IntelのNUC DCCP847DYEでは、mSATAで迷走しましたが、2.5インチドライブが実装出来る第2世代のNUC DN2820FYKHが発売されたので、購入してみました。
既に、第3世代のDE3815TYKHEも発売になっています。
当初は、Windows EmbeddedとLinuxしかインストール出来ないとのことでしたが、現状は、Windows 7、Windows 8のドライバーも配布されています。TDPが5Wと低いのですが、Atomのシングルコアで、動作周波数1.46GHz、キャッシュ512KBと性能は期待できません。しかし企業向けのいろいろな機能に対応していることで割高となり、DN2820FYKHと同程度の値段です。ファンレスという魅力もありますが、デスクトップ用としては、第2世代のDN2820FYKHの方がよいでしょう。比較結果は、こちらを参照願います。
対応OS
2.5インチドライブが搭載出来ることから安価に大容量を実現出来ることから、Windows Home Server 2011を稼働させることを考えていたのですが、当初は、インストール出来ませんでした。
初期のBIOSはUEFIにしか対応しておらず、古いタイプのインストーラーは起動すらしませんでした。何度かBIOSがバージョンアップされ古いインストーラーでも立ち上がるようになったのですが、Windows Home Server 2011はインストーラーが立ち上がる途中でブルースクリーンとなりインストール出来ませんでした。
その後、DE3815TYKHEを入手し、いろいろ試したところWindows Home Server 2011がインストール出来たので、同様の設定にして試したところ、DN2820FYKHでもインストール出来ることが確認出来ました。インストールOSに関するBIOS設定は、動作が安定していませんでしたが、最新のBIOSにアップデートすることでこの部分の動作は安定します。
方法は、UEFI BOOT OSのタイプをWindows 7にすることです。後者はLEGACY BOOTには無関係のはずですが、ACPI関係に影響を与えるようです。設定方法の詳細は、DE3815TYKHEの記事を参照願います。
Windows 7も同様に、UEFI BOOT OSのタイプをWindows 7にすることが必要です。古いバージョンのBIOSでは、デフォルトのBIOS設定でもインストール出来ましたが、最新版では変更が必須です。
外観
DCCP847DYEと並べて外観を比較します。左がDCCP847DYEで右がDN2820FYKHです。前面には両方ともUSB3.0のソケットが1つ付いています。DN2820FYKHには赤外線の受信機も付いています。上面には電源スイッチとストレージのアクセスランプがあります。
背面にコネクター類はまとまっています。
DCCP847DYEは、HDMIが2ポート、USB2.0が2ポート、LANが1ポートとDC入力です。音声の入出力が無いため、音を出す場合はHDMI経由ということになります。
DN2820FYKHは、HDMIが1ポート、USB2.0が2ポート、LANが1ポートとDC入力です。音声の入出力端子もあるので、ヘッドセットやスピーカーなどが使えます。
裏面にはVESAマウント用アダプターを取り付けるネジ穴があります。
DCCP847DYEはMiniPCI ExpressとmSATAのソケットがあります。また、SO-DIMMのソケットは2個あり、Maxで16GBまでです。WiFiのアンテナは付いていますが、MiniPCI Express用のWiFiモジュールは別売りです。
DN2820FYKHは上段が2.5インチストレージのマウンターとなっています。
ストレージのマウンターを外すと、WiFiモジュールは標準添付されています。SO-DIMMのソケットは1個ですのでMax8GBまでとなります。なお、通常のSO-DIMMは1.5V駆動ですが、DN2820FYKHには1.35V駆動のDDR3L(Low Voltage)タイプのSO-DIMMが必要です。
これは、DCCP847DYE添付のACアダプターです。
ACアダプターしか添付されていませんので、電源ケーブルは別途買う必要があります。
これは、DN2820FYKH添付のACアダプターです。
コンセントにつなぐ部分が別パーツとなっており、3種類添付されています。日本のACコンセントに合うパーツも付いていますので、別途購入する必要はありません。
基本スペック
本体の基本仕様は、以下を参照して下さい。
- NUC DN2820FYKH (第2世代NUC)
- NUC DCCP847DYE (第1世代NUC)
問題は、CPUです。
- Intel(R) Celeron(R) Processor N2820 (1M Cache, up to 2.39 GHz)
- Intel(R) Celeron(R) Processor 847 (2M Cache, 1.10 GHz)
847は1.1GHzでTDP 17Wなのに対し、N2820は2.13GHzでTDP 7.5Wです。実際に稼働させると、DCCP847DYEは天板が結構熱くなります。
では、この周波数の差ほどパフォーマンスに違いがあるかというと、殆ど差はありませんでした。
Windows8以降、GUIでのスコアが表示出来なくなりましたが、測定は出来ます。管理者権限のコマンドプロンプトを開き、
winsat formal
を実行します。実行中は何もせず、終わるのを待ちます。測定結果は、
C:\Windows\Performance\WinSAT\DataStore
の下に出来たファイルの
日付 時刻 Formal.Assessment (Initial).WinSAT.xml
または、
日付 時刻 Formal.Assessment (Recent).WinSAT.xml
に記録されています。
こちらのサイトでは、このファイルをドラッグアンドドロップすると、従来のように表示してくれます。
WinSAT Viewer
Windows 8.1 エクスペリエンス インデックス スコアの表示ツール
ただし、このファイルには、PCのシリアル番号など細かな情報が含まれていますので、IEの空白のページにドラッグアンドドロップすると内容が表示されるので、<WinSPR>の部分から数値を読み取った方がよいでしょう。
Windows 8.1 Pro Updateをインストールして測定した結果は、以下のようになりました。
コンポーネント | WinSAT.xmlタグ | DN2820FYKH | DCCP847DYE |
一番低いサブスコア | <SystemScore> | 4.1 | 4.2 |
プロセッサ | <CpuScore> | 4.9 | 4.2 |
メモリ(RAM) | <MemoryScore> | 5.9 | 5.9 |
グラフィックス | <GraphicsScore> | 4.1 | 4.2 |
ゲーム用 グラフィックス |
<GamingScore> | 4.1 | 5.5 |
プライマリ ハードディスク |
<DiskScore> | 5.7 (HDD) |
8.1 (SSD) |
CPU 動作周波数 |
2.13GHz | 1.1GHz | |
キャッシュ | 1MB | 2MB | |
グラフィックス 定格周波数 |
313MHz | 350MHz | |
最大TDP | 7.5W | 17W |
CPUは周波数の差ほどの違いはありません。キャッシュが半分しかないことが原因のようです。DCCP847DYEの方が、グラフィックコアの周波数が多少高いのですが、ゲーム用グラフィックではそれ以上の差がついています。ストレージについては、DCCP847DYEはmSATAのSSDを積んでいますが、DN2820FYKHはHDDなので差がついています。
こちらのページのDN2820FYKHの「テクニカル・プロダクト・スペシフィケーション」を確認したところ、DN2820FYKHのSATAは3Gbpsなので6Gbps対応のSSDに変えても、7.7までしか改善しませんでした。
まとめ
一時期、入荷していなかったDCCP847DYEもマイナーチェンジしたものが出回り始めました。小さくてスペック上は、DN2820FYKHより高性能のように見えますが、DN2820FYKHより高価で、mSATAのSSDが必須など古い部品を使いまわすことは出来ません。新規でSSDを購入するなら、mSATA SSDと2.5インチSSDは、値段の差はありません。
しばらくDN2820FYKHを使った後、上記のスペック差から、一度、DCCP847DYEに移ったのですが、体感速度は変わらず、発熱の方が気になりました。また、音声出力が無いのも困りました。そのため、今はDN2820FYKHに戻りました。
今後は、SSDのトレンドは、mSATA SSDより、M.2 SSDに移行する可能性が高いため、先での流用を考えても、DN2820FYKHの方がよいと思います。
DN2820FYKHは、WiFiが標準添付、古い2.5インチHDDが流用できる、音声出力がある、安価であるなど、メリットは大きいと思います。
追記
最近、サーバー用に1台追加購入したのですが、CPUがN2820からN2830に変わっていました。
メモリーの駆動周波数はN2820では1066(533MHz)に下げて使われていましたが、N2830では1333(667MHz)となっています。この違いはBIOS画面で確認できます。他には、CPUやグラフィックの周波数で多少違っていますので、全体として若干パフォーマンスが上がっているかもしれません。