4K放送を受信できるチューナーを内蔵した、本当の意味での「4Kテレビ」がToshibaから発売されます。
一方、4K Ultra HDブルーレイで後塵を拝したソニーは、またもや開発が間に合わないようです。
真の「4K TV」とは
今現在売られている4Kテレビはすべて偽物です。
4Kテレビとは4K放送を4Kパネルで表示するから4Kテレビなのです。
しかし、4K放送は始まっていません。
そのため、今販売されている4Kテレビは、2K放送を4倍に拡大して4Kパネルに表示しているだけです。
もちろん、ネットワーク配信や有料チャネルでは4K放送を見ることはできますが、本当の意味での4K放送とは、新4K衛星放送をさします。
このような状況の中、本当の4Kテレビが発表されました。
- 東芝はスタンダード4KテレビもBS 4K「REGZA M520X」。25万円の65型も(AV Watch)
- 重低音バズーカ+BS 4Kの東芝「REGZA BM620X」。43/50/55型4Kが14.5万円~(AV Watch)
- 東芝、日本初BS 4Kチューナ搭載有機ELテレビ「REGZA X920」。BS 4Kを身近に(AV Watch)
- 初の「新4K8K衛星放送」対応テレビ、東芝が6月発売 新CASは後日送付(ITmedia)
REGZA M520Xが6月6日から、REGZA BM620Xが6月下旬から、REGZA X920が7月下旬から発売となります。
これらのREGZAはすべて新4K衛星放送対応のBS/CS 4Kチューナーを内蔵しており、別途チューナーを買わなくても、12月の放送開始と同時に番組を見ることができる真の4Kテレビです。
開発が間に合わないソニー
他のメーカーはどうかというと、このような発表があります。
- ソニー、BS 4Kチューナを2018年内発売へ(AV Watch)
- パナソニックも新4K衛星放送チューナを12月の放送開始前に発売(AV Watch)
- ピクセラ、新4K衛星放送チューナを3万円未満で10月発売。Android TV搭載(AV Watch)
ピクセラはTVメーカーではありませんので別として、PanasonicとSonyです。
Panasonicは4K Ultra HDブルーレイで先行しており、2年以上も前からBDレコーダーで対応しています。したがって、公約通りに発売できるでしょう。
一方、SonyはPanasonicから遅れること1年で4K Ultra HDブルーレイプレーヤーを発売、2年遅れでBDレコーダーと第2世代4K Ultra HDブルーレイプレーヤーを発売します。
- 1カ月前からドラマ・アニメを“先録”できるソニーBDレコーダ。UHD BD再生も(AV Watch)
- ソニー、Dolby Vision対応で約3万円のUHD BDプレーヤー「UBP-X700」(AV Watch)
PS4 Proも4K Ultra HDブルーレイに対応できず、4K Ultra HDブルーレイに対しては消極的です。
そして、テレビに関しては機能が向上してるように見えて、実は開発力の低下をGoogleに丸投げすることで補っているにすぎません。
- 43型から85型まで。ソニースタンダード4K TV「X8500F」はAndroid Oreo(AV Watch)
- ソニーの4Kテレビ新製品、全て「Googleアシスタント built-in」対応へ(ITmedia)
本当に動作する、バグの無い、新4K衛星放送対応BS/CS 4Kチューナーを出せるのか疑問が残ります。
逆にチューナーも開発できないのに、よく恥ずかしげもなく新製品発表などできるなと感心してしまいます。
今後、4Kテレビを買う場合の危険性
Toshibaが新4K衛星放送対応BS/CS 4Kチューナーを内蔵した4Kテレビを出してきましたので、「Toshibaの4Kテレビを買いましょう」とは言いません。
テレビは家族全員が使うものなので、家庭によってこだわりがあると思います。「うちはテレビはVIERAしか買わない」とか、「BRAVIAの方が断然、発色がいい」とか。
メーカーへのこだわりがあるのはよいのですが、気を付ける点があります。
それは、そのメーカーが新4K衛星放送対応BS/CS 4Kチューナー内蔵テレビを発売するまで新しい4Kテレビは買わないでください。
別途、新4K衛星放送対応BS/CS 4Kチューナーを購入する必要があるという無駄な出費以上に、購入した4Kテレビの価値も極端に下がるためです。
「新4K衛星放送対応BS/CS 4Kチューナーを繋げば見れる」の嘘
3Dテレビで失敗したテレビ業界は4Kテレビに活路を見出そうとしました。価格の下落して苦しんでいた液晶業界が高解像度液晶で活路を見出そうとしていたことと、利害が一致したのです。
そのため、放送規格も伝送方式も決まっていない状態なのに、4Kテレビの販売を始めました。
その後、伝送規格のHDMI 2.0Xや著作権保護規格のHDCP 2.X、HDRなどが順次決まってきました。しかし、規格が決まっていない状態で販売された製品は、後から決まった規格に対応できるはずがありません。
それでも、「将来、4K放送が始まったら4Kチューナーをつなげば見ることができる」と宣伝して売ってしまった以上、4Kチューナーをつないでも見れないという状況は、非常によろしくないのです。
そのため、新4K衛星放送対応BS/CS 4Kチューナーには仕掛けが施されています。
これは今売られている4Kテレビの状況です。点線から左が4Kテレビとなります。
見ているTV番組は2K、BDレコーダーからの映像も2Kです。そのため「2K映像コンテンツの流れ」で黄色い線が示すように2K映像は4K映像にアップコンバートされて表示されます。
こちらは、最新の規格に適合した4Kテレビの状況です。
一部の4K放送や4K Ultra HDブルーレイは「4K映像コンテンツの流れ」に示すようにアップコンバートはされず、4K映像のまま表示されます。
では、最新の規格に対応していない4Kテレビはどうなるかというと「4K映像コンテンツ誤動作」のようになります。
新衛星放送チューナーは最新の規格に対応していないと判定すると、出力を4Kではなく2Kに落とします。そのため、4Kテレビは通常の2K映像コンテンツと判断してアップコンバートを行う経路で4K映像として表示します。
この経路は、最新の規格に対応していない4Kテレビだけでなく、最新の規格に対応していてもHDCPの通信エラーやケーブルの状態、ノイズなどで規格を正しく判定できない場合にも使われます。
要は「4K放送が映る」ことが重要であり、4K解像度のまま表示されることは保証していません。国やメーカーは「4Kチューナーをつないだのに見れないじゃないか」と言われて、責任を追及される事態を恐れているのです。
実際のところ、毎日、2K映像をアップコンバートされたTV番組を見ている状況で、真の4K映像とアップコンバートされた2K映像の区別がつくでしょうか。
しかし、新4K衛星放送チューナー内蔵テレビは違います。HDMIやHDCPなど関係無くテレビ内部で接続されますので通信エラーなど発生せず、必ず4K映像で表示されます。
新4K衛星放送チューナー内蔵テレビには、4Kに嘘が無いのです。
商品価値の低下
12月に新4K衛星放送が始まると、4Kテレビの呼び方が変わります。
新4K衛星放送チューナー内蔵の4Kテレビが「4Kテレビ」となり、内蔵されていない4Kテレビは「旧4Kテレビ」、「4K衛星放送 未対応テレビ」などと呼ばれるようになります。
この春から夏にかけて発売される新製品もすべてです。
こちらの記事で紹介されている新しい4Kテレビ「KJ-65A8F」は最新機能満載ですが、新4K衛星放送チューナーを内蔵していません。65型で55万円です。
では、12月にはいくらで売られているでしょう。
新4K衛星放送チューナーの価格である4万円下がるだけでしょうか。
もし、夏のボーナスで4Kテレビを買おうと考えているなら、将来価値をよく計算して購入を決めてください。
まとめ
基本的に商売は騙し合いです。
そして今は過渡期です。
いくら機能的に良くても、決定的に欠けているものがあるなら買うべきではありません。
騙される方がバカだと言われないように、よく考えて購入するかどうかを決めてください。
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