「Windows 10 バージョン1803の機能更新プログラム」の配信ルートと「Windows 10 更新アシスタント」の動向について分かったことをまとめておきます。
Windows 10 バージョン1803の配信方法の変更
Windows 10 バージョン1803が配信される2018年4月30日以前、Windows 10 バージョン1709への強制アップデートが行われました。
この時は、通常ルートであるWindows Update経由での「Windows 10 バージョン1709の機能更新プログラム」の配信がまず行われました。
その後、KB4023057や累積更新プログラムに紛れ込ませた「Windows 10 更新アシスタント」というプログラムがインストールされるようになりました。
「Windows 10 更新アシスタント」が「強制アップデート」と言われる所以は、Windows 10が本来持っている「Windows 10 Proではアップデートを延期できる」とか「アクティブ時間内には自動再起動は行われない」という機能をすべて無視して、「Windows 10 バージョン1709」へのアップデートを最優先で行うプログラムだからです。それも未保存のデータがあってもアップデートを優先します。猶予は30分、気付いてカウントダウンを止めなければアップデートが始まります。会議などで離席中にやられるとアウトです。
その後、Windows 10 バージョン1803が一般リリースされ、より安定したバージョンが企業向けにもリリースされた7月中旬以降、8月中旬時点では、アップデート対象がバージョン1709からバージョン1803に変わっただけではなく、そのアップデート方法も変わってきています。
以下、変更内容について説明しますが検証を行ったのは現時点ではWindows 10 バージョン1709のみです。Windows 10 バージョン1703については2018年10月9日でサポート終了となるため、アップデートを検討した方がよいでしょう。
8月時点ではWindows 10 Proの延期設定は有効
Windows 10 Proでは設定で更新プログラムのインストールを最大365日延期させることができます。基準となる日付は設定によって異なります。
8月中旬時点では、Windows 10 Pro バージョン1709でこの設定を行うとバージョン1803にアップデートされることはありません。
また、Windows 10 Pro バージョン1709には「Windows 10 更新アシスタント」は配信されていません。
「Windows 10 バージョン1803の機能更新プログラム」
Windows Updateで配信される「Windows 10 バージョン1803の機能更新プログラム」は従来の方法でブロックすることも可能です。
ただし、従来と異なり、「Windows 10 バージョン1803の機能更新プログラム」が更新されるようです。
従来は、一度ブロックできればWindows Update経由ではアップデートされることはありませんでしたが、「Windows 10 バージョン1803の機能更新プログラム」が更新されることで、何度もブロックをやりなおさなければなりません。
7月時点でブロックを行ったのですが、日本時間で8月15日 2:00AM以降に更新された「Windows 10 バージョン1803の機能更新プログラム」が配信されたようで、ブロックが無効となりました。
再度ブロックは可能なのですが、更新されるたびに行う必要があります。
「KB4023057」の変更
従来は「KB4023057」がインストールされると「Windows 10 更新アシスタント」がいつの間にかインストールされていたので、「KB4023057」がインストールされないようにすれば、「Windows 10 バージョン1709」にアップデートされることはありませんでした。
ただし、これは「Windows 10 バージョン1703/1709」での話で、「Windows 10 バージョン1609」については累積更新プログラムに「Windows 10 更新アシスタント」を混入させていたとのことでした。
ところが8月時点では「KB4023057」をブロックしても「Windows 10 更新アシスタント」はインストールされてしまいます。
調べたところ現在の「KB4023057」はどうも機能が変わったようで、実行ファイルも変わっています。
こちらが以前の「KB4023057」の実体です。
そしてこちらが現状の「KB4023057」の実体です。
実行ファイルが変更されていますが、インストールフォルダーや「rempl.xml」という変わらないファイルが残っていることから、機能としては大きく変わっていないと思われます。すなわち、Windows Updateの失敗の原因などを報告するスパイウェアとしての機能に特化して「Windows 10 更新アシスタント」をインストールする機能は他のプログラムとして分離したのでしょう。
したがって、現状では「KB4023057」をブロックする意味は無いかもしれません。
Windows 10 更新アシスタント
「Windows 10 更新アシスタント」は大幅に変わりました。
従来はインストールされるルートは不明確ながら、インストールされると「コントロールパネル」の「プログラムのアンインストールまたは変更」に登録されるため、インストールされたことがハッキリと分かりました。
そしてアンインストールも可能でした。ただし、プログラムの実体とタスクは残ってしまうため、手動での削除が必要でした。
現在の「Windows 10 更新アシスタント」は様子が違っています。
まず、インストールは8月時点では「KB4023814」という更新プログラムで行われます。
番号が古いことから、以前からこの更新プログラムで配信されていたのかもしれませんが、Windows 10 バージョン1703で調査している時には確認できませんでした。
更新プログラムでインストールされるため「プログラムのアンインストールまたは変更」には登録されません。また、「更新プログラムのアンインストール」からもアンインストールできません。
登録されるプログラム本体は「C:\Windows\UpdateAssistant」に置かれます。
このフォルダーにある、4個のXMLファイル
- Task.xml
- AllUsersTask.xml
- CalendarTask.xml
- WakeupTask.xml
が「タスクスケジューラ」の「タスク スケジューラ ライブラリ\Microsoft\Windows\UpdateOrchestrator」に登録されますが、管理者権限でも変更や削除が行えません。
これらのタスクによって起動された「UpdateAssistant.exe」は「Windows10Upgrade.exe」を起動して、「C:\Windows10Upgrade」フォルダーに「Windows 10 バージョン1803」のインストールイメージとインストールプログラムをダウンロードします。
8月時点の64ビット版のイメージファイルは、「17134.112.180619-1212.rs4_release_svc_refresh_CLIENTCONSUMER_RET_x64FRE_ja-jp.esd」という3.22GBのファイルです。Build番号の小数点以下が112となっていますが、こちらで確認すると、
- Windows 10リリース情報(Microsoft)
企業向けの安定したBuild 17134.165ではないことから、今後変わる可能性があります。
ダウンロードが完了すると、まず、「$WINDOWS.~BT\Sources」などにインストールメディアとして展開されます。
次に「$WINDOWS.~BT\NewOS」に新しいバージョンの「C:\」に置かれるフォルダーやファイルが作成されます。「Windows」以外に「Program Files」「Program Files (x86)」「ProgramData」「ユーザー」なども作成されるため非常に大きなディスク容量を必要とします。ただし、この時点ではWindows以外のアプリケーションはコピーされません。
すべてバックグラウンドで行われるため、再起動のカウントダウンが表示されるまで気付かないでしょう。
Windows 10 バージョン1803へのアップデートをブロックできるか
Windows Update経由の「Windows 10 バージョン1803の機能更新プログラム」は何度も行わなければなりませんが、従来の方法でブロックは可能です。
「Windows 10 更新アシスタント」については裏に潜んで稼働するようになったため気付き難くなりました。また、「KB4023814」の正式名称は「2018-07 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 1709 更新プログラム (KB4023814)」とあるように毎月更新される可能性があり、こちらもブロックできたとしても、ブロックし直さなければなりません。実際には「Windows10.0-KB4023814-x64.cab」という5.77MBのファイルのため、ブロック作業をしている間にインストールされてしまいます。
したがって、現状の「Windows 10 更新アシスタント」については別の方法でブロックします。
詳細は別記事で説明します。
まとめ
やはり、大型アップデートを阻止する方法への対策も逐次更新されています。
「いたちごっこ」になってしまいますが、各国、各ユーザーで阻止方法が異なるため、マイナーな方法が対策されることはないようです。
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