下がることが期待できます。
なお、話の前提として私のパソコンはIntelの液冷システム(RTS2011LC)を使っているので、空冷の場合はプラス5~10度ぐらいで考えてください。
低消費電力に魅力を感じない場合
電力の低下に魅力を感じない場合、第3世代以降のCore iを使っているならSkylakeに買い替えるメリットは少ないでしょう。
ただ、そうなると第7世代Core iのKaby LakeのCPUコアはSkylakeと全く同じですのでCPUの性能向上は期待できません。Kaby Lakeで向上するのはまたもグラフィックだけです。CPUとしての性能向上は第8世代以降に期待することになります。
まとめ
Core 2 Quadを使って動画をエンコードしているとCPU温度が80度を超えてアラートが鳴り冷やすのに苦労しました。
Core i7-3770Kに変えてから飛躍的に温度が下がり、今回Core i7-6700Kにしたことで消費電力も下がりました。
白物家電は古いものを使い続けるより、新しいものに買い替えた方が電気代を含めるとお得だとよく言われますが、パソコンにも当てはまるようです。
パワーが欲しいから最高速のCPUを買うのにクロックが低いことがメリットとはおかしな話かもしれません。
しかし、電気を食うからと低スペックのノートで我慢しなくとも、簡単な作業から高負荷なエンコードまで1台のパソコンでこなせるのはCore i7-6700K(Skyklake)の魅力です。
なお、Core i7-6700Kなど最近のCPUはクーラーが別売りのものがありますので、CPUを買うときにCPUクーラーを買い忘れないようにしてください。
コメント