iPhone 6sの時代の技術のまま進化の止まっていたiPad Proですが、やっとフルモデルチェンジされ発売となります。
現状では世界で最も速いポータブルPCとのことです。
<目次>
2018年10月30日 23時から始まったAppleのイベントでいくつかの新製品が発表されました。
消えるとの噂が出ていたPowerBook Airと、終息させるつもりは無いと明言していたMac mini、そしてiPad Proです。
iPad Pro 12.9インチはiPhone 6sと同じ2015年に発表され、その後、9.7インチ、10.5インチとモデルを増やしてきましたが、物理ホームボタンや3D Touchの使えない液晶パネルなど当時の技術ままで進化が止まっていました。
もちろん液晶の色再現性やカメラ、プロセッサーなどの強化は行われましたが、それは時代に合わせて入手可能な部品に置き換えたに過ぎませんでした。
しかし、今回発表されたiPad Proは全く違います。
iPhone 8からiPhone Xへの進化のiPad版とでも言うべき大幅な変更が成されています。
まず、発表会で紹介された数字だけ参考にあげておきます。
これまでにiPadシリーズは4億台販売されたそうです。
タブレットや2in1も含めたノートPCの世界での販売実績はこのようなものとのことです。単位を聞き忘れたのですが金額ベースだと思います。売れていると言われるMicrosoft Surfaceがこれだけというのも意外です。
基本的には噂どおりの外観、機能でした。以下、順に説明します。
噂では10.5インチと12.9インチの2モデルとのことでしたが、発表されたのは11インチと12.9インチでした。
11インチモデルは、従来の10.5インチモデルのフレームサイズに収まる最大の液晶サイズにしたため11インチになったようです。
一方、12.9インチは「大き過ぎる」と嫌われていたこともあり、画面サイズはそのままに、フレームサイズを小さくしたようです。
12.9インチモデルはちょうどレターサイズとのことです。
噂されていた有機ELタイプは発表されませんでした。
外観も噂どおり、iPhone SEのような側面が平らのものです。ホームボタンはありません。カメラも単眼です。
側面中央に磁気コネクタがあります。
ベゼルはiPhone Xのように極限まで狭くなく、Face IDのカメラなどのセンサーを搭載できる幅は確保されています。そのためノッチはありません。
厚さは従来より薄い5.9mmで、これも噂どおりです。
カラーは「シルバー」と「スペースグレイ」の2色です。
「ゴールド」が無いのは残念です。
重さは10.5インチモデルが468g、12.9インチモデルが631/633gで、セルラーモデルが若干重いです。
この102とは使われている磁石の数だそうです。
こちらが配置後です。
このフレームに
4つのスピーカーとメイン基板が配置され、
大きなバッテリーがメイン基板の両側に配置されます。
縦画面にして両端の環境光センサーは従来と同じです。
中央にFace ID関係のセンサー類と7Mピクセルカメラがあります。
また、Siri用のマイクもあるようです。
iPad ProのFace IDは、縦画面、横画面どちらでも認識できるとのことです。
プロセッサーは従来通り、その世代のiPhoneのプロセッサーを強化したものが搭載されています。
7nmプロセスとのことです。
インテルの10nmプロセスにあたり、インテルは立ち上げに苦労しているようですが、iPhone XSの状況を見る限り供給には問題無いと思われます。
トランジスター数は100億個とのことですが、多すぎてピンときません。
GPUが7コア、CPUが8コアとのことで、iPhone XSのA12 BionicのGPU 4コア、CPU 6コアより強化されていることが分かります。
第2世代iPad Proに比較してシングルコアで35%、マルチコアで90%速いそうです。
92%のポータブルPCよりは速いとのことです。残りの8%はゲーミングPCなどでしょう。
グラフィック性能に関しては、第2世代iPad Proの2倍、初代iPadの1000倍とのことです。
ストレージに関しては、今回1TBモデルが追加になりました。従来からの64GB、256GB、512GBモデルもあります。
こちらも噂どおりインターフェース/充電用のLightningに代わってUSB Type Cとなりました。付属品も両端がUSB Type-CのケーブルとUSB Type-CのACアダプターとなっています。
USB Type-CはMacのものと同等のようで直接DisplayPortとしては使用できず、USB-C Digital AV MultiportアダプタかUSB-C VGA Multiportアダプタを使用する必要があるようです。
iPad ProからiPhoneを充電することもできるようです。
Apple Pencilも大幅に変わりました。
1面だけ平らになりました。
側面の磁気コネクタに吸着させるためです。
そしてペアリングと充電も磁気コネクタからワイヤレスで行われます。
また、Apple Pencilの側面をダブルタップすることでアプリ上で筆を切り替える、ズーム画面とフィット画面を切り替えるなどの操作が可能となっています。
第2世代iPad Proまで側面にあったSmartConnectorは背面に移動しました。
USB Type Cコネクタの下のSmart Keyboard Folio側に3個の突起が見えます。
SmartConnectorが背面に移動したことで、Smart Keyboard Folioは画面の角度を2段階に変更できるようになっています。
主な機能はこの画面で説明されています。
2019年にリリースされるというAdobe Photoshop CCのデモも行われました。
左側のツール類はデスクトップ版Adobe Photoshop CCに似ていますが右側のレイヤー表示やスライダーなどはiPad Pro版独特なようです。
Adobe Photoshop CCで作成した画像を
Project Aeroに渡すことで
レイヤーを活かしたAR表示をさせていました。
11インチモデルは799ドルからです。
日本での価格は、Wi-Fiモデルが
Wi-Fi+Cellularモデルが
で、Wi-Fi+Cellularモデルが17,000円高くなります。
12.9インチモデルは999ドルからです。
日本での価格は、Wi-Fiモデルが
Wi-Fi+Cellularモデルが
で、Wi-Fi+Cellularモデルが17,000円高くなります。
受注は、本日10月31日から始まっています。
発売は11月7日です。
従来の10.5インチモデルも併売されます。
Apple Pencilは、14,500円(税別)と高くなりました。
互換性を確認すると従来のApple Pencilは使えないようです。Lightningコネクターが無いためペアリングができないので当然ではあります。
このような記事がありました。
iPad Proはストレージのサイズで64GB、256GB、512GB、1TBの4モデルがありますが、最上位の1TBモデルのみ6GBのRAMを搭載しているというものです。
iPad Proが発売された当初はRAMサイズが1GBからやっと2GBに増えた頃で4GBも積んでいれば余裕で2,3個のアプリを実行待機状態で切り替えることができました。
しかし、現状では最低が2GB、多いもので4GBですのでアプリもそれを見越してRAMを馬鹿食いするものが増えています。
そのためコピー&ペーストしようとバックグラウンドに回したアプリが終了してしまっていることもあります。
iPad Proのように本格的なアプリを使う用途では4GB RAMでは不足するのは明確なので6GBは欲しいところです。
上記の記事は「それなら1TBモデルを買え」と言っているようなものなのですが、調査した人は「1TBモデルだけ」とは言っておらず周りが騒いでいるだけです。
The new iPad Pros both have 6GB of RAM, according to Xcode (technically the kCoreThemeMemoryClass enum doesn't map 1:1 but CoreUI only knows about 6GB devices so the iPad must be 6GB if not any prior value) pic.twitter.com/Oas1nOM5BM
— Steve Troughton-Smith (@stroughtonsmith) 2018年10月30日
Multiple people are telling me that only the 1TB iPad Pros get 6GB RAM. … So that's a thing.
— Steve Troughton-Smith (@stroughtonsmith) 2018年10月30日
11月7日以降になれば明確となりますが、予約する場合は指摘どおりの可能性もあることを承知しておいてください。
Apple製品は新製品が出た直後の旧製品在庫処分以外での価格の変動はありませんので、出たらすぐに買って次世代が出るまで使い倒すのがよいでしょう。
ただし、今回は価格が変わるかもしれません。
まず、来年は消費増税があります。本体価格は変わらなくとも高価なものですので2%は効いてきます。
一方で、為替が変動することも懸念されます。一部の銀行が立てた予測では来年は1ドル95円との予測があり、長引けば定価の変更があり得ます。
上がる要因と下がる要因があり、待っていたら次のモデルが出るかもしれないという強迫観念もわいてきます。
また、Apple Pencilの品不足も懸念されます。
やはり、早めに買った方がよいでしょう。
量販店でも予約受付が始まりますが、詳細な仕様やSIMフリーのWi-Fi+CellularモデルについてはAppleサイトで確認してください。
(2018/11/5 追記)
11月31日に新型のiPad ProとApple Pencilをヨドバシに発注したのですが、11月5日にApple Pencilを発送したとのメールが届きました。
これなら今回は供給は問題ないと思われたのですが、わざわざ大阪から東京に送っています。販売店ごとの割り当て数を店舗間で調整しているのなら潤沢とは言えないかもしれません。
これまで、おまけ程度にしか扱っていなかったAdobeがAdobe Photoshop CCをリリースするなど、iPad Proの環境は一時的なモバイル環境ではなく、本格的に仕上げまで行える環境になりつつあります。
Windows 10の大型アップデートで作業を邪魔されることを考えると、iPad Proに移るのも良いかもしれません。