予てより噂されていたIntel NUCのCoffee Lake搭載版のBEAN CANYONですが、技術資料が公開されたことで発売がほぼ確定しました。
いろいろとグレードアップしているのですが、少し残念な点もあります。
<目次>
今年の春に発表され、6月から順次発売が開始された2018年版のIntel NUCですが、この時期に発売されたにもかかわらず残念なことに、第7世代Core i搭載のモデルでした。
第8世代を謳うモデルもありますが、CPUのシリーズとしてはKaby LakeまたはKaby Lake Refreshであり、第8世代と呼べるものではありません。
しかし、その時期に噂として秋にCoffee Lakeを搭載したBEAN CANYONが発売されるというものがありました。
そして今回、技術資料が公開されたことで、大きなバグや方針変更が無ければ発売が確実となりました。
既に発表されたIntel NUCについては、こちらで確認できますが、まだ掲載されていません。
しかし、Revision Historyを見るとFirst Production Releaseとありますので正式発表とみてよいでしょう。
技術資料には各製品ページのURLも記載されています。
日本では11月上旬から販売開始となりました。
以下、仕様について見ていきます。
まず、基本スペックについて見ていきます。
BEAN CANYONは第8世代Core iであるCoffee LakeのCore i7/i5/i3の3シリーズがあります。
3種類のCPUを基本スペックで比較するとこのようになります。
コア数、キャッシュサイズ、CPU動作周波数、グラフィック動作周波数の違いとなります。
どうも同じ半導体チップで一部のブロックを潰すかどうかで分けているようです。
ゲーミングノートに搭載され始めた第8世代Core iは6コア/12スレッドのものが当然のように搭載されています。そのような状況でCore i7でも4コア/8スレッドというのは少々性能不足を感じます。
デスクトップパソコンに関しては、年末にかけて発売される第9世代のCoffee Lake Refreshが8コア/16スレッドであることを考えると、NUCとの差は更に開くことになります。
もちろん、Coffee Lake Refreshも14nmプロセスですのでコアを増やせば全コア動作時は動作周波数は下げざるを得ないので、コア数が性能差に直結するわけではありません。
しかし、4コア/8スレッドのBEAN CANYONは、描画ソフトや動画エンコードなど並列処理が効いてくる用途には向かないかもしれません。
やはり10nmプロセスのCanon Lake待ちなのかもしれませんが、Canon Lake以降はグラフィックスを搭載しない可能性が高いため、そのままではNUCには採用されないかもしれません。
技術資料に記載されたメモリーの仕様は次のようになります。Core i7/i5/i3モデルで共通です。
4G bitまたは8G bitメモリーを使用したDDR4-2400メモリーを2枚まで実装できます。16GBメモリーを使えば32GBまで実装できます。
CPUの仕様によるとDual Channel動作が可能です。
CPUはLPDDR3-2133にも対応していますが、NUCとしてはDDR4のみの対応です。
グラフィックスは、Intel Iris Plus Graphics 655で共通です。Core i7モデルのみ最大動作周波数が高くなっています。
CPU自体のHDMI出力はHDMI 1.4のためDisplayPort 1.2aから変換してHDMI 2.0aを出力しています。
最大3台のモニターに接続できるのですが、USB Type-C経由のDisplayPortに2台接続すると2560×1600 60Hz、3台接続すると1920×1080 60Hzと解像度が落ちます。
4Kの場合は、HDMI 2.0aから1台、USB Type-Cから1台となります。
CPU内蔵グラフィックス、Intel SGX、HDMI 2.0a、HDCP 2.2と条件を満たしているためUHD BDの再生も可能なはずです。
実際のところはBIOSでIntel SGXを有効にしているかによります。
オーディオはHDMI 2.0aおよびUSB Type-C経由のDisplayPortでのIntel HD Audioと3.5mmジャックを使うRealtek HD Audioとなります。
また、従来機種と同様にデジタルマイクが内蔵されています。
ストレージは、2.5インチ6.0Gbps SATAが1ポートとM.2が1ポートです。
Core i5/i3は2.5インチベイを搭載しない薄型もあります。
M.2については以下の対応となります。
なお、Intel Optane Technologyにも対応しています。
USBはすべてのポートがUSB 3.1 Gen 2となり10Gbps対応となります。
背面にUSB Type-Aが2ポート、Type-Cが1ポート、前面にUSB Type-Aが2ポートとなります。
前面の1ポートは充電ポートにもなります。
USB 2.0もマザーボード上にはありますが、NUC Kitとしては使用できません。
Intel I219VによるGigabit Ethernetが搭載されています。
Intel Dual Band Wireless AC 9560が搭載されています。
従来はM.2ソケットに搭載されていましたが、マザーボードに直接はんだ付けされています。
USB Type-C経由でThunderbolt 3が利用できます。
その他にも以下の機能が搭載されています。
なお、前面のリングLEDは廃止され、HDD Activity LEDに変更されています。
本体は2.5インチベイを搭載するもの、しないもので2タイプあります。
2.5インチベイ | 有り | 無し |
---|---|---|
Core i7 | NUC8i7BEH $499 67,700円 | - |
Core i5 | NUC8i5BEH $399 51,700円 | NUC8i5BEK $399 51,700円 |
Core i3 | NUC8i3BEH $299 38,700円 | NUC8i3BEK $299 38,700円 |
Core i7に関しては、できるだけ熱容量の大きな筐体を選択したようです。
従来製品と比べてCPUファンも大きくなっていますが、それでも4コアモデルしか搭載できなかったのでしょう。
前面はこのようになっています。リングLEDが無くなり、HDD Activity LEDとなっています。
従来製品のNUC7i7BNHの前面はこのようなものでした。
背面はこのようになっています。USB Type-AがUSB 3.1 Gen 2対応となっています。CPUファンが大きくなったため放熱口も広くなっています。
従来製品のNUC7i7BNHの背面はこのようなものでした。
2018年春モデルおよびその前のモデルからの変更点を見てみます。
Core iを積んだNUCにはBシリーズとDシリーズがあり、BEAN CANYONはBシリーズとなります。
BEAN CANYON | DAWSON CANYON | 旧Bタイプ | ||
---|---|---|---|---|
Core i7 | 品名 | NUC8i7BEH | NUC7i7DNHE | NUC7i7BNH |
CPU | 8559U | 8650U | 7567U | |
CPU比較 | ||||
Core i5 | 品名 | NUC8i5BEH | NUC7i5DNHE | NUC7i5BNH |
CPU | 8259U | 7300U | 7260U | |
CPU比較 | ||||
Core i3 | 品名 | NUC8i3BEH | NUC7i3DNHE | NUC7i3BNH |
CPU | 8109U | 7100U | 7100U | |
CPU比較 |
どれも新しくなるほど性能が上がっていますが、TDPも同時に上がっていますので、稼働時の消費電力は増えることになります。
端子構成は旧Bタイプと同じなのですが、USB Type-AポートがUSB 3.0からUSB 3.1 Gen 2になっていたり、多少の変更点があります。
旧Bシリーズと比較した場合は外観や機能は、ほぼ同じなのですが、細かい部分で性能が向上していますので買い替えを検討すべきでしょう。
DAWSON CANYONと比較する場合は、性能より用途を考えて検討すべきでしょう。DAWSON CANYONはvPro対応で、USB Type-CやThunderbolt 3よりも、すぐに使えるHDMIが2ポートあることに意味があるのでしょう。
BEAN CANYON内で検討する場合、Core i7とCore i5でコア/スレッド数に違いが無く、動作周波数など細かい部分での若干の性能差ですので、16,000円の価格差と性能差を比較して検討した方が良いでしょう。
Coffee Lake搭載とのことで6コア/12スレッドをNUCで使えると期待していたのですが残念です。
これ以上コア数が増えたCPUを搭載できるようになるのは10nmプロセスが安定してからですから来年も無理でしょう。
そうなるとBEAN CANYONは、1、2年ぐらいは一番性能の高いNUCとなりますので、検討する価値はあるでしょう。
現状での一番の売れ筋はCore i5で2.5インチベイを搭載したNUC8i5BEHのようです。人気商品ということで便乗値上げもありますので価格には注意してください。