最近のAppleの製品発表は噂通りのものしか発表されず感動がありません。
何故そうなるのか、それだけアナリストが優秀になったからだと思っていましたが、逆に考えてみると納得できる事実が多々あることが分かります。
既存技術の集大成がApple製品
ジョブズのやり方や売り方には不満がありましたが、Apple製品の出来は確かによいものであることは、iPhoneやiPadといっしょにWindowsやAndroidを使ってみて実感しています。
ジョブズ亡き後、クックCEOが引き継いだわけですが、経営者としての腕は一流ですが、製品の企画力は全くありません。
iPhoneやiPadに搭載される機能はすべて、新しく開発された部品、採算が取れるようになった部品、問題が解決した技術、それらを貪欲に取り入れただけです。
したがってそれらの部品の流れや、新技術の提携状況などを追っていればアナリストは正確な予想を立てることができるのは当然だと思っていました。
噂の出始めとiPad Pro 9.7インチとiPhone SEの発売
ところが、妙に思えることがありました。
9.7インチのiPadより大きなiPadが発売される、iPad Proという呼び名になる、このような噂が以前からありました。
そして昨年、iPad Pro 12.9インチが発売されました。
しかし、市場の反応は芳しくなく、大きすぎる、売れない、という反応が多かったのです。
暫くするとiPad Air 3の噂が流れ始めました。
- まさかのiPad Air 3、年末の登場はあり得る?(GIZMODO)
- iPad ProよりパワフルなiPad Air 3、発売まだ先か…(GIZMODO)
- やや残念な「iPad Air 3」、来年3月に発売か(GIZMODO)
実際に発売されたiPad Pro 12.9インチは全く売れず、特に中国市場は壊滅的でした。
噂は少しづつ軌道修正しながら現実味を帯びてきます。そして今年3月にiPad Pro 9.7インチとして発売されました。
iPhone SEも同様です。iPhone 6s/6s Plusが全く売れなくなり、工場での減産が始まると、iPhone 5改良版の噂が流れ始めます。
こちらも軌道修正しながら今年の3月にiPhone SEとして発売されました。
市場が望んだiPad Pro 9.7インチとiPhone SE
何がおかしいかというと、iPad Pro 9.7インチもiPhone SEもクックCEOが企画したものではなく、”市場が望んだもの”であるということです。
企業に食い込もうとPCと同様のパフォーマンスのiPad Pro 12.9インチを投入しても受け入れられない、iPhoneを新機種とマイナーアップデート版を交互に発売する2年サイクルでは市場に飽きられる、こんな事実からクックCEOの取った手段は市場が望むものを出せば売れるだろうといういうことです。
具体的な仕組みは、
- 市場調査に基づく製品企画
- 企画した情報を意図的にリーク
- 市場の反応を見て軌道修正
これを繰り返して市場が本当に望むものに組み上げます。ただし採算を考えて、CPUクロックダウン、RAM容量半減などのスペックダウンは行っています。
来年のアニバーサリーモデルの信憑性
だから何だと思うかもしれませんが、これは市場予測通りのものしか発売されないということを意味します。
すなわち、
- 今年のiPhoneはiPhone 6/6 Plus、iPhone 6s/6s Plusと殆ど変わらない「どうしようもないモデル」である
- 来年のモデルは有機ELディスプレイを搭載した全面ガラスのiPhone 10周年記念アニバーサリーモデルである
このような市場予測どおりのものが作られるということです。
Apple製品独自のエコシステムの破壊
市場が望む製品を作って売る、経営者の判断としては間違っていません。しかし、それはWindowsやAndroid製品の売り方です。
Appleには伝統的なエコシステムが存在します。
Apple信者の存在です。
彼らはジョブズの作る革新的なマシンに魅かれファンとなった人たちです。彼らは新しいApple製品の良いところだけを見て、その製品をたたえ、Appleが宣伝をせずとも信者自ら宣伝/布教してAppleユーザーを増やします。
Apple信者の存在は、iPhoneを使っている人が誰の影響で使うようになったかを思い出せば納得できるでしょう。
そしてApple信者は非常に多いのです。
ニュースサイトの記事を見れば分かりますし、企業家と言われる人が使っているパソコンはみんなApple製品です。NHK特番などででてくる大学の研究室で使われているのもApple製品ばかりです。
彼らが魅かれているのは、その革新性です。使い易さとか一般受けする機能ではないのです。
しかし、クックCEOが舵を切ったのは、一般受けする製品です。クックCEOに革新性など求めても無駄なのです。
今、Apple信者を引き留めているのは、ジョブズの意思がAppleに引き継がれているはずという「蜘蛛の糸」なのです。
クックCEOにApple信者を繋ぎ止められるのも限界が来ています。それはAppleの経営状況を見れば明らかです。
まとめ
今年で私のiPhone 6 Plusも2年なので買い替えを考えていました。
しかし、市場予測通り、今年のモデルは「どうしようもないモデル」になりそうなので悩みどころです。
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