SIMロック解除の義務化と2年縛りの見直し

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一般紙にこのような見出しの記事が掲載されました。

どうも、論点がずれているような気がします。

SIMロック解除の義務化

iPhoneではSIMロックをかけていると言っていますが、既にApple StoreではSIMフリー版iPhoneが販売されています。では、何故、みんなApple Storeで買わないのかというと、iPhoneの本来の価格が、高過ぎるからだと思います。

携帯大手3社でiPhoneを買えば、ドコモなら「月々サポート」という名目のキャッシュバックがあり、2年間のキャッシュバックと端末代金を相殺することで実質無料(機種によっては安価)でiPhoneを購入出来ることになります。

「月々サポート」はサービスであり、2年縛りなどは無く、解約は自由です。ただし、以後「月々サポート」でのキャッシュバックが無くなるため、分割で購入した場合は負債が残ります。

ソフマップなどの中古買い取り窓口では、携帯電話を売りに来た人が、残債があるために買い取りを断られているのをよく見ます。

今の携帯端末の売り方は、月々の家賃より、買った方が月々の返済は少なくて済みますよと不動産を買わされ、何千万円もの負債を背負うことになる売り方と手口は同じです。分割で購入した場合、完済するまで所有権が購入者に移転しないことを説明していないのです。

ドコモで売るiPhoneがSIMフリーになれば、そのiPhoneを持ってソフトバンクにMNPで移ることも出来ます。ですが、「月々サポート」が無くなり大きな負債を抱えてMNPすることになります。

今、MNP時に行われているキャッシュバックは、2年縛りによる違約金を肩代わりするものであり、端末代金の負債を肩代わりするものではありません。スマホを使っている人が、月々の高額な通信料金に加えて、端末の負債まで抱えてMNPをするでしょうか。

SIMロックを解除しても、端末の価格が下がらなければMNPで移りやすい環境にはならないでしょう。しかし、SIMロックが解除されるということは、同じ端末を長く使うことになり、新しい端末が売れなくなるので、端末の値段は上がることになります。

2年縛りの見直し

2年縛りは、ソフトバンクがiPhoneを売るために始めた商慣行ですが、他社も申し合わせたように同じことを始めました。

一方、MVNOは通信料金が安いことに加えて、縛りが無いことを売りとしています。しかし、TVでCMを流しても、なかなかMVNOに移行する人は増えません。

この記事で言われているようにキャリアメールの問題もありますし、何と言っても、MVNOはキャリアショップが無いので、自己解決出来るか、誰かにサポートしてもらえる環境が必要です。そのようなスキルや伝手が無い場合、有料サポートを契約するぐらいなら、大手キャリアと契約するでしょう。

このような状況で、大手キャリアの「2年縛り」をやめさせたら、MVNOのメリットは「安い」だけとなり、価格競争になれば体力勝負でMVNOが勝てることはありません。

また、大手キャリアは2年間、自社に縛りつけることが出来なくなれば、もっと短期間に回収する戦略を立てて来るでしょう。契約手数料の値上げ、基本料金の値上げ、オプションプランの義務化、割り引きサービスの削減、やれることはいくらでもあります。

そうなれば、状況の変化に疎い長期契約者は、ますます、何もしなくなります。今回のドコモの値上げでも、安く済ませる最善の方法は、契約を変えないことです。

まとめ

一見、利用者にとってメリットが大きいような、SIMロック解除の義務化と2年縛りの見直しですが、大手キャリア、端末メーカー、MVNO、それぞれの微妙な力関係を崩すことで大手キャリアが暴走し、結果的に利用者の料金に跳ね返ってくるデメリットの方が大きいように思います。

そんなことよりも、際限無く高機能化が続く携帯端末の進化をやめさせて、価格を下げることや、無駄な広告で際限無く通信帯域を食い尽くすことをやめさせて、通信費用を下げさせることなど、先にやるべきことは沢山あるはずです。

スマホにより便利にはなりましたが、考えることをしなくなり、生物としては退化し始めているのではないかと思うことがあります。

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