使うためには年間1万円以上払わなければならないMicrosoft Officeですが、探すと非常に安く売っているのを見つけることができます。
どうしてそんなに安く売られているのでしょうか。また、買っても問題ないのでしょうか。
格安で売られてMicrosoft Office
メルカリを見ていたら、Microsoft Officeの永続版(Microsoft Office Professional Plus 2021、Microsoft Office Professional Plus 2019)が1,000円程度で販売されているのを見つけました。
友人にそのことを話すとヤフオクでもっと安く売っていると教えてもらいました。実際にヤフオクを見てみると確かに600円程度で販売されているのが確認できました。
同様にMicrosoft 365(旧Office 365)も格安で販売されていますが、永続版以上に問題がありますのでこちらの記事をご覧ください。
格安Microsoft Officeのインストール手順
現在販売されているのは、
- Microsoft Office Professional Plus 2021
- Microsoft Office Professional Plus 2019
の2種類でインストール媒体は違いますが、プロダクトキーは共通です。
試しにヤフオクで買ってみると、取り引きメッセージでプロダクトキーと手順書のダウンロードURLが送られてきました。手順書にはインストール媒体のダウンロードURLとインストール手順が記されています。
通常、量販店やAmazonなど通販で購入した場合(以下、正規版)は、セットアッププログラムをダウンロードしてMicrosoft Office本体はインストール段階でダウンロードされますが、格安Microsoft Office(以下、格安版)ではISOファイルをダウンロードしてインストールします。
正規版、格安版ともに媒体はMicrosoftのサイトからダウンロードしますので、インストールされるのは違法な書き換えなどが行われていない(ウイルスなどに感染する心配のない)本物のMicrosoft Officeということになります。
まず、格安版の媒体を使ってMicrosoft Officeをインストールします。
古いバージョンを使っていた場合は、先に古いMicrosoft OfficeでMicrosoftアカウントからサインアウトした状態でをアンインストールしておきます。
インストールしたMicrosoft Officeを起動するとプロダクトキーを聞いてきますので、メッセージにあったプロダクトキーを入力します。ライセンス認証はインターネットでは行わず電話認証を選択して、表示されたコードを取り引きメッセージで取引相手に伝えます。
相手から準備ができた旨のメッセージが届いたら、インターネットで認証し直します。すると認証が完了してMicrosoft Officeが使えるようになります。
別に売られている格安版も買ってみたのですが、そちらは取り引きメッセージでのやり取りなど必要なく、送られてきたプロダクトキーを使ってインターネットで認証できました。
ライセンス認証したMicrosoft OfficeはWindows 11/10を再インストールすると二度とライセンス認証は通らなくなります。もちろん、別のパソコンにライセンスを移すこともできません。
Microsoft Officeが格安で売られている理由
正規版Microsoft Officeを購入した場合、こちらのサイトからMicrosoftアカウントに紐付ける形でセットアップを行います。
実際に、このサイトで格安版Microsoft Officeのプロダクトキーを使ってセットアップを行おうとすると、このように表示されます。
エラーとなっている部分にはこのように記されています。
Microsoft 365 Business または他のビジネス製品のプロダクト キーの場合は、office.com/setupkey でプロダクト キーを使用してください。
Office 2010、Office 2007、または Office for Mac 2011 のプロダクト キーの場合は、それを使用して microsoft.com/software-download/office で Office をダウンロードできます。
それ以外の場合は、microsoft.com/redeem をお試しください。エラー コード: TOKEN_NOT_FOUND
関連付け ID:
このメッセージを見て分かる通り、一般向け商品ではなく企業向けのビジネス製品であることが分かります。
まあ、商品名を見ても分かるのですが、Microsoft Office Professional Plusは企業向け契約やmsdnなどの開発者向け契約でしか入手できない特別な製品で、一般向けには販売されていないものです。
正規のMicrosoft Officeの一般的な入手方法としては、現在次の3つの方法があります。
- パソコンに添付される永続版のプリインストール版を入手する方法
- 店頭や通信販売で永続版のMicrosoft Officeを購入する方法
- 店頭や通信販売でMicrosoft 365を購入する方法
この他に企業がMicrosoftか販売代理店とボリュームライセンス契約して入手する方法と、パソコン販売メーカーが自社で販売するパソコンに添付する目的で入手する方法があります。
格安版Microsoft Officeはボリュームライセンスの切り売りではないかという人もいますが、そうではないように思えます。
ボリュームライセンスを利用している企業に勤めている方はご存知だと思いますが、ボリュームライセンスは専用媒体と1つの共通プロダクトキーで構成されています。
現在は変わっていたとしても何千台ものパソコンに、異なるプロダクトキーを間違えずに配布することは非常に手間がかかり、IT部門の負担が大きくなるため現実的ではありません。
したがって、考えられるのはパソコンに添付して販売されるはずのライセンスで、生産計画が変わって余ったものや、倒産したパソコンメーカーから買い叩いたものではないかと考えられます。
格安なMicrosoft Officeは問題ないのか
本来のルートではなく非正規と言える販売形態は、今に始まったものではありません。
秋葉原がヲタクの聖地ではなく電気の街と呼ばれていた頃、ジャンクショップに行けば出所の分からないMicrosoft OfficeやWindowsが売られていました。それらは当時の相場でも考えられないほど安く販売されていましたし、怪しい露店でも同様に販売されていました。
今でも中古パソコンショップで格安のMicrosoft Officeが販売されていますが、これらは中古パソコンから引き剥がして、単体販売しているものです。
Microsoftは自社と直接、または代理店との契約、販売店からの購入などのMicrosoftが認める販売形態以外のルートで流通する商品すべてを「海賊版」と総称しています。
格安版Microsoft Officeはソフトウェアとしては本物のMicrosoft Officeに違いはないのですが、Microsoftが認める入手経路からではないため「海賊版」となります。
Microsoftは「海賊版」と指定していても、メルカリやヤフオクは規制していないようです。ただ、メルカリについては物品のやり取りが無いデータのみの販売は禁止しているはずが野放しです。
一方、最近Amazonはブランド名を使った規制を強めており、ブランド(メーカー)との取り引きを証明できないと出品ができなくなっています。
安くOfficeファイルを編集するには
結局、「海賊版」を使ってもよいかどうかは各人のモラルの問題となるでしょう。
どうしても安くOfficeファイルを編集したいなら、WPS Officeなど互換ソフトはいろいろ出ていますのでそちらを使う手もあります。ただし、互換は互換であって正規のOfficeとは微妙に処理が違うことで、問題が発生する場合もあることは知っておくべきでしょう。
昔によくあった問題としてフォントの問題があります。残業してまで作り上げた顧客へのプレゼン資料が、顧客のPCを借りてプレゼンしたところ、フォント処理の違いでレイアウトが崩れてしまい恥をかいたなどということがありました。
恥をかかないためには正規のMicrosoft Officeが必要ですが、永続版Microsoft Office 2021とサブスクリプション版Microsoft 365(旧Office 365)のどちらにするかが問題となります。
サブスクリプション版なら月々の支払いは安く済みますが固定費となりますので、現状のようにインフレが進むと家計を圧迫します。支払いをやめた時点でOfficeが使えなくなるので支払わない選択は無いからです。
一方、永続版なら初期投資はかかっても、出費が難しい場合はバージョンアップをスキップする選択ができます。未来は分かりませんので永続版の方が安全ですが、それではMicrosoftは儲かりませんのでMicrosoft 365でしか使えない機能を増やしています。
まとめ
格安のMicrosoft Officeはビジネス用途で販売されたものです。ただし、それは一般向けに販売してよいものではないため、Microsoftは「海賊版」として扱っています。
結局、使う人のモラルに任せることになりますが、業務利用などでは一般販売されているMicrosoft Officeを使うべきでしょう。「海賊版」を使っているという状況はコンプライアンスでも問題となります。
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