Windows 10上でLinuxを動作させる仕組みとしてWSLがありますが、Windows 10 バージョン2004から、新しい実装方法であるWSL2が利用できるようになります。
WSL
WSLとは「Windows Subsystem for Linux」の略称で、名前のとおりWindows 10上でLinuxを動作させるWindows 10の追加機能です。
昔は1台のPCでWindowsとLinuxを動作させるには、デュアルブート環境を構築したり仮想マシン環境を構築したり、非常に敷居の高いものでした。
しかし、WSLが使えるようになったことでLinuxをひとつのアプリとして、Windows 10上で動作させることができるようになりました。
Microsoft Storeアプリで「WSL」を検索すると、いろいろなディストリビューションのLinuxが配信されていることがわかります。
WSLを使うためには64ビット版のWindows 10が必要ですが、Windows 10 ProまたはWindows 10 Homeのどちらでも利用できます。
WSLの利用方法
「コントロールパネル」の「プログラム」「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリックします。
「Windowsの機能」の中にある「Windows Subsystem for Linux」にチェックを入れて「OK」をクリックします。あとは指示に従いインストールを完了させます。
次に「Microsoft Store」アプリで使いたいLinuxのディストリビューションをインストールします。
例えば「Ubuntu 16.04 LTS」の場合は、このような画面となりますので「入手」をクリックします。
同じMicrosoftアカウントで既に入手していれば、このような画面となりますので「インストール」をクリックします。
インストールされたら「Ubuntu」を起動します。
インストールでしばらく待たされた後、一般権限のユーザー名とパスワードを設定すればUbuntuが使えるようになります。
あとはUbuntuの使い方を調べて環境を整えてください。
日本語化するには、以下のコマンドを順に実行してください。
- sudo apt-get update
- sudo apt-get install -y language-pack-ja
- sudo update-locale LANG=ja_JP.UTF-8
一度Ubuntuを終了させてから再度起動して、次のコマンドでUbuntuを更新すれば日本語環境になっていることを確認できます。
- sudo apt-get upgrade -y
不要になったらスタートメニューからアンインストールするだけです。
WSL2
WSL2はWSLの別の実装方法です。実装方法を変えたことでWSLに対して6倍ものスピードアップが実現されます。また、互換性が高くなりこれまでWSLで動作しなかったLinux上のアプリが動作する可能性があります。
WSL2についてはこちらで説明されています。
- WSL 2(Microsoft)
- WSL2 will be generally available in Windows 10, version 2004(Microsoft)
また、こちらのビデオでも説明されています。
WSL2はWSLを置き換えるものではなくWSLと共存します。それはWSL2では仮想化技術を使用してるため、使える環境が限られるためです。
WSL2の利用方法
WSL2を利用するには、Windows 10 バージョン2004以降にアップデートする必要があります。
現状ではまだ正式リリースされていませんが、Windows Insider Preview Slow ringのISOファイルが配布されています。ISOファイルを使ってクリーンインストールまたはアップデートしてもWindows Insider Programにはならず、Windows Updateも使えるので、正式版に非常に近いものです。
WSL2はWindows 10 バージョン2004でも追加のインストールが必要です。詳細はこちらのサイトで説明されています。
- Installation Instructions for WSL 2(Microsoft)
ここでは別の方法を説明します。
Windows 10 バージョン2004で「コントロールパネル」の「プログラム」「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリックします。
「Windowsの機能」の中にある「Linux用Windowsサブシステム」と「仮想マシンプラットフォーム」にチェックを入れて「OK」をクリックします。あとは指示に従いインストールを完了させます。
次にこちらのサイトの
- 手順 4 - Linux カーネル更新プログラム パッケージをダウンロードする(Microsoft)
「x64 マシン用 WSL2 Linux カーネル更新プログラム パッケージ」という部分をクリックしてWSL2のカーネルの更新パッケージ(wsl_update_x64.msi)をダウンロードして実行します。
Windows 11でも更新しないと使えないようです。
実行するとWSL2 Linuxカーネルに更新されます。
最後に、管理者権限ではないPowerShellまたはコマンドプロンプトを起動して、WSLのバージョンを切り替えます。
既に従来のWSLを利用していてLinuxをインストールしている場合は、次のコマンドでインストールされているディストリビューションのリストを表示させてディストリビューション名を調べます。
- wsl -l
次に、このコマンドで動作させるディストリビューションのWSLのバージョンを切り替えます。
- wsl --set-version <ディストリビューション名> 2
最後の「2」がバージョンを指定しており「1」にすれば、WSL2をWSLに戻せます。
例えば、Ubuntu 18.04 LTSの場合は、このようになります。
- wsl --set-version Ubuntu-18.04 2
実際に実行するとこのようになります。
まだ、ディストリビューションをインストールしていない場合、または、以後インストールするものはすべてWSL2とする場合は、既定のWSLのバージョンを設定しておくことができます。
- wsl --set-default-version 2
以後インストールするディストリビューションはWSL2で動作するようになります。
WSLコマンドの使い方の詳細については、このコマンドでヘルプが表示されますので確認してください。
- wsl --help
なお、Windows 10 バージョン1909まではカーネルの更新は行えますが、上記のwslコマンドはエラーになるためWSL2に切り替えることができません。
Hyper-Vでの動作について
WSL2は仮想化技術を使用しています。そのためHyper-Vゲストマシンで動作を確認するためには、ゲストマシンでNested Hyper-Vを使えるように構成する必要があります。
Nested Hyper-Vが有効になっていない場合は、上記のwslコマンドがエラーとなります。
まとめ
Windows 10 バージョン2004は表面的な変更は少なく、追加機能や細かな使い勝手などが改善されています。
WSLを既に使っているなら、一足先にWSL2を体験してみるのもよいでしょう。
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