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WindowsパソコンでのUltra HD Blu-rayの再生は実質的に不可能に【更新2】

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第8世代Core iプロセッサー搭載パソコンから第10世代Core iプロセッサー搭載パソコンに買い換えた時に、UHD BDの再生環境テストが通らなくなったのは環境設定の問題だと思っていました。

しかし、どうも環境設定の問題ではなく、Intelが再生できない原因を作っているようです。

ウルトラHDブルーレイのパソコンでの再生

ビデオが家庭に普及しアナログのビデオテープからデジタル記録のビデオテープに変わりました。パッケージメディアもレーザーディスクというアナログ記録のものから、デジタル記録のDVD、ブルーレイ、ウルトラHDブルーレイと変わってきました。

デジタル記録というのは、多少メディアにキズがついても誤り訂正のおかげで、再生される映像や音声は劣化しない仕組みになっています。しかし、デジタルデータは複製が可能なので常に違法コピーの危険にさらされています。

そのためDVDやブルーレイディスクにはコピー対策が施されていたのですが、簡単に破られて違法コピーが行われるようになりました。今では少なくなりましたが、以前はDVDやブルーレイディスクのコピー方法を解説した雑誌もたくさん販売されていました。

そのような状況を改善するため、4K時代の新しいメディアとして登場したUltra HD Blu-ray Discには新しいコピー対策が搭載されました。

また、ブルーレイプレイヤーなど改造が困難なものと違い、パソコンでの再生は何でも有りの世界なので、再生ソフトには今まで以上に厳しいコピー対策がとられました。

具体的にはUltra HD Blu-ray Discから読み出された暗号化されたデータはCPUで暗号が解除されますが、それをメモリーに置いてしまえば別のプログラムに暗号解除済みのデータを盗まれてしまいます。そのため暗号解除からディスプレイに表示するまでデータをCPUから一切出さない仕組みとしたのです。PowerDVDで実現した仕組みに必要なのが「Intel SGXテクノロジー」「高度な保護オーディオ/ビデオパス」「HDCP 2.2」というものでした。

結果として、こちらの記事で説明したように非常に限られた環境でしかUHD BDは再生できない状況となってしまいました。

ちなみにAMDのCPUにも似たような仕組みは搭載されているので実現できそうです。そのため、PowerDVDの新しいバージョンが出るたびにAMDにも対応して来るのを期待していたのですが、PowerDVD 21まで対応は実現していません。

このように非常に厳しい状況が続いていたのですが、昨年あたりから更に悪化してきていました。

 

UHD BD再生環境チェックが通らない

現状、ウルトラHDブルーレイディスクをパソコンで再生できるソフトウェアは、PowerDVD 21~17だけです。WinDVDでも再生できるバージョンはあるのですが、パソコンに添付される形でしか提供されておらず、ソフトだけ入手して利用することはできません。

PowerDVDでウルトラHDブルーレイディスクを再生できるかどうかをチェックするソフトが、CyberLinkから提供されています。

起動するとこのウィンドウが表示されますが、未だにPowerDVD 18の広告が表示されることからも、更新が止まっていることが分かります。ウルトラHDブルーレイディスクの再生の仕組みや、この環境チェックソフトも含めて外部のベンチャーから買い取った技術なのかもしれません。

「ULTRA HD Blu-ray」をクリックすると「ユーザーアカウント制御」が表示されますので「はい」をクリックして進めます。

Cannot-Play-Ultra-HD-Blu-ray-on-PC-011

すぐにパソコン環境の調査が行われ、結果が表示されます。

これはWindows 11 Proがインストールされた、第10世代Core i7搭載のIntel NUC Kit NUC10i7FNHでの結果です。

Cannot-Play-Ultra-HD-Blu-ray-on-PC-012

以前に使っていたIntel NUC Kit NUC8i5BEHが故障したので、修理で作業が止まるのを防ぐために購入しました。急いでいたのでSSDをそのまま乗せ換えて、インストールされていたWindows 10 Proやアプリケーションソフトをそのまま利用していました。(SSDの載せ替えでの利用は再認証などが必要ですが、クリーンインストールするより短時間でパソコンの利用を再開することが可能です)

その時にCyberLink Ultra HD Blu-ray Advisorを実行した時も同じ結果だったのですが、その時はクリーンインストールしていないためだと思っていました。

しかし、2022年1月にクリーンインストールした後に実施した結果が上記のもので、状況は変わっていません。

いくつか問題のある項目がありますが、

  • HDCP 2.2(GPU/ディスプレイ)
  • UHD-BD 光学ディスクドライブ
  • HDR ハイダイナミックレンジ(GPU/ディスプレイ)

これらの項目は接続されている周辺機器の問題なので、後からでも対処できる項目です。パソコン本体側の対応は仕様から確認済みです。

問題は、

  • Intel SGXテクノロジー(CPU/メインボード)

という項目です。

また、インストールされているのですが「Intelマネジメントエンジンソフトウェア(Intel ME)」が検出されていません。これはIntel SGXには必要なソフトウェアです。

「利用できません」と表示されている部分をクリックすると、このように表示されるのですが、エラーコードがマイナスとなり想定外の状況であることは伺えます。

Cannot-Play-Ultra-HD-Blu-ray-on-PC-013

「詳しく見る」をクリックするとこちらのページが表示されますが、もちろんマイナスのエラーコードの項目などありません。

 

CyberLinkの対応

第11世代Core iプロセッサー(Tiger Lake)が発売されたときに、Intel SGXが搭載されていないことを知りました。発売前に調べた資料にはIntel SGXがブロック図に存在していたのですが、いろいろ調べてみると搭載されていないことが明確となりました。

そこでCyberLinkに問い合わせたところ2回目の問い合わせに対する回答で、Intel SGXを搭載していない第11世代以降のCore iプロセッサーを搭載したパソコンでは、ウルトラHDブルーレイディスクの再生はできないとのことでした。

そしてその時の仕様には、ウルトラHDブルーレイディスクの再生に対応するには第7世代から第10世代のCore iプロセッサーを搭載したパソコンが必要とありました。

しかし、現時点でPowerDVDの動作環境を見てみると

CPUの記述からこちらにリンクが張られていました。

このFAQの回答の要点は、

  • 最新のCPUを搭載したプラットフォームでは、ウルトラHDブルーレイディスクを再生することは不可能
  • 旧式のプラットフォームで継続してUltra HDブルーレイを再生したい場合は、Intel SGXに関連するドライバーを更新しないことが必要

とのことです。

IntelのCore iプロセッサーはたびたびバグが発生しており、そのたびにCPUのマイクロコードの更新と関連ドライバーのアップデートを行ってきました。その中にはIntel マネジメントエンジンソフトウェアも含まれていて、Intel SGXに関連するドライバーです。

すなわち、ドライバーを更新しないという選択は、セキュリティリスクを抱えることにつながります。

また、Windows 10をWindows 11にアップグレードしてしまうと、Windows 11に含まれている新しいIntel SGXドライバーに置き換えられてしまいます。

Windows 10にはIntel SGXドライバーが含まれていなかったので、新しいドライバーを削除して古いドライバーを使い続ければよかったのですが、Windows 11に含まれるIntel SGXドライバーは削除しても、古いドライバーをインストールするまでのわずかな時間に自動的にインストールされてしまいます。そのためWindows 11では古いドライバーへの置き換えはできませんでした。

 

Intel SGXの扱いの変化

Intel SGXは第6世代Core iプロセッサー(Skylake)の新しいバージョンから使えるようになった機能です。

当初は機能を搭載したものの利用アプリケーションも明確ではなかったのでしょう。しかし、最近のIntelのサイトを見てみると、Intel SGXはこちらのページで説明されています。

この説明で明確になっているのは、データセンターなどサーバーサイドでのデータ保護ソリューションとしての利用です。

クライアント向けプロセッサーでは、第11世代以降にはIntel SGXが搭載されていませんが、Xeonでは第11世代以降のコアを使ったものにも搭載されています。

結局、これら明確になった用途に合わせてIntelはドライバーを更新していますが、CyberLinkはPowerDVDの更新を行っていないということでしょう。もしかしたら更新できない事情(例えば技術を購入したベンチャーが倒産したとか)があるのかもしれません。そのため第7世代から第10世代のCore iプロセッサーでも、再生できない状況になってしまったと思われます。

なお、現在販売されている製品でIntel SGXをサポートするプロセッサーは以下のリストとなります。

 

パソコンでのウルトラHDブルーレイディスク再生の終わり

4Kは、家庭用テレビが先行して普及させられました。何も決まっていない状況で、3Dテレビの失敗を取り戻そうとAV業界が売り出したのですが、そもそも4Kのコンテンツが無い状況でした。

HDMI 2.0a/bが決まっても4K放送がまだ始まっていない状況で、ウルトラHDブルーレイディスクは真の4Kコンテンツとして発売されたわけです。

しかも4K対応を謳うPS4 Proは、Ultra HD Blu-ray Discを再生できない中途半端な仕様だったため、パソコンでのウルトラHDブルーレイディスクの再生対応には意味がありました。

しかし、現状では4K放送も始まったことでウルトラHDブルーレイディスクを再生できる4K BDレコーダーも普及しました。PS5も発売され、Ultra HD Blu-ray Discの再生に対応してきました。

一方、パソコンはタブレットやモバイルパソコンのシェアが増え、光学ドライブを搭載しないパソコンが大多数の状況になりました。光学ドライブを買ってまでUltra HD Blu-ray Discをパソコンで再生しようという人も減りました。最初に対応した段階でハードルを上げ過ぎたことも少なからず影響しているでしょう。

Intelはデータセンター向けにIntel SGXをどんどんバージョンアップしており、CyberLinkはそれに追従することを諦め、ユーザーはパソコンで見ようとは思わなくなったというのが現在の状況です。

したがって、パソコンでのウルトラHDブルーレイディスク再生は役割りを終えたと考えるべきでしょう。

 

PowerDVD 22発売

2022年5月12日(木)にCyberLinkはPowerDVD 22を発表・発売しました。

メディアプレイヤーとしての機能を向上させ、更にモバイルデバイスとの連携を強めるためにコンバート機能、カット編集機能、持ち出し機能を追加しています。

既にダウンロード版の販売は始まっており、体験版のEssentialもダウンロード可能です。いくつかの新しく搭載された機能も試せます。

ただし、残念ながらウルトラHDブルーレイディスクの再生に関して進展はなく、対応は第7世代から第10世代のIntel SGXが利用可能なIntel CPU搭載機種のみという状況は変わっていません。

 

PowerDVDの必要性

既にPowerDVDの「売り」はUltra HD Blu-ray Disc再生対応ではなく、「映画館並みのホームシアター体験」となっています。

確かにフリーのメディアプレーヤーでは、細かい画質調整や音響調整などはできませんので、パソコンを大画面テレビに接続して視聴するには必要なソフトです。

また、こちらの記事で説明したようにDTCP-IPにより、視聴制限がかけられている再生環境でも必要なソフトです。

それらが必要ないならば無料版のPowerDVD EssentialやWindows 11の新しいWindowsメディアプレーヤーなどで十分かもしれません。

 

まとめ

パソコンでのUltra HD Blu-ray Discの再生は、第11世代以降のCore iプロセッサーに限らず、すべての環境で不可能になりつつあります。正式にWindows 11に対応したPowerDVD 22でも、CyberLinkが新しい方法で対応することはありませんでした。

これは一概に悪いこととは言えず、これまでUltra HD Blu-ray Discの再生のために外付けグラフィックカードが使えませんでしたが、再生をきっぱりと諦めることで好きなグラフィックカードを搭載できるようになります。

またAMDのCPUは、Ultra HD Blu-ray Disc再生から取り残されていた状況でしたが、IntelのCPUでも同じ状況になったことで、CPUを選択するときの懸念点がひとつ減ったことにもなります。

サイバーリンク PowerDVD

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