Hi-Res

Solomonレビュー[redémarrage]

「ハイレゾ」とは聴くものではなく感じるもの

 

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メーカーの宣伝に乗せられて「ハイレゾ」について間違った認識をしていました。

「ハイレゾ」には2つの要素があり、それらは全く別の効果があるようです。

DOS/V Power Reportの記事

メーカーの宣伝では「ハイレゾ」とは通常音源には含まれない超高周波音が含まれていることに意味があると言われ、そう思い込んでいました。

本当に違いがあるのか、ソニービルや量販店のウォークマンで試聴したり、ソニービルでのイベントで体験したり、実際にハイレゾ・ウォークマンとハイレゾ・ヘッドフォンを購入して確認したりしました。

結局に私には大きな違いを聴き分けることができず、個人差が大きい商品だと判断しました。

 

しかし、最近PC Watchにこのような記事がありました。

この記事自体はDOS/V Power Report 2017年11月号の宣伝です。

(Amazon)

この記事はDOS/V Power Reportの特集に関係する「ハイレゾ」について放送大学の仁科エミ教授に行ったインタービュー記事の抜粋です。本誌の記事は4ページしかありません。

仁科エミ教授はAmazonなどで検索してみると何冊か本を出されています。

記事では人間の耳の構造からハイレゾ音源の聴こえ方、認識のされ方、ハイパーソニック・エフェクト、ハイレゾ音源のメリットなどが説明されています。

人間の耳の構造で気になったのは耳小骨という骨が振動を伝えているため20KHz以上の超高周波音は物理的に人間は聞くことができないそうです。

しかし、仁科エミ教授の提唱するハイパーソニック・エフェクトは実験では実証されているとのことです。

ハイパーソニック・エフェクトについては「フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2010」でのプレゼン資料が参考になります。

また、このような報告会も開催されていたようです。

ハイパーソニック・エフェクトは、簡単に言うと人間が聞こえる20KHz以下の可聴音だけを、または、人間が聞こえない20KHz以上の超高周波音だけを聴いた場合は感情に変化は無いが、両方を合わせて聴くと感情に変化が生じることが実験で実証されているというものです。

では、人間には聞こえない20KHz以上の超高周波音を人間はどうやって認識しているのか、現状ではその感覚器官が見つかっていません

そのためハイパーソニック・エフェクトは理論的に解明できていないため否定的な意見もあるようです。

その他の「ハイレゾ」のメリットとして通常音源には含まれない大量の情報が含まれているため人間の聞こえる可聴音でも臨場感、立体感などが飛躍的に向上するとのことです。

 

ハイレゾに含まれる2つの要素と効果

気になった点をまとめると「ハイレゾ」には次の2つの要素と効果があるとのことです。

  • 20KHz以上の超高周波音と一緒に聴くことでのハイパーソニック・エフェクト
  • 20KHz以下の可聴音でも大量の情報による臨場感、立体感の向上

 

音源に含まれる周波数帯域について

「ハイレゾ」音源と通常音源に含まれる周波数帯域について調べてみました。

moraで購入した

をNCH SoftwareのWavePadというソフトのFFTにかけてみました。

表示範囲はサンプリング周波数の半分までとのでFLACでも48KHzというサンプリング周波数からこの楽曲には超高周波音は含まれていないことが分かります。

こちらがAACの結果で、

No-Poi-AAC-01

こちらがFLACの結果です。

No-Poi-FLAC-01

リアルタイムでFFT表示されますので、だいたい同じあたり(1'36")での結果です。

マウスカーソルを黄色い丸の部分に合わせた時の周波数は左上に表示されており、どちらもほぼ同じ帯域まで含まれていることが分かります。

AACでも20KHzを超える周波数まで含んでいるため、この楽曲については情報量の違いということになります。

 

ソニーの宣伝のやり方

当初「ハイレゾ」についてソニーは盛んに人間の聞こえない超高周波音を含んでいることをアピールしていました。

店頭では従来音源とハイレゾ音源をリアルタイムでFFT変換したグラフをXperiaタブレットで表示してハイレゾ音源の優位性を示していました。

イベントでも「聴こえないものが音楽の美しさを支えている」とまで言っていました。

これらはハイパーソニック・エフェクトを言っているようなのですが、理論的に解明されていないハイパーソニック・エフェクトという言葉を使うわけにはいきません。

言ってしまえば「このサプリを飲めば痩せる」と言っているのと同じことになります。

現在は「ハイレゾ」の情報量の多さのみをアピールするものに変わっています。

また、楽曲ダウンロード販売サイトのmoraも同様の説明となっています。

 

本当にハイパーソニック・エフェクトを体験するには耳ではなく「体で聴く」ためにスピーカーで聴く必要があります。そういう点ではソニーのイベントは正しく体験できる環境でした。

 

海外メーカーの反応

「ハイレゾ」とは日本の音楽業界が作った言葉のようで、海外にも広めようとしたようですが受け入れられていないようです。

例えば、

という記事で紹介されているdBpoweramp販売元のillustrateのサイトを見てもどこにも「Hi-Res」の記述はありません。

以前からBoseなど海外メーカーが何故「ハイレゾ」対応製品を発売しないのか不思議でしたが、理由が分かった気がします。

「ハイレゾ」の持つ2つの要素のうち、ハイパーソニック・エフェクトについては表立って宣伝できないため、20KHz以下の可聴域での情報量の多さでアピールするしかありません。

しかし、可聴域での音の再現性を追求することについては大昔からオーディオメーカーが取り組んでいる課題であり「ハイレゾ」などと今さら区別するものではないからです。

 

結局「ハイレゾ」は必要なのか

ハイレゾ・ウォークマンに専用のハイレゾ・ヘッドフォン(約1万円)をつないで聴いていましたが、Bose SoundSport Free(約3万円)を購入し聴き比べて驚きました。

Bose SoundSport FreeはBluetooth接続なので「ハイレゾ」音源には対応していません。それでも、臨場感や立体感がハイレゾヘッドホンより桁違いに良いのです。

結局、ポータブルプレーヤーで音楽を聴くのは耳です。ハイパーソニック・エフェクトを狙って体で聴くのとは違います。耳で聴く可聴音に「ハイレゾ」対応も何もありません。

結局、1万円程度のハイレゾ・ヘッドフォンで540円の「ハイレゾ」音源を聴くより、3万円以上の自分好みのヘッドフォンで257円の通常音源を聴く方がよっぽど「いい音」で聴けるということです。

 

まとめ

昔はアンプの性能を判断するのに重さが重要視されました。大きなトランス、大きなコンデンサ、分厚い金属でのシールドなどアナログ部品の性能の良さを重さで判断できたからです。

デジタル全盛の現在でも状況は変わっていません。人間にコネクターは付いていませんから音を聴くには必ず空気の振動というアナログに変換する必要があります。

いい音を聴きたいなら「ハイレゾ」どうのと言う前に、良いヘッドフォンを入手するのが最初です。次にプレーヤー、最後に「ハイレゾ」音源です。

メーカーの「ハイレゾ」戦略に踊らされないようにしてください。


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