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外付けHDDのスリープ対応とランダムアクセス性能の重要性

PC周辺機器
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正確なデータが収集出来ず1年近く経ってしまいましたが、気になる製品が出てきましたので、まとめておきます。

概要

ここで言いたいことは、スリープに対応していない外付けHDDをスリープで使うと寿命を縮めることになること、また、メーカーの宣伝文句に隠れたランダムアクセス性能を見極めないと失敗することになるということです。

 

HD-QLU3/R5購入

単体HDDをビデオの保存先に使っていたところ、HDDの温度管理をしていなかったため、3ヶ月でHDDもろともビデオが消えてしまいました。

データが飛ぶのは困ると、チップセットのRAID機能を使ってRAID5を組んだところ、OSのブルースクリーンやハングアップの度にRAIDの再構築が始まり、数時間コンピューターが使えない状態になりました。

RAIDはOSの管理から離してスタンドアロンで動作させなければならないと、BUFFALOのHD-QS2.0TSU2/R5を購入しました。

特に問題無く使えていましたが、容量が足りなくなったのと、インターフェースがeSATA1.0の1.5GB/sだったため若干遅く感じていました。

USB3.0が出始め買い換えようとしていたところで、タイの洪水でHDD価格が急騰し、買えなくなってしまいました。半年後、たまたまヨドバシのアウトレット館で、値上げ前の製品を見つけて安く購入出来ました。

購入したのは、価格改定前のHD-QL4TU3/R5です。以下は、HD-QS2.0TSU2/R5とHD-QL4TU3/R5を比較することで見えてきた外付けHDDの問題点の一部です。

 

外付けHDDのスリープ対応

Windows Vista以降、Windowsはとても安定しており、デスクトップでもスリープと復帰を繰り返していても、MS-Officeなどを使う事務作業では、ほとんど問題は発生しませんでした。そのため、HD-QS2.0TSU2/R5を繋いだ状態でスリープにして使っていました。

HD-QS2.0TSU2/R5には、「HD-xQSSU2/R5シリーズ 管理ユーティリティ」というソフトが付いており、ファンの回転数、HDDの温度などを監視してくれます。スリープと復帰を繰り返していましたが、特に問題は発生しませんでした。

HD-QL4TU3/R5にも同様の機能の「BUFFALO RAID管理ユーティリティ」というものが付いています。置き換えてからも同様の使い方をしていましたが、スリープから復帰して1時間ほど使った後、再起動したところ、HDDの温度が60度近くになっていました。

問題は2つあり、スリープから復帰した場合、「BUFFALO RAID管理ユーティリティ」が正しいHDDの情報を取得できていないこと、もう1つはスリープから復帰した場合、HD-QL4TU3/R5の冷却ファンが回転しないことです。前者の問題は、「BUFFALO RAID管理ユーティリティ」のVer.3.02.78では改善したようですが、ファンが回転しない問題は直っていません。

HDDは温度に弱く、冷却ファンが回転しなければ、当然、温度も上がり続けます。

この問題に対しBUFFALOの「よくある質問」には、

の原因6において、「ハードディスクはサスペンド・レジューム(省電力)に対応していません」と明言しています。別のBUFFALO製品を使っている人に確認してもらったところ、同様にスリープからの復帰後はファンは止まったままだったそうです。

メーカーが保証していない使い方とは言え、知らないでスリープを使っているとHDDの寿命を縮めることになります。

 

ランダムアクセス性能

買い替えの直後、スピードテストを行いました。以下、速度データは測定時期や環境が違うため、あくまで参考値として見て下さい。また、HDDを1台しか搭載していない外付けHDDはHDD本体のキャッシュ(最近は64MB)が効きますのでここで説明する問題は発生しません。2台以上のHDDを搭載する外付けHDDに限っての話となります。

それぞれ、TurboUSB、TurboPCというRAMをHDDのキャッシュとして使うソフトが付いています。

 

速度比較

HD-QS2.0TSU2/R5においてはTurboUSBの効果はありませんでした。

TurboUSB OFF(左)とON(右) USB2.0接続

External-HDD-Sleep-Support-and-Random-access-Performance-01External-HDD-Sleep-Support-and-Random-access-Performance-02

HD-QL4TU3/R5においては、TurboPCの効果は大きく、この時はその意味がわかっていませんでした。ただし、TurboPCをONにするとHDDの転送が最優先され、転送を始めるとマウスが動かなくなりました。そのためTurboPCを使わないことにしました。

TurboPC OFF(左)とON(右) USB3.0接続

External-HDD-Sleep-Support-and-Random-access-Performance-03External-HDD-Sleep-Support-and-Random-access-Performance-04

 

問題発生

PS Vitaのバックアップを行う場合、CMAというソフトを使います。CMA Ver.1.XXでHD-QS2.0TSU2/R5に5GB程度のバックアップを行った場合、30分ぐらいで終わりました。

しかし、HD-QL4TU3/R5に変えてから同じ5GBのバックアップを行ったところ3時間経っても終わりません。CMAのバージョンが変わったのかと思いましたが、単体HDDやHD-QS2.0TSU2/R5にバックアップしてみると以前と同様に30分程度で終わりました。

リソースモニターでCMA.exeのディスク活動を確認してみると、HD-QS2.0TSU2/R5には1.7MB/s程度の速度で転送していますが、

External-HDD-Sleep-Support-and-Random-access-Performance-05

HD-QL4TU3/R5には、250KB/s程度の速度しか出ていません。

External-HDD-Sleep-Support-and-Random-access-Performance-06

CMAが書き込むファイルは単一のファイルのため、どうもCMAはPS Vitaから単純にファイルを書き込んでいるのではなく、書き込む段階でデータの並べ替えを行っているようです。

そして、速度比較でHD-QS2.0TSU2/R5がTurboUSBのON/OFFで差が出なかったのは本体にHDDキャッシュを持っているためで、HD-QL4TU3/R5がTurboPCのON/OFFで大きな差が出るのは、本体にHDDキャッシュを持たないためだとわかりました。

確かに、TurboPCをONにしてみると2MB/sと大きく改善することが確認出来ます。

External-HDD-Sleep-Support-and-Random-access-Performance-07

しかし、TurboPCをONにするとHDDへの転送を最優先とするためマウスの動きにまで支障が出ます。Windows 8対応の最新版TurboPC EX Ver.1.12でもCrystalDiskMarkが計測途中でハングアップするなど安心して使えるものではありません。

External-HDD-Sleep-Support-and-Random-access-Performance-08

CMA Ver.2.XXからは並べ替えをRAM上で行い、その後HDDに書き込むようにしたようで、TurboPCがOFFのHD-QL4TU3/R5に転送しても30分程度で終わるようになりました。

このようにソフト側が問題を認識して改善してくれればよいのですが、そうでない場合、HDDにキャッシュを搭載しているかどうかはいろいろと問題になります。

 

HD-GDU3発売

最近、1GB DRAMをキャッシュとして搭載したHD-GDU3が発売されました。上記のようにHDDにキャッシュを搭載することで、PCに問題を発生させず、ランダムアクセス性能の向上が期待できます。

こちらの記事にあるとおり期待通りの性能が出ています。ただし懸念点もあります。

1つはファンレス構造であること。これは別売の冷却ファン「OP-FAN-ALEM」を取り付けることで改善できますが、HDDが熱に弱いことを知らないユーザーに責任を押し付けるようで、あまりよくありません。

もう1つについてですが、昔、フラッシュメモリーなどというデバイスが無い時代、サーバー用のRAIDカードのキャッシュは別売りで10万円近くしました。上記のようにRAIDを組む場合キャッシュによる効果は絶大ですが、何かの原因で電源が断たれた場合、まだHDDに書き込まれていないキャッシュ上のデータが消えてしまったらHDD内のすべてのデータが使い物にならなくなってしまいます。そのため別売りのキャッシュは高速のSRAMとバックアップ電池で構成されていたため高価なものになっていたのです。

現在、単体のHDDのシーケンシャルの書き込み速度は100MB/s程度です。最近のHDDは64MBのキャッシュを搭載していますから、シーケンシャルなら1秒以内にキャッシュはHDDに書き込まれ不整合は発生しません。HDDメーカーもプロですのでそのようなことでの問題は発生しないように作っています。

しかし、HD-GDU3は、1GBのキャッシュを搭載ということですから、最低でもHDDにキャッシュが書き込まれるまで10秒は掛かります。この10秒を担保するバックアップ電池を搭載しているかが明記されていません。フラッシュメモリーならまだしもDRAMですから、電源が断たれたらキャッシュが消えて、HDD内のすべてのデータが使えなくなる可能性があります。

 

まとめ

スリープでの使用はメーカーが保証していなければ自己責任ということになりますので、通常使用時のHDDの温度とファンの回転には気を付けることをお勧めします。

また、カタログからは読み取れないので確認しようがありませんが、HDDのキャッシュは重要でランダムアクセス性能に大きく影響するということです。メールの読み書きなど、日常の大部分の作業はランダムアクセスであること、大きなビデオファイルを頻繁にコピーしなければシーケンシャル性能などあまり関係ないことを知った上で、メーカーの宣伝に踊らされないように注意しなければなりません。

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