Windows 10 Creators Updateのリリースも間近ですが、何かしらの不具合でWindows 10 バージョン1607をインストールすることもあると思われるためクリーンインストール方法について記しておきます。
Windows 10 バージョン1607のクリーンインストールの概要
まだまだ安定しないWindows 10ですが、クリーンインストールを行うことで比較的安定した環境を構築できます。
ここで説明するインストール方法は更に安定させるためにオフラインで行います。
Windows XP時代はOSのインストールをネットワークに繋いだまま行うなど自殺行為とされました。OSのインストール中はセキュリティソフトがインストールされていませんのでウイルスに一番感染しやすい状況だからです。
この点に関してはWindows 10になっても変わらないはずなのですがMicrosoftがオンラインインストールを推奨していることから何かしらの対策はされているのかもしれません。
今回、オフラインで行う理由は別にあります。
最近のWindowsはバックグラウンドでセキュリティパッチやドライバーの更新が行われるようになりました。特にIntel HD Graphicsについてはバグが多いにも関わらずMicrosoftのサーバーに最新バージョンが登録されると容赦無く更新されてしまいます。
どうも最近パソコンの調子が悪いので調べてみるとIntel HD Graphicsが更新されていて、古いバージョンに戻したら直ったということがしばしば起きています。
ここで説明するオフラインでのクリーンインストールはインストール過程での不安定要素となるパッチやドライバーのインストールを阻止できるため、比較的安定してインストールを完了させることができます。
Windowsのインストールさえ完了してしまえばパッチやドライバーで不安定になったとしても復旧は比較的容易に行えます。
なおオフラインでのインストールでは、Windows 10自体がオンラインでのインストールを前提としているためスタート画面のアイコンが正しく表示されません。これは最後に修正します。
クリーンインストールは以下の手順で行います。
- インストールメディアの作成
- バックアップ
- ネットワークからの切断
- Windows 10のインストール
- ネットワークへの接続とライセンス認証
- PC名の変更
- マイクロソフトアカウントへの切り替え
- 同期の設定
- PCでの本人確認
- プライバシーの設定
- 更新のインストール
インストールメディアの作成
Windows 10のインストールメディアであるUSBメモリーまたはDVD-Rの作成についてはUSBメモリーまたはISOファイルでのアップデート方法を参照してください。
アップデートはISOファイルでも行えますがクリーンインストールはDVD-Rに書き込む必要があります。書き込むには作成したISOファイルを右クリックして「ディスクイメージの書き込み」を選択します。詳しくは下記のサイトを参照してください。
- Windows 10 のダウンロード(Microsoft)
なお、ツールが更新されており新しいメディアでインストールするとBuild 14393.447という2016年11月8日版のメディアを作成できます。昔作ったインストールメディアがある場合は作り直した方がよいでしょう。
また、Windows 8.1 with BingがプリインストールされていたパソコンにWindows 10 Proをインストールする場合などのように元のエディションと異なるエディションのWindows 10をインストールする場合は、Windows 10 Proをインストールする方法を参照のうえ、メディアにファイルを追加してください。
バックアップ
クリーンインストールはすべてのデータを消してWindows 10のインストールを行います。
インストールを始める前に必ず必要なデータのバックアップを行ってください。
SSD/HDDのパーティションを分割してデータ用としている場合、操作を間違えるとデータパーティションも消してしまいますので、やはりデータパーティションのデータもバックアップを取るようにしてください。
必要なファイルを調べるのが面倒な場合はイメージバックアップソフトなどで一括でパックアップを取り、後で必要なファイルだけ戻す方法もあります。
ネットワークからの切断
パソコンがLANケーブルで接続されている場合はLANケーブルを抜きます。
Wi-Fiで接続されている場合はインストールの過程では接続をスキップしますので何もする必要はありません。
Windows 10のインストール
作成したUSBメモリーまたはDVD-Rから起動します。
メディアから起動させる方法はパソコンによって異なりますのでマニュアルなどで確認してください。
Intel NUCの場合、起動画面にこのような表示が出ますので[F10]を押します。
起動選択画面はパソコンにより異なりますが、起動デバイスにUEFIで始まるものとUEFIと付いていないものがある場合は必ずUEFIで始まる方(下の画面では白い文字)を選択してください。
32ビットと64ビットの両方が入ったメディアで起動した場合は選択画面が表示されます。
30秒以内に選択しないと64ビット版のインストールが始まります。
Windowsがインストールされた状態でインストールを始めるとこの画面となります。
今回はクリーンインストールを行いますので「いいえ」をクリックします。
言語やキーボードに間違いが無ければ「次へ」をクリックします。
「今すぐインストール」をクリックします。
プロダクトキーの入力画面では「プロダクトキーがありません」をクリックします。
これは新しい自作パソコンなどにインストールする場合も同様です。
新しいパソコンの場合、各パーツとの相性や不具合が組み立ててみないと分からないため問題が無いと分かるまでライセンス認証を行わないようにするためです。
なお、Windows 8以降がプリインストールされたパソコンの場合はこの画面が表示されない場合があります。
インストールするWindows 10のエディションを選択して「次へ」をクリックします。
Windows 8以降がプリインストールされたパソコンの場合はメディアを加工していないとこの画面が表示されません。
プリインストールされたエディションと異なるエディションをインストールする場合はメディアを加工したうえでここで選択します。
ライセンス条項に同意する場合は「同意します」にチェックを入れ「次へ」をクリックします。
同意しない場合は「次へ」はクリックできません。
クリーンインストールなので「カスタム:Windowsのみをインストールする」をクリックします。
新しいSSD/HDDではなく以前の環境が残っている場合は、このように複数のパーティションが表示されます。
また、複数のSSD/HDDを接続している場合はすべてのドライブのパーティションが表示されていますので「ドライブ 0」とあるパーティションだけを対象に作業を行ってください。
必要なデータのバックアップが終わっていることを再度確認してからパーティションを削除します。
表示されたパーティションのどれかを選択して「削除」をクリックします。
データパーティションを分割している場合はデータパーティションを選択しないように注意してください。
また、メーカーが独自に作成しているリカバリーパーティションを削除するのが不安な場合は残しておいても構いません。
確認の表示で「OK」をクリックして削除します。
削除したパーティションは「割り当てられていない領域」となります。
残りのパティションも同じ手順で削除します。
データパーティションを分割している場合はデータパーティションを選択しないように注意してください。
すべて削除するとこのようになります。新しいSSD/HDDの場合もこのようになります。
データパーティションを分割している場合はデータパーティション以外が「割り当てられていない領域」となります。
「割り当てられていない領域」を選択して「次へ」をクリックします。
メーカーが独自に用意しているリカバリーパーティションで分割され「割り当てられていない領域」が複数できてしまった場合は、一番大きな容量の領域を選択してください。
インストールが始まります。
Wi-Fi内蔵のパソコンの場合Wi-Fiの接続について聞いてくるので「この手順をスキップする」をクリックしてネットワークに接続しないようにします。
次にプライバシーの設定を行います。
ここではプライバシー重視の設定を行いますので「カスタマイズ」をクリックします。
なお、プライバシーを重視しない場合は「簡単設定を使う」をクリックすることでプライバシー設定をスキップできます。
3ページに渡って設定を行います。
1ページ目はすべて「オフ」にして「次へ」をクリックします。
なお、5番目の位置情報は地図アプリなどで現在位置を使う必要がある場合のみ「オン」にしてください。
2ページ目もすべて「オフ」にして「次へ」をクリックします。
なお、3番目の診断と使用状況を「オフ」にすることの影響は後のプライバシーの設定で説明します。
3ページ目は1番目以外は「オフ」にします。
1番目は別途サードパーティ製セキュリティソフトを導入するなら「オフ」でも構いません。
ここまでの設定で間違いが無ければ「次へ」をクリックします。
「簡単設定を使う」をクリックした場合はここまでスキップされますが、ここまで設定してきた項目すべてが「オン」となります。
ネットワークに接続されていないためローカルアカウントの作成画面となります。
「ユーザー名」はユーザー情報を格納するフォルダーの名前となります。
ユーザー名、パスワードを2回、パスワードのヒントを入力したら「次へ」をクリックします。
Windows 10 バージョン1607からCortanaを使わないという選択はできなくなりました。
ただし匿名でも使えますが、ここで「Cortanaを使う」を選択すると匿名ではなくなります。
後で詳細に設定できますので、ここでは「後で設定する」をクリックします。
最後の処理が終わるのを待ちます。
更新のインストールやドライバーの更新などがありませんのですぐに終わります。
デスクトップが表示されたらインストール完了です。
この時点ではスタート画面のアイコンが正しく表示されませんが最後に修正します。
ドライバーのインストール
Intel HD Graphicsなどのインストールする順番でおかしなことになるドライバーはネットワークに接続する前にインストールする必要があります。
パソコンメーカーやマザーボードメーカーから提供されてるドライバーをインストールします。
これらのドライバーはデバイスメーカーから更に新しいドライバーをダウンロードできる場合もありますが、メーカーで検証されたものの方が安定する場合が多いです。
まだドライバーをダウンロードしていない場合は別のパソコンでダウンロードするなどしてインストールが完了するまでネットワークに接続しないようにしてください。
ネットワークへの接続とライセンス認証
画面左下のWindowsアイコンをクリックし、ギアのアイコンの「設定」をクリックします。
「更新とセキュリティ」をクリックします。
左側の「ライセンス認証」を選択するとネットワークから切断されているため「Windowsライセンス認証サーバーに到達できません」と表示されています。
有線ネットワークの場合はLANケーブルを接続します。
Wi-Fiの場合は右下の通知アイコンをクリックして「アクションセンター」を開き「ネットワーク」をクリックすると接続可能なWi-Fiが表示されるのでクリックしてパスワードを入力して接続します。
ネットワークに初めて接続されるとこのようにネットワーク探索を行うかを聞かれます。
4Gなどのモバイルネットワークではないなら通常は「はい」をクリックしてネットワーク探索をオンにします。
既にWindows 10をインストールしたことのあるパソコンまたはWindows 7/8/8.1からアップグレードしたことのあるパソコンなら暫くすると「Windowsはデジタルライセンスによってライセンス認証されています」と表示されライセンス認証が完了します。
新しいパソコンの場合は暫く使って問題が無いことを確認したら「プロダクトキーを変更します」からプロダクトキーを入力してライセンス認証を行ってください。
エディションを変更した場合はライセンス認証に失敗しますので「プロダクトキーを変更します」からインストールしたエディションのプロダクトキーを入力してライセンス認証を行ってください。
左上の「ホーム」をクリックして「設定」アプリの初期画面に戻ります。
PC名の変更
「システム」をクリックします。
左側で「バージョン情報」を選択すると「PC名」に自動生成されたPC名が設定されています。
Windows 10 バージョン1607からは電話によるライセンス認証ができなくなり、Microsoftアカウントに紐づけたライセンス情報で認証させるように変更となりました。
複数のパソコンをMicrosoftアカウントに紐付けた場合区別するために使われるのがPC名のため、自分が区別できる名前に変更しておく必要があります。
「PC名の変更」をクリックします。
変更するPC名を入力して「次へ」をクリックします。
「今すぐ再起動する」をクリックして再起動させます。
ローカルアカウント作成時のパスワードを入力してサインインします。
マイクロソフトアカウントへの切り替え
「設定」アプリを起動し、「アカウント」をクリックします
左側で「ユーザーの情報」を選択し、右側の「Microsoftアカウントでのサインインに切り替える」をクリックします。
切り替えるMicrosoftアカウントとパスワードを入力して「サインイン」をクリックします。
Microsoftアカウントが無い場合は「作成しましょう」から指示に従って作成してください。
「現在のWindowsのパスワード」とはインストールの過程で作成したローカルアカウントのパスワードです。
パスワードを入力したら「次へ」をクリックします。
Windows Helloの設定ですが後で他の選択肢からも選択するできるようにするために「この手順をスキップする」をクリックして「次へ」をクリックします。
元の画面に戻るとユーザー名がMicrosoftアカウントに変わっているのが確認できます。
切り替えたらすぐに同期の設定を行います。
同期の設定
左側で「設定の同期」を選択し、右側の「同期の設定」を「オフ」にします。
Microsoftアカウントに切り替えると必ず「同期の設定」は「オン」になり、即座に同期されてしまいます。
「オン」の状態だと同じMicrosoftアカウントでサインインしたことのあるパソコンの設定がクリーンインストールしたパソコンにコピーされてしまいます。
複数のパソコンを全く同じ環境で使いたいということが無い限り「オフ」にしておいた方がよいでしょう。
必要ならば「オン」にした直後に「個別の同期設定」をすべて「オフ」にした後、必要な項目だけ「オン」にしてください。
同期されてしまった項目は自分で元に戻すしかありません。
PCでの本人確認
Microsoftアカウントに切り替えると本人確認が必要になります。
左側で「ユーザーの情報」を選択し、右側で「確認する」をクリックします。
本人確認をメールで行う設定になっている場合はこの画面になりますので登録してあるメールアドレスを入力して「次へ」をクリックします。
携帯電話番号を登録してある場合はSMSで送られてきます。
メールまたはSMSで受け取ったコードを入力して「次へ」をクリックします。
確認が完了すると「このPCで本人確認を行う必要があります。」という項目が消えます。
Microsoftアカウントの本人確認についてはこちらのサイトを参照願います。
- Microsoft アカウント – 連絡先情報の本人確認のお願い(Microsoft)
プライバシーの設定
インストールの過程でプライバシーについてカスタマイズを行いましたが、更に細かい設定はプライバシーから設定できます。
「プライバシー」をクリックします。
右側の上部に「一部の設定は組織によって管理されています」と表示されて設定を変更できない項目があります。
通常はこのままでも問題はありませんが変更したい場合は以下の設定を行います。
左側で「フィードバックと診断」を選択すると右側の「診断データと使用状況データ」という部分が「基本」となっています。
この部分は「基本」、「拡張」、「完全(推奨)」から選択できます。
選択できるのはこれだけで全く送らないという選択肢はありません。
この部分を「拡張」または「完全」に変更すると上部の表示が消えて設定を変更できるようになります。
通常は「基本」のままにして左側の各項目について細かく設定してください。
スタート画面の修復
オフラインでのインストールはWindows 10を安定させるためには有効な手段なのですが、Windows 10自体がオンラインでのインストールを前提としているためインストールが正しく完了しません。
具体的にはプリインストールされているWindowsストアアプリがインストールされません。これらのアプリはインストールメディアには無くネットワークからダウンロードする必要があるためです。
プリンストールアプリがインストールされていないとスタート画面にこのような下向きの矢印が表示されます。
このような場合は「ストア」アプリを起動し「人の形のアイコン」または自分のMicrosoftアカウントに登録したアイコンをクリックして表示されたメニューから「ダウンロードと更新」をクリックします。
自動的にダウンロードが始まるはずなのですが、ダウンロードが始まっていない場合は「更新プログラムのチェック」をクリックします。暫くするとダウンロードが始まりますが時間がかかります。
ある程度ダウンロードが進むとスタート画面のアイコンが正しく表示されるようになります。
更新のインストール
現時点までにリリースされている更新をインストールします。
「更新とセキュリティ」をクリックします。
左側で「Windows Update」を選択し、右側の「更新プログラムのチェック」をクリックします。
順次更新プログラムがインストールされます。
インストール後の設定
これでWindows 10 バージョン1607のクリーンインストールは完了です。
Windows 10 バージョン1607固有の設定などについてはこちらの記事を参照してください。
なお、アカウントの情報が記録されるフォルダーはMicrosoftアカウントに切り替えてもローカルアカウントのユーザー名が引き継がれます。
オンラインでクリーンインストールを行い最初からMicrosoftアカウントでサインインした場合はMicrosoftアカウントに登録した名前の頭数文字がフォルダー名となります。
まとめ
Windows 10 バージョン1607はバージョン1511のクリーンインストールと大きな違いはありません。
その代わり、これまでに分かっているパッチやドライバーなどで発生する問題を回避するため、この記事ではオフラインインストールとしました。
オフラインインストールでは、オンラインインストールの過程で行われるWi-Fi接続、ライセンス認証、Microsoftアカウントとの紐づけなどをインストール後に行う必要があります。
Windows 10をできるだけ安定した状態でインストールするか、簡単にインストールを済ませたいのかでオフライン、オンラインを選択すればよいでしょう。
(2017/3/25 ドライバーのインストールについて追記)
(2017/5/13 スタート画面の修復について追記)
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