Windows 8への移行と問題点

Windows 8.1
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発売から数か月経ちますが、どうもWindows 8には移行する気になりませんでした。Preview版を仮想環境で使い、リリース版をHyper-VとC60M1-Iとで試して問題点は見えていたためだと思います。それでも、Windows 8 Media Center Packの認証期限が近付いていたため、とりあえずメインマシンにアップグレードインストールを行いました。

概要

スタート画面が印象的なWindows 8ですが、デスクトップPCでは高解像度の大画面を活かせるアプリが無いため、ここでは従来のWindows 7と同様な使い方をした場合に気になった点を簡単に記します。

 

パッケージとアップグレードインストール

Windows 8の予約開始当初、PowerDVDが抱き合わせ販売されていたのは、MPEGデコーダーがWindows 8には搭載されていなかったためのようです。2013/1/31を過ぎた今ではMPEGデコーダーを含むWindows 8 Media Center Packは有料ですが、それでも動画を見ることがあるなら800円なので導入した方がよいでしょう。AVCのデコードはMedia Center Packが無くても出来るようです。

メインマシンはASUS P8Z77-V DELUXEですが、Windows 8をアップグレードインストールすると、いくつかのドライバーが対応していないので、アップグレードする前にアンインストールするように指示されました。

同じビット数版へのアップグレードインストールは出来ますが、違うビット数版へのアップグレードインストールは出来ないため、新規インストールとなります。新規インストールのパッケージ版やDSP版は、32bit版と64bit版は別パッケージで、インストール媒体も片方しか付いていません。しかし、アップグレード版は両方のメディアが付いており、違うビット数版へのアップグレードインストールも考慮し、新規インストールも可能とのことです。

アップグレード前のチェックで、IntelのLANドライバーが指摘されたので、ASUSのダウンロードページからWindows 8対応版(Ver.17.3.0.0)をインストールしたのですが、やはりアンインストールするように指摘されました、仕方ないのでアップグレード後にインストールすることとし、指示されたすべてのドライバーをアンインストールし、アップグレードを行いました。

なお、アップグレードに失敗する可能性もあるので、アップグレード前に、「システム イメージの作成」やバックアップソフトでWindows 7環境をバックアップしておいた方がよいでしょう。

Windows 7からWindows 8へのアップグレードは、セキュリティソフトをアンインストールしなくても、無効にしておくだけで、問題なく終わりました。(G Dataインターネットセキュリティ2013の場合)

 

ドライバー関係の問題

先に指摘されたIntelのLANドライバー(Ver.17.3.0.0)をWindows 8にアップグレード後、インストールしてみたのですが、度々ブルースクリーンになりました。メッセージをよく見ると問題のモジュールはNDIS.sysとあり、IntelのLANドライバーです。Windows 8が起動しなくなってしまったため、前回正常に起動した状態での起動実行し、アンインストールして問題は回避できました。現状はOS添付のドライバー(Ver.12.0.150.0)で動作しています。

このIntelのLANドライバー(Ver.17.3.0.0)は、現時点でもASUSのダウンロードサイトではWindows 8対応版(WHQL)として配布されているものなのですが、実際には使えませんでした。(Intelのサイトには、2013/1/11リリースのVer.18.0が置かれており、こちらは問題無く動作しています)

別のドライバーでも問題が発生しました。Brotherの複合機のプリンタードライバーとスキャナードライバーが、アップグレード後、うまく動作していないため、一度アンインストールし、再インストールしました。

元々、BrotherからWindows 8対応版ドライバーは、まだリリースされていませんが、あえてWindows 7のドライバーを使ってみました。(BrotherのサイトではWindows 7のドライバーは使えないと告知されています)

再インストールして、最初は問題なく動作しているように見えました。しかし、スキャナーの設定がスキャンする度に変わってしまいます。よく見るとインストールする度にスキャナーが追加され、アンインストールしても削除されていませんでした。

一度すべてアンインストールしてからと思ったのですが、Windows 8ではアンインストーラーが正常に動作していないことに気付きました。動作を見ていると、アンインストールの途中でアンインストーラーが異常終了していました。

このようにWindows 7用のドライバーでWindows 8対応版が出るまで凌ごうなどと考えると、削除出来なくなる危険性があります。

ドライバーに関してのメーカーのWindows 8対応は、Windows 7の時と比べて遅いか、対応する製品を絞ってきているようです。少し古いハードだとWindows 8では使えなくなる可能性もあります。

複合機は壊れない限り買い替えることは少ないと思われます。複合機に限らず、ハードウエア全般についてWindows 8対応ドライバーの対応状況はよく調べておく必要があります。

ちなみに、Canonの複合機は壊れやすい気がします。親戚で買ったところは何処も2年位で壊れています。Fax複合機としてはBrotherを使っていますが壊れたことはありません。EPSON、HPは使っていませんの不明です。

 

Windows 8の互換性

Windows Vistaは重い上にWindows XPとの互換性が非常に低いOSでした。そのため、Virtual PCでWindows XP環境を作り、仮想環境を使うことも、しばしばありました。

MSは、Windows Vistaで思惑通りにWindows XPからの移行を行わせることが出来なかったため、Windows 7を互換性の非常に高いOSにしました。Windows 7ではWindows Vistaでは動作しなかったWindows XPのソフトが、殆ど問題なく動きました。そのため、XP ModeというWindows XP互換モードもありましたが、使うことはほとんどありませんでした。

では、Windows 8はどうかというと、互換性がWindows Vistaと同じレベルに下がってしまったようです。または、Windows 7で緩めていた部分をWindows 8では厳しくチェックするようになったのかもしれません。

こちらをアクセスするとブラウザーを通して、ユーザーの環境をどのように通知しているか見ることが出来ます。

表示されるページのHTTP_USER_AGENTの項目にOSのバージョンが表示されます。Windows 8はWindows NT 6.2と表示されます。Vistaが6.0、Windows 7が6.1なのでWindows 8もVista改でしかないということです。

今まで使っていたソフトを起動してみると、Windows 8で動作しないソフトが結構あります。しかし、メーカーの対応は鈍重で、どうもWindows 8対応に積極的には取り組んでいないようです。また、少し古いソフトは対応自体を行わないものもあります。これはWindows 7のリリース時と大きく異なる点です。

そうなると仮想PCで、互換性を回避するという方法もあります。Windows 8 ProにはHyper-Vのサブセット版という仮想環境が付いています。しかし、元々、Hyper-Vは物理サーバーを仮想サーバーとして集約し、サーバーハードを減らし、管理を容易にすることを目的として使われることが多いものです。そのため、クライアント環境を忠実に再現するようには出来ていません。具体的には3Dやサウンド、USBがサポートされていませんので、ゲームには使えません。

あるゲームがWindows 8では動作しませんでした。そのため、Hyper-V上に構築したWindows 7環境にインストールし、実行したところ、Direct Soundのドライバーが無いとのことで、やはり起動出来ませんでした。Windows 7に添付されていた、XP ModeやWindows Virtual PCではサウンドがサポートされていました。Virtual PC 2007 SP1もサウンドがサポートされていましたが、Windows 8では実行出来ません。

従って、Windows 8で動作しないソフトで3Dやサウンドが必須なものは、MSが用意した環境では実行出来ないことになります。解決策としては、Windows 8とWindows 7のデュアルブート環境でインストールするか、他社製の仮想環境、例えばOracle VM Virtual BOXなどを使うかの、どちらかとなります。

Yahoo!スマホマネージャーはAndroidスマホの画面キャプチャーが出来るので便利だったのですが、ドライバーがWindows 8にはインストール出来ず使えませんでした。Hyper-VはUSBをサポートしていないため、やはりMSの仮想環境で動作させることは出来ません。

使うソフトにより状況も大きく違うと思いますが、一般に言われているWindows 8の以前のOSとの互換性と違い、実際にはWindows 7より低いものでした。何となくWindows 8はWindows 7と名前が似ているので、下位互換性が保証されていると思いがちですが、実際は幻想でしかないということです。

 

Windows 8の操作性

スタートボタンが無くなったModern UIは、スマートホンやタブレットでは使い勝手が良いと思われますが、マウスとキーボードで操作する従来型のPCでは、

  • 「Windowsキー」でスタート画面を表示
  • 何もない部分で右クリックして「すべてのアプリ」ボタンを表示させる
  • 「すべてのアプリ」をクリックしてプログラム全体を表示
  • 横にスクロールして目的のプログラムを探す
  • 目的のプログラムをクリック

という操作をしないとアプリが起動できません。100個以上のアプリから目的のアプリを探すのは大変です。スタート画面に表示させるようにカスタマイズするのがWindows 8本来の使い方ですが、デスクトップにショートカットを作成しておいた方が、遥かに早く起動できます。

Windows 8はタッチパネルに最適化されていますが、マウスでの操作も考えていると言われても、広い画面や解像度を生かさず、マウスの移動距離も格段に多くなり非常に使い辛いのは事実です。

なお、Windows Updateのオプションに表示される「Bingデスクトップ」ですが、インストールして自動起動にしておくと、パソコン起動するとデスクトップ画面が自動的に起動するので、頻繁に使うソフトのショートカットをデスクトップに並べておけば、スタート画面を使わず、Windows 7を使っているように使えます。

 

コピー経過ウインドウ

エクスプローラーでファイルのコピーを行うと経過を表示するウインドウが表示されます。しかし、必ずと言ってよいほど他のウインドウの裏に隠れてしまいます。

Windows8-migration-and-problem-01

Windows 7まではモーダルウインドウでした。モーダルウインドウとは、親ウインドウより必ず手前に表示されるウインドウです。

ところが、Windows 8はコピーや移動の経過を知らせるウインドウに親ウインドウが無くなりました。複数のエクスプローラー間でコピーを行っても、経過ウインドウは一つのウインドウにまとめて表示されます。親ウインドウが無いのでモーダルウインドウにはならず、殆どの場合、コピー先のウインドウか、別のウインドウの裏に隠れて表示されます。そのため、コピーの終了を待って次の作業を行う場合など、Aeroプレビューで経過ウインドウを探し、手前に表示させなければなりません。これを毎回行うのは、かなり面倒です。

 

日本語入力

Windows 7までのOffice 2010などは、OSのリリース時期とOfficeのリリース時期がずれていたためか、Officeに最新のIMEが含まれていました。しかし、Office 2013にはIMEは含まれていないため、Windows 8添付のIMEを使うことになります。

Windows 7までは、IMEのON/OFFは、ソフト毎に管理されていました。そのため、Wordで日本語の文章を入力している最中に、ブラウザでIME OFFの状態でURLを入力して調べ物をして、再度Wordに戻っても、IMEは日本語入力の状態から変わっていませんでした。

しかし、Windows 8からは、IMEのON/OFFがOSで管理され、WordでONにして、ブラウザでOFFにすると、Wordに戻ってもIMEはOFFのままとなります。

これは、慣れという問題ではなく、ひたすらストレスが溜まります。日本語入力メインのアプリでは切り替えて戻る度に再度IMEをONにしなければならず、英語入力メインのアプリではURLを入力しているつもりが、変な日本語が入力されているようなことが頻繁に起きます。防止するには、操作するソフトを切り替えたら必ずIMEのON/OFFを確認する必要があります。

自分で切り替えたとおりに動作するならまだ良いのですが、時々、Webサイトで自動でIMEをON/OFFするページがあり、更に混乱します。

常にIMEをONの状態とし、半角英数字が必要な場合は、半角英数変換(F10)を行うのが正しい使い方なのかもしれませんが、従来の仕様に慣れているので、非常に面倒な仕様に思えます。

 

マウス

マウスが世間で使われ始めた頃は、2つボタンで十分でした。しかし、インターネットブラウザが標準搭載となり、進む、戻る、スクロールもマウスには必須の機能になりました。

Windows 8では、チャームやスタート画面など更に機能が増え、その対応に画面の4隅を使うようになりました。ただ、4隅は遠く、マウスを大きく動かさなければならなくなり、非常に面倒です。

MSのTouch Mouseは2011年に発売されたものですが、ジェスチャーをWindows 8対応に変えたことで、指1本、2本、3本でのジェスチャーでタッチパネルのような操作が出来ます。最初は高価な商品でしたが、今は、3000円程度で買えます。

ジェスチャーでWindows 8の新しい画面をコントロールすることが出来る反面、タッチセンサーが指が乾燥していると正しく動作しないこと、マウス表面の何処をこすってもスクロールしてしまうこと、フリック動作でスクロールさせるとタッチするまで止まらないこと、など問題もあります。スクロールとフリックの問題はExcelなどでは注意が必要です。

なお、2本指で上から下に動かした場合のジェスチャーに、スクロールボタンを割り当てると、一般的なスクロールマウスの動作に加えWindows 8の操作も行えるので結構便利です。

マウスボタンが増えれば同じことは出来るので、マクロを登録できるゲーミングマウスを使ってみました。

  • Windows 8 と Windows RT の新しいキーボード ショートカット

このページにあるWindows 8で追加されたショートカットを、LogicoolのG600というゲーミングマウスのボタンに割り当ててみると、結構快適に操作出来ました。

結局は、従来通り、機能が増えたのだから、マウスに専用のボタンを増やすことがベストなのだと思います。しかし、iPhone以降静電タッチパネルが流行りなので、当面はTouch MouseやWedge Touch Mouseのような製品しか出ないのかもしれません。

 

まとめ

以上がWindows 8をWindows 7と同様の使い方をした場合に気になった点です。

当たり前のことですが、Windows 8に移行するなら、まず、ソフトやハードが対応を完了しているか確認することです。特にハードは、対応しないものも多いので、複合機などは買い替えが必要となるかもしれません。間違っても、Windows 7のドライバーを使おうなどと考えないことです。最悪の場合、OSの再インストールが必要になります。

ソフトに関しては、対応状況が分からない場合は、Windows 7からのアップグレードインストールを行い、試してみるのが良いでしょう。互換性が無ければ、アップグレードの段階で指摘されますし、実環境で使うことで、使ってみないとわからない問題も確認出来ます。

アップグレード環境で、問題無く使えそうだと思えた場合は、Windows 8をクリアインストールすることをお勧めします。アップグレードによるWindows 7のゴミと、互換性のテストによるレジストリ異常などが発生している可能性が高いためです。

Windows 8では使えないと判断した場合は、

  • 「システム イメージの作成」やバックアップソフトで作成したバックアップからWindows 7環境に戻す
  • Windows 7とWindows 8のデュアルブート環境を構築する
  • MS以外の仮想PC環境を使用する

などが、考えられます。

画面の小さいスマートホンやタブレットでは、スタート画面のライブタイルは使いやすいものです。しかし、フルHD以上の解像度を20インチ以上の大画面で見る場合、1ドットが視認出来ますので、奇麗に見せることより、多くの情報を表示することが出来るデスクトップ画面の方が便利ですし、効率も上がります。Windowsアプリはどんなに大きく解像度が高い画面でも、必ず1つまたは2つのアプリで1画面を占有してしまいます。

その事実を有効に利用したアプリがほとんど無い現状では、Windows 8に移行する意味は無いかもしれません。また、Windows 8に移行しても問題が多く、時間が解決しないものも多いようです。

現状ではWindows 8で無ければ動作しないというハード、ソフトは殆ど無いため、無理に移行せず、Windows 7を使い続けた方がよいかもしれません。

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