Windows 10は頻繁にアップデートされる非常に迷惑なOSです。
しかし、迷惑なアップデートを回避できるバージョンまたはグループが存在します。それらは従来CB、CBB、LTSBと呼ばれていましたが変更になりました。
ここではそれらの区分について説明します。
概要
LTSBについてのコメントがありましたので、これまでのCB、CBB、LTSBというブランチと、これからの半期チャネル(ターゲット指定)、半期チャネル、長期サービスチャネルというチャネルについてまとめておきます。
従来のWindows 10の区分「ブランチ」
Windows 10がリリースされた2015年からWindows 10 バージョン1703 (Creators Update)までは「ブランチ」という区分が使われてきました。
詳細は、こちらのページで説明されています。
- Windows 10 のサービス オプション(Microsoft)
顧客が選択できるブランチには4種類あります。
引用すると、このように説明されています。
- Windows Insider Program。 リリースの前に新機能を確認して、新機能に関するフィードバックを提供し、既にあるアプリケーションやハードウェアとの互換性を早期に検証するために、少数の PC で Windows Insider Program ブランチを利用できます。 これらの PC は、通常、IT テストに使用される専用の PC、IT 管理者が使用する予備の PC、その他の重要でないデバイスです。
- Current Branch。 初期導入者、IT チーム、およびその他のより広範なパイロット グループで、さらにアプリケーションの互換性と新しくリリースされた機能を検証するために、Current Branch (CB) を使用できます。
- Current Branch for Business。 組織内の大半のユーザーについては、Current Branch for Business (CBB) によって、長い時間をかけて、段階的に心機能を展開できます。
- Long-Term Servicing Branch。 重要なデバイスや特殊なデバイス (工場の機械装置、POS システム、ATM など) の場合、Long-Term Servicing Branch (LTSB) によって、新機能を受け付けないバージョンの Windows 10 Enterprise を提供します。ただし、セキュリティやその他の更新プログラムによって長期的なサポートが継続されます (Long-Term Servicing Branch は別の Windows 10 Enterprise イメージであり、Microsoft Edge、Cortana、Windows ストアなど、多くの付属アプリが削除されている点に注意してください)。
そして企業における展開の手順として以下のように行うことが推奨されています。
- Windows Insider Program リリースを使って評価プロセスを開始します。
- Current Branch を使うことで、最初のパイロット展開を実行します。
- Current Branch for Business が利用可能になった後、幅広い展開に拡大します。
- 次の Current Branch が利用可能になる前に、現在のリリースを使った展開を完了します。
第6世代Core iプロセッサーであるSkylake以降の新しいCPUを搭載したパソコンは「CB」に分類され大型アップデートが適用されます。
しかし、「CB」は「Pilot」とあります。何故、Microsoftは一般顧客をモルモットに使おうとするのか理解に苦しみます。
各ブランチの入手方法
ブランチの考え方はWindows 10 バージョン1703 (Creators Update)まで適用されます。
Windows Insider Previewを入手するには「設定」アプリで「更新とセキュリティ」「Windows Insider Program」を選択して「開始する」をクリックします。
Windows 10 Home/Proどちらでも可能です。また、Microsoftアカウントでの利用が必須となります。
CBとCBBについては「設定」アプリで「更新とセキュリティ」「Windows Update」の「詳細オプション」の「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」から指定します。
これはWindows 10 Proのみ可能です。
LTSBについてはWindows 10 Enterpriseでの提供となりますので企業としてMicrosoftと契約しなければ入手できません。
- Windows 10 のリリース情報(Microsoft)
こちらのページではバージョン1607にLTSBの記述がありますが、これはバージョン1607がLTSBなのではなく、LTSBとして提供されているものがバージョン1607であるということです。
新しい区分「チャネル」
Windows 10 バージョン1709からはブランチという区分からチャネルという区分に変更されました。これはSemi-Annual Channel (SAC)と呼ばれるものです。
詳しくはこちらで説明されています。
ただし、ここで説明されている「Targeted」と「Broad」の解釈は違っているようです。下記を見ると各バージョンごとに「Targeted」と「Broad」は存在します。
- Windows 10 リリース情報(Microsoft)
また、簡単な説明としてMicrosoftのサイトでも説明されています。
- サービスとしての Windows のクイック ガイド(Microsoft)
これは従来のWindows Insider Previewはそのままに、CB、CBBを合わせて「半期チャネル」、LTSBを「長期サービスチャネル」に分けるものです。
SACではWindows 10のサポート期間は18か月と決められています。
この18か月という期間を過ぎると品質更新プログラム、いわゆるセキュリティパッチが提供されなくなりますので、18か月以内には新しいバージョンに移行する必要があります。
従来のCB、CBBという区分は「半期チャネル」に統合されたのですが、概念は残っています。
機能更新プログラム、いわゆる大型アップデートが提供されるとすぐに適用されるのが「半期チャネル(ターゲット指定)」、数か月後に適用されるのが「半期チャネル」となります。
Windows 10 バージョン1803では「半期チャネル(ターゲット指定)」が「半期チャネル(対象指定)」と変更されました。
この2つの区分についてはこちらで説明されています。
各チャネルの入手方法
チャネルの考え方はWindows 10 バージョン1709 (Fall Creators Update)以降で適用されます。
Windows Insider Previewの入手方法は従来と同じです。
「半期チャネル(ターゲット指定)」と「半期チャネル」に関してはCB、CBBに置き換わるものなので設定場所も同じです。
「設定」アプリで「更新とセキュリティ」「Windows Update」の「詳細オプション」の「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」から指定します。
これはWindows 10 Proのみ可能です。
「長期サービスチャネル」についてはWindows 10 Enterpriseでの提供となりますので企業としてMicrosoftと契約しなければ入手できません。
パソコンによる配信時期の違い
コメントで質問を頂きましたので追記します。
Windows 7など従来のWindowsは、リリースされた後は機能の追加は行われず、バグの修正が行われるだけでした。そのため、更新プログラムを適用していくことで安定性が増していくことになります。
ところがWindows 10では機能の追加を繰り返すため、オレンジ色の波線のように安定性が時期によって変化します。
大型アップデートを適用した後、更新プログラムを適用していくことで安定性は増していきますが、次の大型アップデートを適用することで、安定性が一気に下がってしまいます。
これをチャネルの考え方で示すとこのようになります。
今(2018年4月)はApril 2018 Updateがリリースされる直前のため、Fall Creators Updateが一番安定している時期です。
April 2018 Updateが適用されると安定性が一気に下がります。この下がったラインが「半期チャネル(ターゲット指定)」の安定性です。
ここから「半期チャネル(ターゲット指定)」の対象となるパソコンに配信して広域テストを行います。ターゲットはWindows 10 Insider Previewのテスターが使っている比較的新しいパソコンとなります。
新しいパソコンにしか配信しない理由は推測になりますが、問題が発生した場合に原因を特定することが困難になるため、または問題が起きる可能性が非常に高いためだと思われます。
新しいパソコンならWindows 10 Insider Previewで十分テストされていますので、これまでにテストされていない、アプリケーションソフトか周辺機器のドライバーが怪しいと推定できます。
しかし、古いパソコンだと、パソコン側がテストされていないため、パソコン側に原因がある可能性もあります。
配信から数か月で周辺機器やアプリケーションソフトの問題が解決したところで、全体への配信が始まります。
ここで古いパソコンにも配信されますが、新たな問題が発生する場合でも、既に一度対策していますので対応は早いでしょう。また、場合によっては問題を起こすパソコンは保証外として切り捨てる場合もあります。
新しいパソコンと古いパソコンの境界線ですが、概ね第6世代Core iプロセッサーであすSkylake以降が新しいパソコン、それ以前が古いパソコンと見てよいでしょう。
理由は、Windows 7/8.1のサポート期限で二転三転しているためです。
それなら何故、古いパソコンもWindows 7/8.1から無償アップグレードさせたのかと疑問に思うかもしれません。
理由は、慈善事業でも、パソコンを延命させるためでもありません。新しい機能を使うためには古いパソコンではパワー不足であることを、実際に使わせて認識させ、新しいパソコンに買い替えさせるためです。
実際のところ、ハード的な理由で最新バージョンのWindows 10にアップデートできないパソコンは沢山あります。初期のWindows 10プリインストールパソコンでもです。
まとめ
Windows 10の提供区分については、呼び名や期間が変わってもWindows 10の品質が向上するわけではなく、迷惑なことに変わりはありません。
注意すべきは18か月というサポート期間です。
比較的古いパソコンは数か月遅れで配信されますので、いろいろな方法でアップデートを免れても、約15か月以内には新しいバージョンに移行しなければなりません。
(半期チャネルから半期チャネル(ターゲット指定)までの期間を4か月としていましたが、その根拠となる記事が無くなったため数か月に変更しました。実際にはバージョン1709で3か月、バージョン1803で2.5か月です)
コメント
Windows 10について、わからないことが多いのですが、今回の半期チャネルはよく理解できました。
その中で、最後のまとめの中で「比較的古いパソコンは4か月遅れで配信されます・・・」とありますが
なぜ比較的古いパソコンは4か月遅れで配信されるのか、わかりません。比較的古いパソコンは半期チャネル(CBB)になっているからなのでしょうか。
コメントを頂きありがとうございます。
説明を記事に追記させて頂きました。
推測になりますが、問題が起きることが分かり切っているから、対策は後回し(4か月後)にするためだと思われます。