日本で販売されているパソコンの殆どにMicrosoft Officeが付いています。
このMicrosoft Officeですが、今年の初めから製品内容が変わってきています。
その違いに気付かずにパソコンを購入すると余計な出費につながる場合もあり、注意が必要です。
概要
Microsoft製パソコンであるSurfaceシリーズが、今年の初めあたりから型番が変わったものに置き換わっています。
これはハードが変わったのではなく、Windows 10のバージョンの変更に合わせて添付されたMicrosft OfficeがOffice PremiumからOffice 2016に変わっています。
これはSurfaceだけではなく、国内で販売されているWindows 10パソコンも徐々に変わってきています。
このMicrosoft Officeの変更は非常に大きな問題なのですが、そもそもMicrosoft Officeの種類による違いが分かり難いと思いますので、種類と、それぞれのメリットとデメリットについて説明します。
また、それを踏まえて、どうすれば良いかを考えます。
Microsoft Officeの種類
現在販売されているMicrosoft Officeには大きく分けて4種類あります。
- Microsoft Office Premium
- Microsoft Office 2016
- Microsoft Office 365 Solo
- Microsoft Office Mobile
それぞれエディションの違いで使えるソフト(Excel、PowerPoint、Wordなど)に違いがありますが、詳細はこちらの記事を参照願います。
ここでは重要なライセンス、アップグレード、機能追加などの違いについて説明します。
まず、表にするとこのようになります。
Office Premium |
Office 2016 |
Office 365 Solo |
Office Mobile |
|
---|---|---|---|---|
パソコン添付 | あり | あり | 無し | あり (1年限定) |
単体販売 | 無し | あり | あり | 無し (365 Solo付属) |
ライセンス | 永続 | 永続 | 契約期間 | 契約期間 |
ライセンス の移動 |
不可 | 単体製品 なら可能 |
可能 | 可能 |
アップグレード | 無料 | 無し | 無料 | 無料 |
機能追加 | あり | 無し | あり | あり |
クラウド サービス (OneDrive) |
あり (2年目 以降有料) |
無し | あり | あり |
Office MobileはiPad、iPhone、Androidなどのモバイル端末で利用できるOfficeなのでここでの説明は省略します。
問題は、Office 2016、Office 365 Solo、Office Premiumの違いです。
Office 2016
Office 2016は一度購入すれば、ずっと使える「永続ライセンス」です。パソコンに添付されていれば、そのパソコンを使っている限り使えます。単体製品を買ったならパソコンを買い替えても新しいパソコンに移すことができます。
ただし、今秋発売予定のMicrosoft Office 2019にはアップグレードできません。また、逐次追加されている様々な機能は使えません。また、Office Mobileの利用権やOneDriveなどのクラウドサービスの利用権はありません。
Office 365 Solo
Office 365 Soloは「期間契約」なので、使い続けるには利用料を払い続ける必要があります。ただし、パソコンを買い替えても新しいパソコンに移すことができます。
そして、今秋発売予定のMicrosoft Office 2019にアップグレードできます。また、逐次追加されている様々な機能を使えます。また、Office Mobileの利用権やOneDriveなどのクラウドサービスの利用権も付いています。
Office Premium
このようにOffice 2016とOffice 365 Soloはメリットとデメリットが相反する製品となっています。
では、Office Premiumはどうかというと、一度購入すれば、添付されたパソコンを使っている限りずっと使える「永続ライセンス」です。
そして、今秋発売予定のMicrosoft Office 2019にアップグレードできます。また、逐次追加されている様々な機能を使えます。また、Office Mobileの利用権やOneDriveなどのクラウドサービスの利用権は1年分付いています。2年目以降も使いたい場合は、別途Office 365 Serviceという期間契約を購入し続ける必要があります。
このようにOffice Premiumは、Office 2016とOffice 365 Soloの「いいとこ取り」な製品となっています。
Microsoft Office Premiumの提供終了
昨年発売になったSurface Laptopは、それまでのSurfaceシリーズと異なりOffice PremiumではなくOffice 2016が添付されていました。
Surface Laptopは、Windows 10 Sという機能が制限されたWindows 10が搭載された特殊な製品だったためのようで、昨秋に発売になったSurface Book 2の13.5インチタイプにはOffice Premiumが添付されています。
しかし、今年の2月からSurfaceシリーズが順次新しい型番のものに置き換わっています。それらは添付されるOfficeは、Office 2016に変更されています。
これらの状況についてMicrosoftの製品担当にお聞きしたところ、正式に発表はしていないが、今後Office Premiumは無くなり、すべてOffice 2016に置き換わるとのことでした。そしてこれはSurfaceシリーズだけの話ではなくMicrosoft Officeが添付されるパソコンすべてが対象とのことでした。
そのため、Office Premiumは既に市場在庫だけとのことです。
アップグレードパス
ただし、Office 2016が添付されたパソコンには「アップグレードパス」が用意されているそうです。
あるタイミングでポップアップが表示され、Office 2016からOffice 365 Soloへのアップグレードが提案されるそうです。これは無償ではありませんが、Office 365 Soloを購入するより安く提供されるそうです。
このポップアップが表示されるのは、今年になって発売されたOffice 2016が添付されたパソコンに限られるそうで、昨年発売になったSurface Laptopは対象外とのことです。
利用者にとっての最善な選択とは
Office Premiumが添付されたパソコンを購入するメリットとは、
- そのパソコンを使い続ける限りOfficeをずっと使える(永続ライセンス)
- Officeを買い替えなくても、最新の機能が使える(無償アップグレード)
- 2年目以降クラウドサービスを使わないならOffice 365 サービスを購入しなくてよいので追加費用はかからない(クラウドサービスは別売り)
ということになります。
これらのメリットを享受するには、Office Premiumはパソコン添付製品のため、パソコンが古くなり性能が不足しても使い続ける必要があります。
しかし、Microsoft Officeは3年ごとに新しいバージョンが発売になりますので、3年、6年とそのパソコンを使い続けることが可能かどうかには疑問があります。
モバイルパソコンのバッテリーは長くて3年で寿命がきます。今は内蔵型で交換できませんので修理扱いとなります。
CPUも3年経てば飛躍的に性能が向上します。
それならば、パソコンが古くなったタイミングで、Officeごと買い替えることを考えれば、Office Premiumに固執することは無いかもしれません。
ただ1点だけ注意点は、今年の秋にはOffice 2019が発売される予定だということです。
最近のOffice Premium搭載パソコン
あまり、Office Premiumに固執する必要は無いと思われます。
しかし、今年に限ってはOffice 2019への無償アップグレードを活かせるため、Office Premium搭載パソコンも良いかもしれません。
既に市場在庫だけとなっていますが、まだ、入手可能です。
また、ボーナス商戦で新型が発売されるとOffice Premiumが搭載されたパソコンも在庫処分で出てくるかもしれません。
注意点は中古品は絶対に買わないようにしてください。Office PremiumはMicrosoftアカウントに紐付けるため、元の所有者に紐付いています。そのため中古品に添付されたOffice Premiumは使えません。
Surfaceシリーズ
Microsoft直営店であるMicrosoft Storeは、すべてOffice 2016が添付されたSurfaceに置き換わっています。
- Microsoft Store
Amazonに関してはマーケットプレイスがあるので、まだ少し在庫があるようです。ヨドバシについては在庫が無い製品でも、時々、入荷する場合があります。
- HGG-00004 Surface Pro
タイプカバーブラック セット [FJR-00014 Surface Pro(サーフェス プロ) Core m3/128GB/メモリ4GBモデル + FMM-00019 Surface Pro タイプカバー ブラック](Amazon)(ヨドバシ) - HMW-00012 Surface Book 2 13.5インチ
第7世代 Intel Core i5/メモリ8GB/256GB/iGPU/Office Premium/シルバー(Amazon)(ヨドバシ) - HN4-00012 Surface Book 2 13.5インチ
第8世代 Intel Core i7/メモリ8GB/256GB/dGPU/Nvidia GEFORCE GTX 1050/Office Premium/シルバー(Amazon)(ヨドバシ) - HNL-00012 Surface Book 2 13.5インチ
第8世代 Intel Core i7/メモリ16GB/512GB/dGPU/Nvidia GEFORCE GTX 1050/Office Premium/シルバー(Amazon)(ヨドバシ) - HNN-00012 Surface Book 2 13.5インチ
第8世代 Intel Core i7/メモリ16GB/1TB/dGPU/Nvidia GEFORCE GTX 1050/Office Premium/シルバー(Amazon)(ヨドバシ) - FJR-00014 Surface Pro
Core m3/128GB/メモリ4GBモデル(Amazon)(ヨドバシ) - FJT-00014 Surface Pro
Core i5/128GB/メモリ4GBモデル(Amazon)(ヨドバシ) - FJX-00014 Surface Pro
Core i5/256GB/メモリ8GBモデル(Amazon)(ヨドバシ) - FJZ-00014 Surface Pro
Core i7/256GB/メモリ8GBモデル(Amazon)(ヨドバシ) - FKH-00014 Surface Pro
Core i7/512GB/メモリ16GBモデル(Amazon)(ヨドバシ) - FKK-00014 Surface Pro
Core i7/1TB/メモリ16GBモデル(Amazon)(ヨドバシ) - 42L-00013 Surface Studio
Core i5/1TB/メモリ8GBモデル(Amazon)(ヨドバシ) - 42Q-00012 Surface Studio
Core i7/1TB/メモリ16GBモデル(Amazon)(ヨドバシ) - 43Q-00013 Surface Studio
Core i7/2TB/メモリ32GBモデル(Amazon)(ヨドバシ)
HP
HPについては、まだ直営店でもOffice Premiumが添付された製品が販売されています。
ヨドバシを見る限り、まだ、Office 2016に切り替わった製品は無いようです。
NEC
NECについては、まだ直営店でもOffice Premiumが添付された製品の購入は可能です。ただし、新しい製品はOffice 2016に切り替わっています。
ヨドバシについても同様で、まだOffice Premiumが添付された製品が販売されていますが、一部製品はOffice 2016が添付された製品に置き換わっています。
富士通
富士通については、arrows TabだけがOffice 2016で、それ以外の製品はOffice Premiumが添付された製品が販売されています。
直営店およびヨドバシも同様です。
その他
東芝、ASUS、パナソニック、DELL、マウスコンピューター、VAIOについては、Office 2016への切り替えが始まっています。
Lenovoについては、まだ、Office Premium添付の製品だけのようです。
Acerは最近はKINGSOFT Officeを添付しているようです。
MSIはゲーミングパソコンなのでOfficeを添付していないようです。
全体的に見ると、世界的に販売台数の多いHPやLenovoはOffice Premiumの在庫がまだ十分にあり、生産台数を絞っているメーカーは在庫が無いためOffice 2016に切り替えたという事情のようです。
何故、Office Premiumをやめたか
Office PremiumはMicrosoft Officeの永続ライセンスと1年間のクラウドサービスを組み合わせた製品です。そのため、1年後にOffice 365サービスというクラウドサービスの延長権を購入する必要があります。(必須ではありません)
この「1年」という期限が分かり難く、「1年でMicrosoft Officeが使えなくなるのか?」という質問が多いそうです。
そしてOffice Premiumは日本でのみ販売されている製品だそうです。
これらの理由からOffice 2016という分かりやすい製品に置き換えたようです。
ただ、「Windowsはサービスである」と言っているMicrosoftは、Officeも期間契約のOffice 365 Soloに移行させたいのだと思われます。
盛んにOfficeに逐次追加された新機能を宣伝していますが、これらはOffice 2016では使えません。Office 365 Soloにアップグレードすることで利用できるようになります。
そして添付されるOffice 2016には、Office 365 Soloへのアップグレードパスが用意されています。
また、日本だけで販売されている製品ということで廃止されたなら、もうひとつの懸念点があります。
Microsoft Officeは、海外版では個人が使うための商品と業務で使うための商品が区別されており、個人用の商品を業務で使うことは使用許諾契約で禁止されています。日本向けの製品だけが業務での利用も可能となっており、これが廃止されると影響が大きいでしょう。
まとめ
「永続ライセンス」、「無償アップグレード」、「新機能」という特典を活かせるOffice Premiumは、もうすぐ市場から消えます。
しかしパソコン本体も、それほどは長くは使えません。
自分の買い替えるサイクルとOfficeの利用状況などを考えて、Office Premium搭載パソコンを買うのか、新しい製品を待つのか検討してみてください。
コメント
>Microsoft Officeは、海外版では業務利用が約款で禁止されています。
先ず、「業務利用」という言葉よりかは「商用利用」の方が一般的で分かりよいかと思います。
次に、この書き方では「MS Officeの商用利用ができるのは日本だけ」という意味に取れます。
海外では自宅や生徒向けの個人利用を目的としたバージョンと
ビジネスで利用できる商用利用目的バージョンとが明確に区分されており、
個人利用目的のバージョンで仕事・業務に関連した資料を作成・編集することが禁止されています。
つまり、海外版でも目的に合わせたバージョンであれば商用利用することができます。
もしSolomonがイスラエルの王に由来しているのなら、名に恥じない情報収集を頑張ってください。
コメントを頂きありがとうございます。
また、説明が不十分であったことをお詫びいたします。
ご指摘のように海外でも業務利用は可能であり、その場合は専用のOfficeを別途購入する必要があります。
この部分について文面を修正いたしました。
「業務利用」と「商用利用」ですが、どちらが一般的かは見解の相違です。Microsoftは「商用利用」という言葉を使っているのでニュースサイトも同じ言葉を使っています。
私は「商用利用」という言葉より「業務利用」の方がわかりやすいと考えるため、こちらは変更いたしません。厳密には意味は違いますが、そこまで正確に区別すべき案件なら直接Microsoftに問い合わせるべきです。
なお、恥じる、恥じないはともかく、Solomonの由来はソロモン王とは無関係です。