Windows 10ではバージョン1511からデジタルライセンスによる認証が導入され、一度認証してしまえばプロダクトキーは不要となりました。
利用者にとってはメリットもデメリットもあるわけですが、デメリットが第三者にとってのメリットになる場合もあります。
Windows 10のデジタルライセンス
当初、Windows 10はインストール時にプロダクトキーを入力してインストール完了後にネットワーク経由または電話でライセンス認証を行う必要がありました。
これは今までのWindowsと同様の方法でクリーンインストールするたびにプロダクトキーを探す手間がかかって非常に面倒でした。
Windows 8からはメーカー製パソコンに関してはBIOSに記録されたプロダクトキーを使ってライセンス認証を行うOEMライセンス認証3.0という仕組みが導入されましたが自作パソコンではこの方法は使えません。
しかし、Windows 10 バージョン1511からデジタルライセンスというものが導入されました。
従来はMicrosoftのライセンスサーバーはプロダクトキーとパソコンの固有情報の紐づけを管理するだけでした。
ライセンスサーバーは送られたプロダクトキーとパソコンの固有情報の組み合わせが存在しないと新規登録してそのパソコンのライセンス認証を行います。
しかし、送られたプロダクトキーが既に登録されていれば、ライセンス認証を拒否していました。
デジタルライセンスではその登録情報を積極的に利用して、送られたパソコンの固有情報で検索して既に登録されているものならライセンス認証を完了させてしまいます。
この仕組みにより、一度ライセンス認証を完了してしまえばMicrosoftが許容するパソコン固有情報の変更可能範囲を超えない限り、クリーンインストールしてもプロダクトキー無しでライセンス認証は完了します。
デジタルライセンスのメリット
メーカー製パソコンでは、パソコンを購入時の状態に戻してもライセンス認証が外れることはありません。
自作パソコンやショップブランドパソコンなどでは従来の仕組みでは無理でしたが、デジタルライセンスの導入により通常使用ではライセンス認証が外れることは無くなりました。
デジタルライセンスのデメリット
自作パソコンやショップブランドパソコンの良いところは、自分でパーツを組み替えてパソコンの性能を強化できるところにあります。
Microsoftが許容するパーツ変更範囲が明確ではないため、時々ライセンス認証が外れてしまう場合があります。
従来は電話で再度ライセンス認証することも可能でしたが、Windows 10 バージョン1607以降では電話でライセンス認証ができない場合もあります。できる場合とできない場合があるのですがその区別は正確には分かりません。
これはMicrosoftが進めているライセンス認証業務の効率化(サポート窓口の対応日と時間帯の縮小)に関係するものです。
ただし救済策は用意されています。
デジタルライセンスはパソコンの固有情報だけでなくMicrosoftアカウントへの紐付けも可能となりました。
そしてMicrosoftアカウントへの紐付けを用いて再度ライセンス認証を行う仕組みも導入されました。
しかし、この紐付けで再度ライセンス認証が完了することは稀でほとんどの場合は失敗します。
こうなるとMicrosoftのサポートに問い合わせるしかありません。
- ライセンス認証(Microsoft)
問い合わせてもライセンス認証は完了せず、原因不明でプロダクトキーを再発行してもらうことが多いようです。
第三者にとってのメリット
電話で再度ライセンス認証が行える場合、問題となるパソコンの固有情報からライセンスを引き剥がして新しい固有情報に紐付けしなおすことができました。
しかし電話認証できずプロダクトキーを再発行してもらった場合、元のパソコンに紐付いたままとなります。
ライセンス認証のやり直しは同じパソコンとは限らず、故障して修理に出したら交換となりパソコンの固有情報が変わってしまう場合もあります。
元のパソコンは修理されてリサイクルパソコンとなるか中古市場に流れます。
また、パソコンを売却する場合でもプロダクトキーの引き剥がしができませんので紐付いたままとなります。
これらのパソコンを入手した場合、ライセンス上は利用権が無いのですがライセンス認証は完了してしまいます。
したがって、自作パソコンの場合、第三者にとっては新品より中古の方がメリットがある場合もあるのです。
まとめ
デジタルライセンスの仕組みは問題が発生していない場合はよいのですが、いざ、問題が発生すると解決までに非常に手間がかかります。
しかも、中古パソコン市場には新たな恩恵を与えてしまっています。
中古パソコンに試しにWindows 10 Proをインストールしたらライセンス認証が通ってしまったという記事も見たことがあります。
利用権はありませんがそのまま使っている人も多いのではないでしょうか。
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