May 2020 Updateという名前が示すように、予定通り5月末にやっとWindows 10 バージョン2004の配信が始まりました。
Windows 10 バージョン2004
日本時間で2020年5月28日(木)早朝、May 2020 Updateまたは20H1と呼ばれるWindows 10 バージョン2004の配信が始まりました。
これまでのリリース日とサポート終了日などと比較すると、Windows 10 バージョン2004のサポート終了日が2021年12月14日(火)であることから、本来は2020年5月26日(火)のはずが何かしらの問題で、1日ずれた可能性があります(太平洋標準時間)。
Windows 10の大型アップデートは、Windows Updateでの配信対象を徐々に広げていきますが、今回は少し違うようです。
Windows 10 バージョン2004は評価には時間がかかるとのことで、1年以上前からWindows Insider Programに配信され評価されてきました。Windows 10 バージョン2004の元となるBuild 19041も昨年12月10日には配信されており、それから5か月ほどバグ潰しを経ていますので完成度は高いはずです。
従来のバージョンでは比較的新しいCPUを搭載したパソコンには、正式リリース直後からWindows Updateでの配信をはじめていました。しかし今回は、私の環境では1台もWindows Updateでは配信されていません。
現状では、メディア作成ツールを使ってメディアを作成してアップデートするしか方法はありませんが、それも問題があるように思えます。
メディア作成ツールも更新
メディア作成ツールは「MediaCreationTool2004.exe」と新しくなっています。
- Windows 10のダウンロード(Microsoft)
プロパティを見ると、ビルドは19041.1のように見えますが、実際に作成されるメディアは不定期にアップデートされています。
リリース直後に作成したメディアでインストールされるのは、ビルド19041.264であり現時点での最新版です。
一時期はISOファイルならひとつ前のバージョンをダウンロードできましたが、少し前から最新版しかダウンロードできなくなり、バージョン2004のリリースと同時にバージョン2004しかダウンロードできなくなりました。
以前のバージョンのISOファイルをダウンロードしたい場合は、こちらの記事を参照願います。
問題点
バグではなく仕様のようですが、いくつか気になる点があります。
Windows 10 Proの延期設定が廃止に?
Windows 10 Proのバージョン1909までは機能更新プログラムと品質更新プログラムをインストールする時期を延期させる設定がありました。
しかしWindows 10 Pro バージョン2004にはこの設定がありません。
Windows 10 バージョン1909でも正式リリース直前まで表示されなかったのですが、正式リリース時点では表示されるように直されていました。
Microsoftも一枚岩ではないようですし、製品にテロを仕掛ける輩もいるようですので、今後修正される可能性はあります。
しかし、Windows 10 Enterpriseなどが買えない中小企業にとっては、更新プログラムのインストール時期をコントロールできないことは問題となるかもしれません。
ブルースクリーンの問題
上記のような仕様の変更ともとれる問題とは別に、特定環境で発生する問題で重大な問題が現時点では解決されていません。
特に問題となると思われるのはブルースクリーンの問題です。
この症状はすべての環境ではなくThunderboltドックを使っている場合です。ThunderboltドックとはUSB Type-Cで接続して、USBの他にディスプレイ出力ができるアダプターです。
このThunderboltドックを接続したり取り外すとブルースクリーンになるとのことです。
予期しないシャットダウンまたは再起動の問題
複数のAlways on、Always Connected対応のネットワークアダプターを持つパソコンで、予期しないシャットダウンや再起動が発生する可能性があるとのことです。
この問題の対象としてSurface Pro 7やSurface Laptop 3などがあるそうですが、自社製品で問題が発生することが分かっていながら配信を開始したことになります。
ゲームにクリティカルな問題
インテルCPU搭載のGPUでリフレッシュレートが正しくコントロールできないとか、RealtekのBluetoothを搭載するパソコンで複数のBluetoothデバイスと接続できないとか、GameInput Redistributableを使用しているゲームでマウスが使えなくなるなどの症状が確認されているとのことです。
既存ドライバーの問題
いつものことですが、既にインストールされているドライバーや設定が書き換えられて、デバイスが使えなくなりました。
私の環境ではスキャナー、プリンターなどが使えなくなりました。ドライバーのアンインストールと再インストールや、ブラウザーのリセットなどを行い使えるようになりましたが、設定などはやり直しです。
その他の既知の問題
これらの問題は、こちらのサイトに掲載されており、修正状況は逐次更新されます。
- Known issues and notifications(Microsoft)
これらの問題を修正してからリリースすべきとフィードバックHubに投稿している人もいましたが、完全にバグが解消されることなどありませんので、決めた期日でリリースすべきだと思います。
問題となるパソコン環境の場合は、アップデートを待つべきでしょう。
Windows 10 バージョン2004での変更点
Windows 10 バージョン1909からの変更点についてはこちらの記事を参照願います。
アップデートに際しての注意点
Windows 10 バージョン2004へのアップデートは従来のアップデートよりメモリーを食うようです。
ストレージが不足する場合は、より容量の大きなUSBメモリーにUSBメディアを作成するとか、外付けHDDなどで代替えできます。
しかし、メモリーについてはほとんどの場合は増設できませんので、常駐プログラムをアンインストールすると効果的です。
何度もアップデートに失敗して以前のバージョンに戻される場合は、ウイルス対策ソフトなどをアンインストールするとアップデートできる場合があります。
アップデートしないために
上記で説明したようにアップデートしてしまうとWindows 10 Proでも延期設定が行えません。しかし、Windows 10 Pro バージョン1909までは延期設定が使えますので、Proならば延期設定をしておく方がよいでしょう。
現時点では、Windows Updateに「Windows 10 バージョン2004の機能更新プログラム」は表示されないと思います。
しかし、表示された後では「今すぐダウンロードしてインストールする」と「更新プログラムのチェック」はクリックしないようにしてください。クリックするとアップデートされてしまいます。
アップデートしたくない場合はWindows Updateは触らないようにしてください。
また、Windows 10 Homeでは、最大35日の延期機能を使うこともお勧めします。
まとめ
やっと、Windows 10 バージョン2004の配信が始まりました。
Windows Insider Programで試している時には問題無いように見えたのですが、実際にWindows 10 バージョン1909からアップデートしてみると、Microsoftにとっては問題無くとも、ユーザーにとっては重要な問題が残っているように思えます。
少なくとも、1,2週間はアップデートを待った方が良さそうです。
コメント
こういうの出てますね。
未だにサポート切れの1803を使ってますのでそろそろupdateしようと思っていたのですが…
【ゆっくりニュース】「Windows 10 May 2020 Update」でブルースクリーン発生やBluetooth未接続、一部アプリでIME不具合
https://www.youtube.com/watch?v=6V-L-T7sUfU
コメントを頂きありがとうございます。
今回認識されている問題もすべての環境で起きるわけではないので、個人的にはあまり神経質になる必要はない気がします。
もちろん、安全を期するなら問題が解決するまではアップデートを待つべきだと思いますが、待っていると更に問題が発生しそうです。
いくつかの新機能で使いたいものがあるならアップデートして、無いならサポートが切れるまでは旧バージョンでよいと思います。
今回の更新では、以前の「回復パーティションの増殖」問題はどうなったでしょうか。
一部で、改善された等の記述を見ましたが。
コメントを頂きありがとうございます。
変わったのはクリーンインストールだけでアップデートは従来通りです。
回復パーティションの増殖はWindows 10 バージョン2004でも発生します。
詳しくはこちらの記事をご覧願います。
Windows 10 バージョン2004における回復パーティション確保方法の変更
https://solomon-review.net/windows10-v2004-recovery-partition/
v1909からv2004へ更新した結果での疑問点です。
Solomon様の回復パーティションの増殖防止方法(※)をお聞きし、v2004へ更新しました。※サイズ:1GB以上、種類と属性の指定
結果、回復Pの増殖は防げましたが、なぜかよく分かりませんが、予約とシステムの配置が逆になってました。予約のサイズも大きいです。
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Partition ### Type Size Offset
Partition 1 予約 128 MB 17 KB
Partition 2 システム 100 MB 129 MB
Partition 3 プライマリ 110 GB 229 MB
Partition 4 回復 1051 MB 110 GB
--------------------------------------------------------
問題ないかとは思いますが、このままでも構わないでしょうか?
コメントを頂きありがとうございます。
アップデート前の状態をお聞きしていないので推測となりますが、「予約」と「システム」はアップデート前から、この配置、このサイズだったと思われます。
理由は、
システム 100MB
予約 16MB
の順で確保されていた場合は「プライマリ」の前に112MBの空きを作るために「プライマリ」を移動させなければなりません。
しかしWindows 10にはパーティションの移動機能は無いからです。
Microsoftのサイトをよく読んでみると「システム」と「予約」の配置順序は「プライマリ(Windows)」の前ならどちらが先でも問題ないようです。
UEFI/GPT ベースのハード ドライブ パーティション
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/manufacture/desktop/configure-uefigpt-based-hard-drive-partitions
どうしてこのような配置とサイズになっているのか分かりませんが、正常にアップデートできたことから、Windows 10を使用するには問題無いと思われます。
Solomonさま ありがとうございました。
問題無いだろうとの事お聞きし安心しました。
以前のv1909でのパーティション配置は以下でした。
--------------------------------------------------------------
Partition ### Type Size Offset
------------- ------------------ ------- -------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約 128 MB 101 MB
Partition 3 プライマリ 110 GB 600 MB
Partition 4 回復 1045 MB 110 GB
------------------------------------------------------------
システムと予約の順番は基本通りですが、なぜこうなったのか予約が16MB以上です。
縮小し、プライマリ(win10)と結合(win10を移動)しようとしましたが、とんでもないことが判り、そのままでした。
更新でどうしてシステムと予約の配置が逆転したのでしょうか?
また何かあればご教授の方お願いいたします。
コメントを頂きありがとうございます。
やはり「予約」が128MBになっているのが不思議です。こちらの環境では16MB以外では作成されたことがありません。
管理者権限のコマンドプロンプトでDISKPARTを起動して次のコマンドを実行するとヘルプが表示されます。
help create partition msr
その中の警告を読むと、システム、MSRの順でなければならないとあるのですが、サイズの制限などは無いので128MBでも問題無いと思います。
また、こちらのページではMSR、システムの順で作成するように説明しており、本当に順序が決まっているのか分かりません。また自動作成されるのが128MBであるとも述べています。
https://www.diskpart.com/jp/articles/gpt-reserved-partition-128mb.html
なお、ご要望通り先のコメントは削除させて頂きます。