東京ゲームショウ2012(以下TGS2012)で行われた、「HMZ没入快感研究所」公開実験に行ってきました。
HMZ没入快感研究所
以下、個人的な感想ですが、.hackやソードアートオンラインなどを見ていて、HMDはこうあるべきという理想が高いため、辛目の感想となっていることをお断りしておきます。
TGS2012会場に入るまでに、あんなに時間が掛かるとは思っていませんでした。会場に入っても人、人、人で、なかなか目的地に辿り着けませんでした。
実験内容は、既に、ニュースサイトで紹介されているとおりです。
- ソニー、TGS2012限定仕様のHMD「PROTOTYPE-SR」を体験展示SCEブースにHMZ-T2を大量出展!(GAME Watch)
- 映像世界に迷い込む、ソニー「PROTOTYPE-SR」を体験-HMD+カメラ+トラッキング。「HMZ没入快感研究所」(AV Watch)
昨年、ソニービルでのHMZ-T1のデモを見て、視野角の狭さと、若干の物足りなさを感じていました。今回の実験では、ヘッドトラッキングシステムで頭の動きに映像が追従するということで、より臨場感を味わえることを期待していました。
公開実験の流れ
- 研究員のお姉さんがHMZとヘッドホンを付けてくれます
- 椅子は固定されていますが左右に回すことは出来ます
- お姉さんが右に移動し、指示される通り椅子を回して、お姉さんをカメラで追います
- お姉さんが左に移動し、同様に椅子を回して、お姉さんをカメラで追います
- お姉さんが中央に移動し、バイオハザードの映画スポットを見てもらうと説明し、奥に退場します
- バイオハザードの映画スポットを観賞
- お姉さんが再び現れ、感想を尋ねますが、電気が点滅し、お姉さんがうずくまります
- そして、襲いかかってきます
- 画面が暗転します
- 再び、お姉さんが現れ、右に移動しながら、ビデオであったことを説明します
- そして、今、見えているお姉さんが現実であることを確かめるために、手を前に出すように言われて、前に出すと、お姉さんの手の感触と、カメラに映る自分の手で、現実であることが実感できます
- そして、お姉さんと入れ替わりに、バイオリニストが現れ、演奏を始めます
- 幻想的な、風船の効果と、右に左に、消えては現れる、バイオリニストに、ビデオであることがわかります
- 演奏が終わると、バイオリニストが退場し、お姉さんが再び現れ、実験が終了であることを告げます
PROTOTYPE-SR
PROTOTYPE-SRは実験で使用されているものと、会場の外に展示されているものの2台が作られたとのことです。外に置かれたものは、ケースに入っているため、触ることは出来ません。会場の外には、体験者が見ている映像と、体験者の正面上のカメラから体験者を写した映像が合成されて、モニターに映し出されています。
体験した感想
画像が荒いのは気になりましたが、ヘッドトラッキングシステムによる映像の追従は、思った以上に臨場感があります。そのため、映像に集中するので、解像度の低さなどは気にならなくなります。
実際に頭を動かしてみると、やはりHMZ-T2の固定方法では無理があると感じました。ずいぶんきつく装着したのですが、頭を速く動かすとMHZ-T2がずれてしまい、動かす速度を制限しなければなりません。実際にゲーム用などを考える場合は、安定性からヘルメットタイプにするか、逆に3Dメガネ程度に軽くするかが必要だと思います。
実際に映像を見ていると、現実とビデオの区別がつかなくなります。お姉さんが二人写っている写真以降のお姉さんは現実の映像なのですが、私はビデオだと思っていました。
体験が終了し、外のモニターで、体験者が見ている映像とお姉さんの行動を見て、ここで切り替わったのかと納得しました。
なお、配布された資料は以下となります。
HMZ没入快感研究所 研究内容(ネタバレ)
HMZ-T2について
HMZ-T2について、研究員にお聞きしたところ、次のような回答でした。
Q:何故フルHDにしないのか
A:有機ELパネルがあまり作れないうえに、ニッチな市場なので難しい
Q:1万円高くなった理由は
A:ヘッドホンを外して安くなると思ったが、後頭部の押さえの部分が逆に高くついた
Q:映像が荒いがどうしてか
A:狭い、このような環境で撮影したので仕方ない、ちゃんとした環境で撮れば綺麗になる
映像に関しては、こちらに書かれているように360度の映像を5400×2700ピクセルで撮影しているとのことですので、仕方ないようです。PS3のゲームのようにリアルタイムで描画するなら解像度は問題なくなるでしょう。
HMZ-T2 先行展示
TGS2012からの帰りに、銀座のソニービルに寄ったところ、昨年と同様、HMZ-T2の先行展示が行われていました。
土曜日の18時頃で30分程度の待ち時間でした。
今回は、4台のHMZ-T2があり、一度に4人まで視聴できます。内容は、スパイダーマンの映画のスポット映像です。
HMZ-T2は目の間の距離を左右別々に調整するように変更になりました。調整は、片目ずつ目を閉じて、映像がハッキリ見えるように調整します。
公開実験や先行展示では、ヘッドホンを係の方が装着してくれるのですが、自分一人だと、視界がHMZで遮られているので、ヘッドホンの装着は難しいと思います。
公開実験を体験してきた後だと、ただ、座って見る映像に物足りなさを感じました。
まとめ
こちらを見ると、フルHD(2K)の映像の視野角は30度、そして4Kならば視野角60度まで近づいても十分な解像度であるとのことです。
- ソニー、84型/4Kで“臨場感”を伝える液晶TV「84X9000」(AV Watch)
HMZ-T2は、720pですが45度の視野角で設計されています。
解像度から推奨される視野角以上で見ているので、どうしても映像は荒く見えてしまいます。しかし、映像に集中することが出来れば、そんなことは気にならなくなることを公開実験で体験できました。
まだまだ、コンテンツの作成方法や、HMZ自体にも改良の余地があり、ゲームの周辺機器とするには、AV機器以上のコストダウンが必要です。
しかし、.hackのようなゲームを、実際に体験することが、技術的には可能な域まで到達していることが、実感出来ました。