MicrosoftはWindowsというOSを開発販売しているソフトウェアメーカーであり、そのソフトウェアメーカー自ら世に送り出したパソコンがSurfaceです。
Windows開発メーカーが製造販売するパソコンには、他の歴史あるメーカーのパソコンには無い大きなメリットがあります。
Surfaceとは
現在、パソコンは大きく2つに分類されます。
ひとつはAppleが販売するMacシリーズです。
AppleはOSとしてのmacOSを開発すると同時に、macOSで動作するパソコンであるMacシリーズを販売しています。
AppleはmacOSを他社には提供せず、パソコンも自社でのみ製造・販売を行っています。
ソフトウェアとハードウェアを一貫して製造・販売することで、優れた品質と高い信頼性を実現しています。
もうひとつはMicrosoftが販売するWindowsを搭載したWindowsパソコンです。
MicrosoftはWindowsを開発販売しますが、ハードウェアに関してはキーボード、マウス、Webカメラなど周辺機器に徹してパソコン本体を製造販売することはありませんでした。
パソコン本体に関してはIBM PCを起点とする業界が定めた標準仕様に基づき、パソコンメーカー各社が自社の持ち味を活かした製品を製造・販売しています。
このソフトウェアとハードウェアの棲み分けを「Windowsエコシステム」と呼びます。
ところが、2012年からMicrosoftは自社でパソコンの製造・販売を始めました。
それがSurfaceシリーズです。
当初、今までパソコンメーカーと良好な関係を築いてきたWindowsエコシステムをMicrosoft自身が壊しているとして反発もあったようです。
しかし結果的には、それまで主流であったクラムシェルタイプ(一般的なノートパソコン)とは別に、2-in-1(タブレットパソコン)という新たな市場を開拓することに成功しました。
2-in-1市場の開拓が終わったためか、新たに3機種を投入して合計4機種としてあらゆる用途でSurfaceが使えるようになりました。
現在販売されているのは次の5機種となります。
- Surface Pro
- Surface Laptop
- Surface Book 2
- Surface Studio
- Surface Go
Surfaceシリーズの利点
どのパソコンが良いか比較検討する場合、人によって用途や好みが大きく異なるため、一概にこれがベストとは言えません。
そこで、ここではスペックや見ただけでは分からないSurfaceシリーズの3つのメリットについて説明します。
1.Windows開発メーカーならではの安定性
Windowsパソコンは基本仕様を満たせば自由度が高いため、あとはメーカーが独自仕様を盛り込んで、他社との差別化を図ります。
ところがこの独自仕様が仇(あだ)となり、不具合の原因になることがあります。
Windows 10は頻繁に機能を追加するため、そのような不具合が起こりやすいのですが、Microsoftが修正するためにはWindows Insider Programからの報告が重要となります。
多くの機種を販売しているパソコンメーカーはWindows 10の大型アップデートがリリースされるたびにすべての機種での動作確認を行うことは現実的には不可能です。
たまたまWindows Insider Programに参加しているテスターがそのメーカーの機種を使っており障害を見つけて報告した場合に限り、修正が行われます。
しかし、Surfaceは違います。
SurfaceはMicrosoft自身が販売するパソコンのため、真っ先にテストされ不具合対策が行われます。
そしてWindows 10側で対策できない場合は、Surface側のファームウェアの更新で対策しています。
Surfaceを使っていると時々Windows Updateの一般更新に追加で、Surfaceのファームウェア更新が配信されてきます。
このようにSurfaceシリーズはWindowsを開発しているMicrosoftが製造販売しているだけあって、Windows 10のリファレンス機として重要な意味合いもあります。
リファレンス機なので、Surfaceシリーズが一番安定しているのは当然なのです。
2.クリーンな環境
以前は、いろいろなアプリケーションが添付され、買って来て箱を開けば、すぐに一通りのことはできるのが良いとされてきました。
国内メーカーのパソコンも年賀状作成ソフトやビデオ編集ソフト、お絵描きソフトなど、メーカーや機種によって様々なソフトがはじめからインストールされています。
一方、SurfaceシリーズにはOSであるWindows 10以外、何もインストールされていません。
Officeも付いていますが、セットアッププログラムを実行することでネットワーク経由でインストールされます。
説明書もシンプルで電源の投入方法ぐらいしか記載されていません。
必要ならばSurfaceを立ち上げたあと、ネットワーク経由で操作説明を読む必要があります。
どちらが良いかは賛否両論あるでしょう。
昔のようにすべてをパソコンという閉じた環境で行うなら、アプリケーションソフトが付いていた方が便利かもしれません。
しかし、既にやることが決まっていて馴染みのソフトがあるなら、はじめからインストールされているアプリケーションは邪魔でしかありません。
初心者には敷居の高いパソコンかもしれませんが、殆どのことがクラウドで行える現代においては、Surfaceシリーズのようなシンプルさが求められています。
3.更新される工場出荷イメージ
メーカー製のパソコンはWindowsをインストールした後にアプリケーションをインストールして動作テストを行い、問題が無いことを確認して製品となるSSDのイメージが作成されます。
これを工場出荷イメージと呼び、各メーカーはパソコンの回復パーティションに格納して出荷します。
例えば、2014年にWindows 8.1のパソコンを購入してWindows 10にアップグレードし、4回の大型アップデートを行ったとしても、工場出荷状態に戻すと購入当時のWindows 8.1に戻ってしまいます。
これはWindows 10にアップグレードしてインストールされているアプリケーションの動作確認を行わない限り、メーカーとして安定な環境と言えるイメージが作成できないため、どうしようもないことなのです。
ところがSurfaceシリーズは違います。
Windows 10は年に2回、4月と10月に大型アップデートがリリースされます。
Surfaceシリーズは大型アップデートがリリースされて数か月すると、大型アップデートが適用された状態のSurfaceシリーズが出荷され始めます。
Surfaceシリーズの工場出荷イメージは回復パーティションには格納されておらず、Microsoftのサイトからダウンロードする仕様となっています。
そして大型アップデートが適用されたSurfaceシリーズの出荷が始まると、工場出荷イメージも大型アップデートが適用されたものに更新されます。
Windowsはアップデートを繰り返すことで不安定になります。
ところが何かしらの不具合で工場出荷状態に戻さなくてはならない場合、上記の例ではWindows 8.1からアップグレードをやり直さなくてはなりません。
しかしSurfaceシリーズは工場出荷状態に戻しても直近の大型アップデートに戻るだけです。
そしてこの工場出荷イメージはMicrosoftでテストされた安定した環境なのです。
工場出荷イメージの更新はメーカー独自仕様を売りとするメーカーには真似のできない、Surfaceシリーズだけのメリットなのです。
まとめ
パソコンは道具です。
安定しなくて使い難く、作業を邪魔したり、まして、メンテナンスに時間を取られるようでは良い道具とは言えません。
その点、Surfaceシリーズは非常にシンプルで安定した道具となります。
若干、不親切な点を玄人向けと言われる場合もありますが、そのメリットを活かせるならSurfaceシリーズは最高の道具となります。
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