いろいろ出揃ってきたUltra HD Blu-rayの再生環境ですが、何が必要で何故その製品が必要なのかを理解したうえで購入時期を考えるために現時点での状況を整理してみます。
Ultra HD Blu-rayとは
以前の記事にも書きましたが再度記しておきます。
詳細についてはこちらで説明されています。
ロゴはこのようなもので、既に店頭には多くのUltra HD Blu-rayソフトが販売されていますので見たこともあるでしょう。
Blu-rayソフトはブルーのトールケースが多いですが、Ultra HD Blu-rayソフトはブラックのトールケースが多いです。
Ultra HD Blu-rayは長いのでUHD BDと呼ばれることもあります。
メディアは現行のBDXLと同じ1層33GBのディスクで構成された2層66GBと3層100GBの2種類となります。
BDXL対応のドライブなら読めるように思えるのですがAACS2.0対応のため専用ドライブが必要なようです。
AV機器としてのプレーヤー
再生機器は再生専用のプレーヤーとBDレコーダーに再生機能を追加したものがあります。
現状名乗りを上げているのは4社です。
Panasonic
パナソニックは2016年初頭から製品を投入して既に5機種が対応しています。
パナソニックの最近の製品はUltra HD Premiumロゴを取得しており、このロゴが付いています。
ロゴを取得したということはUltra HD Blu-ray本来の高画質で再生できることが保証されているということです。
OPPO
OPPO Digital Japanからは2機種のプレーヤーが発表/発売されています。
レビュー記事もこちらで紹介されています。
SHARP
シャープからは2017年3月24日にBDレコーダーが3機種発売されます。
シャープとの対談がこちらに掲載されています。
Sony
ソニーからはプレーヤーが2機種、2017年春に発売されると告知されています。UDP-X800は欧州では販売されていますが日本ではまだです。
- UDP-X1000ES
- UDP-X800(Sony UK)
ニュース記事はこちらになります。
- 米Sony、Ultra HD Blu-rayプレーヤー「UBP-X1000ES」を'17年春発売(AV Watch)
- ソニー初のUHD BDプレーヤー「UBP-X800」は春発売。Atmos対応AVアンプ/サウンドバーも(AV Watch)
ソニーとのインタビュー記事もこちらに掲載されています。
なお、Sony製品にはUltra HD Premiumロゴは付きません。
Sony製品はすべてプレミアムな製品なのでわざわざUltra HD Premiumロゴを付ける必要は無いとUltra HD Premiumに賛同していないためです。
ゲーム機としてのプレーヤー
当初搭載が予想されたPS4 ProでのUltra HD Blu-ray再生機能は見送られたため、Ultra HD Blu-rayの再生に対応しているのはMicrosoftのX Box One Sだけとなります。
ただし、ゲーム機としての特性上、再生環境が限られるようです。
こちらの記事によるとUltra HD Blu-rayの大きな特徴であるHDR表示を行うには4K TV側のHDMIが18Gbpsに対応するハイスピードタイプでないとダメなようです。
TV側の要求仕様
Ultra HD Blu-rayを再生するTV側にも基準があります。
- 4K/60p対応であること
- HDMI 2.0a以上であること
- HDCP 2.2に対応していること
- HDMIケーブルが18Gbps対応であること
これらから1つでも外れると2Kで表示されるそうです。Panasonicのプレーヤーの注記にはこのようにあります。
Ultra HD ブルーレイを再生するためには、著作権保護のために、ディスクによっては本機をインターネットに接続していないと再生できない場合があります。4K/HDRで視聴するためには、HDCP2.2、4K/60p/4:4:4、UltraHD ブルーレイ規格のHDR信号に対応する機器(ディスプレイ)や端子に接続してください。HDCP2.2に対応していない機器や端子に接続した場合、2K解像度で、HDR信号をダイナミックレンジ変換して出力します。また、ディスクによっては正しく再生できない場合があります。4K/60p/4:2:0(8bit)まで対応の機器や端子に接続した場合、60p素材の再生はHDR信号をダイナミックレンジ変換して出力します。4K/60pに対応していない機器や端子に接続した場合、2K解像度で出力します。HDRに対応していない機器や端子に接続した場合、HDR信号をダイナミックレンジ変換して出力します。また、ディスクによっては2K解像度での出力、または正しく再生できない場合があります。その他、Ultra HD ブルーレイの再生に関する情報は http://av.jpn.support.panasonic.com/support/bd/ でご確認ください。4K/60pをお楽しみになりたい場合は、18Gbps対応のケーブル(別売)が必要です。
そしてX Box One SのようにRGB出力に対応するにはTV側のHDMIが4K/60p/4:4:4に対応した高速タイプ(18Gbps)である必要があります。
これらの機能に対応した4Kテレビを探す必要があります。
ただし、4K放送が来年に迫っています。そして8K放送も見えてきました。8Kに対応したHDMI 2.1も規格化されました。
これらの規格に対応した製品は現状ありません。
現在販売されている4Kテレビとは「2Kテレビ+4Kモニター」であることを忘れてはなりません。来年になれば4K放送に対応したチューナーが発売されます。
しかし、昔を思い出してください。
デジタル放送が始まった時に、とりあえずアナログで見れているからとチューナーを買わずに、価格が下がってからテレビを買い替えた人が多いはずです。
4K放送が始まれば買い替え需要が喚起され価格競争になります。そして現状の4Kテレビである「2Kテレビ+4Kモニター」はゴミと化します。
本当の4Kテレビを待つか、価格が暴落する「2Kテレビ+4Kモニター」を買うか、買う時期も合わせてよく考えてください。
PCでの再生環境
パソコンでのUltra HD Blu-rayの再生環境はまだ完全には揃っていません。
再生ソフトに関してはCyberLinkが認定を取得しPowerDVDに搭載すると発表しました。
そしてUltra HD Blu-rayに対応したBDXLドライブがパイオニアから3機種発売されました。
- 5インチベイタイプ BDR-S11J-X
- 5インチベイタイプ BDR-S11J-BK
- ポータブルタイプ BDR-XD06J-UHD
これらにはUltra HD Blu-rayの再生に対応したPowerDVD 14が添付されています。
このPowerDVD 14を実行するにはAACS2.0の復号に使うIntel SGXとHDMI 2.0a、HDCP 2.2が必要です。
Intel SGXは第6世代Core iプロセッサーであるSkylake以降に搭載された機能ですが、マザーでの対応も必要なためIntel 200シリーズが必要とされています。
また、HDMI 2.0aに現状で対応しているグラフィックカードは無く、唯一対応しているのが第7世代Core iプロセッサーであるKaby Lakeに内蔵されたIntel HD Graphics 600シリーズとのことです。
そのためPCは、
- BDXLドライブ:パイオニア製Ultra HD Blu-ray対応ドライブ
- CPU:Kaby Lake
- マザー:Intel 200シリーズ搭載でBIOSでIntel SGXに対応しているもの
ということになります。そしてモニター側は、上記TV側の要求仕様を満たしている必要があります。PCもRGB出力となりますので18Gbps対応が必要です。
これらの詳細については、こちらに記事で解説されています。
- いよいよ立ち上がるUHD BDのPC再生環境(AV Watch)
なお、参考に4K BDレコーダーの先行きに関係するこちらの記事も読んでおいた方がよいでしょう。
- 4K、HDR、リッピング。次世代Blu-rayが目指すもの(AV Watch)
Ultra HD Blu-ray対応ドライブとは
上記PCの再生環境の中で唯一の疑問はBDXLドライブです。
何故パイオニアのドライブのみがUltra HD Blu-rayに対応なのか。
Ultra HD Blu-rayで採用されている2層66GB、3層100GBのBDXLディスクは既存のBDXL対応ドライブで読めます。
それなのにUltra HD Blu-ray対応と明言しているのはAACS2.0対応ということなのだと思われます。
BDドライブにはAACSを更新する機能が搭載されています。例えばBDドライブのAACSがバージョン10であった場合、AACSバージョン15のBDソフトを再生するとBDドライブのAACSもバージョン15に更新されます。
このあたりの仕組みがAACSとAACS2.0では違うためUltra HD Blu-ray対応のドライブというものが存在するようです。
Ultra HD Blu-ray対応ドライブとはAACS2.0対応ドライブと読み替えた方がよいかもしれません。
この真偽は4月に発売になるPowerDVD 17の動作環境でハッキリすると思われます。
まとめ
何故、これらを調べたかというとPowerDVD 17が4月に発売されるためPowerDVD 16がメルマガ限定大特価(69%OFF)で販売されているためです。
PowerDVD 17でUltra HD Blu-rayの再生には対応してくるはずです。ただし、上記のようにPCで再生するにはハードルが非常に高くなっています。
HDMI 2.0aやHDCP 2.2は今後発売されるグラフィックカードを買えば済みますが、Intel SGXはCPUを買い替える必要があります。RYZENも対応しているのか分かりません。
Ultra HD Blu-rayのPCでの再生はIntel SGXと同等の機能が下位のCPUに搭載されるまで待つとして、大特価のPowerDVD 16を購入しても今は問題無いと思えます。
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