iOS10の「非公開ネットワーク」に対する「セキュリティに関する勧告」はAppleの方便(追記)

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iOS 10に更新したiPadなどを非公開のWi-Fiに接続していると「セキュリティに関する勧告」が表示され、公開設定に変更するよう指示されます。

しかし、これはAppleの訴訟リスクを減らすための方便です。

iOS 10でWi-Fiに「セキュリティに関する勧告」が

iOS 10.0.2にアップグレードしたiPad ProのWi-Fi設定を見てみるとこのような表示がありました。

同じiOS 10.0.2のiPhone 6 Plusには表示されていません。どうも、2015年秋以降に発売された製品にしか表示されないようです。

iOS10-Stealth-WiFi-risk-01

問題となっているWi-Fi設定を見てみると、このような表示があり「非公開ネットワーク」(ステルス設定)が問題のようです。

iOS10-WiFi-security-02

「Wi-Fiの推奨設定に関する詳しい情報…」とある部分をクリックすると下記のサイトが開かれます。

この説明を読むと「非表示のネットワーク」と言う項目があり、接続性の問題についての説明はありますが、プライバシーに関する説明はありません。

「個人を特定できる情報が外部にもれる可能性」とは

説明が無いので推測となりますが、このように考えることができます。

今のモバイル機器は位置情報データベースを作成するためにWi-Fiの情報を常にサーバーにアップしています。

例えば、ここに5台のiPhoneがあり、それぞれのiPhoneが検出したWi-FiのSSIDがこのようになったとします。

iPhone名 A B C D E
検出SSID AAA
BBB
DDD
EEE
AAA
BBB
DDD
EEE
AAA
BBB
CCC
DDD
EEE
AAA
BBB
DDD
EEE
AAA
BBB
DDD
EEE

iPhone CだけがCCCというSSIDを検出していることからCCCは非公開ネットワークであり、iPhone Cの所有者はCCCのネットワークの関係者であることが分かります。CCCのインターネット側IPアドレスから所有者を特定することができるかもしれません。

しかし、iPhoneが通信に使用しているSSIDはアプリから分かりますので、iPhoneと利用しているSSIDの対応を明示するとこのようになりました。

端末名 A B C D E
検出SSID AAA
BBB
DDD
EEE
AAA
BBB
DDD
EEE
AAA
BBB
CCC
DDD
EEE
AAA
BBB
DDD
EEE
AAA
BBB
DDD
EEE

結局、非公開ネットワークとすることが「個人を特定できる情報が外部にもれる可能性」が高まる理由にはならないのです。

Appleの目的は訴訟リスクを減らすこと

先ほどの推奨設定の「非表示のネットワーク」の部分を読むとAppleの狙いが見えてきます。

引用すると、こうあります。

非表示のネットワーク

非表示のネットワークでは Wi-Fi 経由で SSID がブロードキャストされません。このオプションは「非公開」ネットワークと呼ばれる場合があります。また、非表示ではない状態が「ブロードキャスト」または「公開」ネットワークと呼ばれる場合もあります。

設定値:無効

詳細:非表示のネットワークは SSID をブロードキャストしないため、デバイスがネットワークを見つけにくくなります。そのため、接続するまでに時間がかかったり、自動接続の信頼性が低下する恐れがあります。ネットワークを非表示にしても、SSID をほかの手段で入手することは依然として可能なため、お使いの Wi-Fi ネットワークを保護したことにはなりません。セキュリティはほかの設定によって強化できます (下記の「セキュリティ」の項目を参照してください)。

この文章には省略されていると思われる部分があり、追加するとこのようになります。

詳細:非表示のネットワークは SSID をブロードキャストしないため、デバイスがネットワークを見つけにくくなります。そのため、接続するまでに時間がかかったり、自動接続の信頼性が低下し、意図せず「Wi-Fiアシスト」が動作してモバイルデータ通信を利用する恐れがあります。

すなわち、下記のような事態を防ぐことが目的と考えられます。

要は、Wi-Fiアシストが悪いのではなく、非公開ネットワーク(ステルス設定)にしているのが悪いと言いたいようです。

したがって、公開ネットワークに変更する必要はありません

Appleの指示通りに変更するとセキュリティレベルは確実に下がります。ただしWi-Fiアシストを適切に設定していないと無駄な出費が発生しますので下記を参考にして設定してください。

iPhone 6s以降でしか表示されない理由

2015年秋以降発売の製品でしか表示されないのは、それ以前に発売された製品に搭載されたWi-Fiチップでは非公開ネットワーク(ステルス設定)と公開ネットワークとの違いをiOSで検出できないためと思われます。

Wi-Fiチップの変更により、非公開ネットワークへの接続性が悪くなった可能性はあります。

iPhone 6ではMurata製でしたが、iPhone 6sではUniversal Scientific Industrial製になり、iPhone 7では別の型番のMurata製に戻っています。

Wi-Fi環境なのに4Gになっていたら

iPhoneやセルラータイプのiPadの場合、「Wi-Fiアシスト」によってWi-Fi環境でも受信状態が悪いと自動で4Gに切り替わる場合があります。

このような場合の選択肢は4つです。

  1. Wi-Fiアシスト:オン、公開ネットワークに切り替え
  2. Wi-Fiアシスト:オン、非公開ネットワークのまま
  3. Wi-Fiアシスト:オフ、公開ネットワークに切り替え
  4. Wi-Fiアシスト:オフ、非公開ネットワークのまま

1.がAppleの推奨です。インターネットが使えなくなることはありませんが、セキュリティが低くなります。

2.はセキュリティは高いですがWi-Fiへの接続性が悪くなるため4Gの容量を無駄に使います。

3.はセキュリティは低いですが4Gの容量を無駄に使うことはありません。

4.はセキュリティは高いですがWi-Fiへの接続性が悪くなり4Gも使わないため、インターネットを使えなくなる場合があります。

インターネットが使えることが優先なら1、4Gの容量の節約が優先なら3か4ということになります。

ネットワークの公開/非公開はセキュリティに対する考え方なので自分のポリシーで選んでください。

なお、「Wi-Fiアシスト」を「オフ」にする場合は以下のように設定します。

「設定」アプリを開き、「モバイルデータ通信」をタッチします。

0SIM-11

画面を下までスクロールします。

0SIM-12

「Wi-Fiアシスト」がありますので「オフ」にします。

0SIM-13

電波状況は無線LAN親機の寿命近隣住居からの干渉、電子レンジ、無線マウス、固定電話の子機、降雨などいろいろな要因で悪化します。そのような状況は早期に発見して改善すべきですが、この機能を有効にしていると気付くこともなく4G容量を無駄に使うことになります。

「Wi-Fiアシスト」を「オフ」にして「非公開ネットワーク」を利用していると、Wi-Fiにも4Gにも接続できないためインターネットが使えなくなる場合があります。その場合は設定のWi-Fiで「非公開ネットワーク」に手動で再接続する必要があります。

まとめ

説明にあるように非公開にしてもSSIDを検出する方法はありますが、公開にすることでセキュリティリスクは確実に増大します。

Appleの説明どおりに公開にしてもすぐには問題にならないでしょう。しかし、マンションなどで近隣から長期間パケットを採取できる環境では、Wi-Fiをタダ乗りされるリスクが高まることは理解しておく必要があります。

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2 comments

  • inshin

    この記事の内容はおそらくAppleの意図している内容ではありません。
    Appleはおそらく、非表示のSSIDを端末に登録すると、その端末は外出先などでも常にそのブロードキャストされていないSSIDを探そうとして、結局SSIDの情報が反対に広範囲に端末がブロードキャストしてしまうことを言っているのではないでしょうか。
    また、常にブロードキャストされていないSSIDを探索するため、より多くの電力を消費するデメリットもあります。

    • Solomon

      コメントを頂き、ありがとうございます。

      まず、iOS機器のWi-Fiはモバイルルーターなどと違い、1回路しか搭載されていません。

      そのため、親機を通して通信するか、3G/4G/LTEなどのWAN回線をテザリングとして中継するかのどちらかの用途でしか使えません。2.4GHzと5GHzも同時には使えません。

      したがって、Wi-Fiを中継することはできませんので、非表示のSSIDをブロードキャストすることはありません。

      電力に関して、登録されているSSIDだけを探しているわけではないことは、Wi-Fiを見ると知らないSSIDがたくさん表示されることから明らかです。

      Wi-Fiをオンにしている限り常に接続先を探しているので、非表示のSSIDを登録することが消費電力の増加につながることにはなりません。

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