Windows 10 バージョン1709で、バカになったMicrosoft IME

バージョン1709
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Windows 10 Fall Creators Updateは、未完成だったCreators Updateを完成させただけで大きな問題は無いように感じます。

ただし、ひとつだけ許せない大きなバグがあります。Microsoft IMEがバカになったことです。

最近のMicrosoft IME

日本人がパソコンを使う上で必須なソフトがあります。英語しか入力できないキーボードから日本語を入力できるように「かな」や「ローマ字」から「ひらがな」「カタカナ」「漢字」に変換する「日本語IME」です。IMEとはInput Method Editorの略です。

昔は辞書が貧弱でパソコンの速度も遅かったので変換効率を競っていろいろな日本語IMEがありましたが、Windowsに付属するMicrosoft IMEがそこそこ賢くなったので、別途IMEを購入する人も少なくなったようです。

Windows 10に付属するMicrosoft IMEは大きく3つの日本語変換手法を搭載しています。

ひとつは従来からの標準辞書を使った「標準変換」です。

「標準統合辞書」「郵便番号辞書」「単漢字辞書」など幾つかの辞書を使って変換を行うのですが、これらは日本人が作っていません。そのため日本語に無い単語が多数含まれており以前に問題となったこともあります。

変換には「変換」キーまたは「スペース」キーを使用します。

 

もうひとつは予測辞書を使った「予測変換」です。

これはパソコンのスピードが向上したため可能となったものですが、変換操作をしなくても入力された「かな」でリアルタイムに辞書を検索して対応する漢字混じりの言葉を候補として表示するものです。

変換には「Tab」キーを使用します。

 

最後のひとつはクラウド辞書を使った「クラウド変換」です。

これは予測変換の延長でパソコン上に持つ予測変換辞書ではなく、クラウド上のクラウド辞書を使った予測変換です。

入力した「かな」がすべてクラウドに送信されるため使わない方が無難です。

変換には予測変換と同様に「Tab」キーを使用します。

 

標準辞書と予測辞書はWindows 10に内蔵されている辞書なので大型アップデートの際に更新されますがクラウド辞書は逐次更新されています。

 

変換方法でキーの使い分けが必要

クラウド変換は使わないとしても、変換操作で標準変換を使うか予測変換を使うかで変換キーとして「スペース」を使うか「タブ」を使うかを使い分けなければなりません。

「かな」を打ち込んで変換したい漢字が予測変換で表示されたところで「スペース」を叩いてしまうと標準変換となり全く異なる候補が表示されることがよくあります。

この「スペース」と「タブ」の使い分けは非常に煩雑ですが現状は「仕様」ということでMicrosoftも直す気が無いようです。

 

馬鹿になったという例

予測変換を「タブ」を使いながら変換する分には、それなりの精度で変換してくれるのでよいのですが、問題は標準変換です。

いくつか例を挙げます。

もちろん殆どの環境でこのような変換結果にはならないと思います。しかしフィードバックHubの賛成票を見る限り私の環境以外でも発生しているようです。

 

「756えん」と入力して「スペース」で変換するとこのような候補が出ます。

Windows10-v1709-foolish-Microsoft-IME-01

また、年を入力するとこのように数字が全角に変換されます。

Windows10-v1709-foolish-Microsoft-IME-12

「おうたいは」と入力しても「おうたいは」と「かな」が優先して候補に表示されます。

Windows10-v1709-foolish-Microsoft-IME-13

「ひょうじゅんとうさいされている」と入力すると「ひょうじゅんとうさいされている」と「かな」のまま候補に表示されます。

Windows10-v1709-foolish-Microsoft-IME-05

この状態で「Microsoft IME」誤変換レポートを見てみると、ことごとく「かな」が候補として表示されていることが分かります。また確定文字列が空欄の項目もセットで登録されています。

Windows10-v1709-foolish-Microsoft-IME-06

 

履歴を消去しても辞書を修復しても効果無し

学習履歴の消去なども試してみましたが効果はありません。

フィードバックHubに問題提起しても辞書がおかしいのだろうとの意見しかありません。

Windows Insider MeetupでMicrosoftのIMEの開発担当者に聞いてみたのですが、Windows 10 バージョン1709には当初Microsoft IMEの辞書が壊れるバグがあったが、正式リリースまでに修正されたとのことで、そのような事例は聞いたことが無いとのことでした。

一応、対策としては辞書の修復で直るかもしれないとのことでした。辞書の修復とは「Microsoft IMEの詳細設定」の「辞書/学習」タブにある「辞書の修復」を使います。

Windows10-v1709-foolish-Microsoft-IME-14

「修復」をクリックするとこの表示となるので「はい」をクリックします。学習履歴はすべて削除されますがユーザー登録単語は通常は削除されません。

Windows10-v1709-foolish-Microsoft-IME-15

これで直ったかに見えたのですが、しばらくすると元のおかしな「かな」への変換を始めます。

 

状況を見る限り、予測変換が主流となったため標準変換は軽視され辞書の作りがいい加減になっていること、また、最初に「かな」に変換してユーザーに学習を指示させようという意図が感じられることなど使い難いことこの上ない状態です。

常に全角に変換しようとするのは完全にバグだと思うのですが。

「通常変換がダメダメでも予測変換を使えばいいのではないか」と思われるかもしれませんが、右手親指(スペース)で変換するのと左手小指(タブ)で変換するのでは文書の入力効率で大きな違いがあります。また、長年慣れてきた親指(スペース)以外での変換は思考の妨げにもつながります。

 

原因はオートコレクトのバグ?

数字が常に全角に変換される件については「Microsoft IMEの詳細設定」の「オートコレクト」の「全角/半角」の「数字」のデフォルトが「前回の変換結果に従う」になっていました。

もちろん数字は常に半角にするように決めていますので前回の変換結果は半角になるはずです。しかし何故か全角となります。

そのため「数字」の設定を「常に半角に変換」に変更したところ全角に変換されることはなくなりました。

「オートコレクト」には「ひらがな」の項目はありませんが「数字」と同じような感じですので、どうも「オートコレクト」のバグのように思えます。

 

まとめ

Microsoft IMEがおかしいことに気付いたのはWindows 10 バージョン1709にアップデートした直後でした。その後パソコンが壊れて新規に購入したパソコンにクリーンインストールしたにも関わらず、おかしな変換は再発しました。

また、別のパソコンでも同じ症状が出ており、やはりバグとしか思えません。

Windows 10 バージョン1803でも直らない、または直す気が無いならATOKに変えるしか無いのかもしれません。所詮、Microsoft IMEはWindowsの「おまけ」でしかないということでしょう。

コメント

  1. taki より:

    私もバージョン1709を入れているPCを数台所有しているので試してみたのですが、同様の症状が出るものはありませんでした。
    私の環境でのシステム辞書はデフォルトで入っている標準統合辞書、郵便番号辞書、単漢字辞書の3つのみで、“MicrosoftIMEの詳細設定”の画像にあるOutlook関連の辞書は使っておりません。
    もしかしたらこの辞書とバージョン1709との相性が悪いという可能性は考えられないでしょうか。

    • Solomon Solomon より:

      コメントを頂きありがとうございます。

      Outlook辞書は連絡先に登録した人名を候補として表示するものですので、通常の文章を入力した際に使われることはありません。

      また、Microsoft社内はOutlookを使っているでしょうから、その影響ならMicrosoftでも認識しているはずです。

      したがって、その影響は関係ないと考えます。

      自分の使っている文章を打たないパソコンでも同じように変な変換になりますので、何かしらのアプリケーションが影響している可能性もあります。

      多分、殆どの環境では同じように入力しても再現できないと思います。

      それでも一部の環境では同じような問題が発生しているので、やはりバグだと思います。

  2. hawakh より:

    同じ症状が出ており、困っています。
    その後、なにか良い情報がありましたら、ご教示お願い致します。

    • Solomon Solomon より:

      コメントを頂きありがとうございます。

      Windows 10 バージョン1709でのMicrosoft IMEのバグについてフィードバックHubの反応から見て、Microsoftだけでなく他の方もバグと認識していません。認識していないということはMicrosoftや他の方の環境では再現できていないということです。

      私の環境ではクリーンインストールしても再現することから、使い方や他のアプリの影響が考えられます。

      ひとつは、自分の意図しない「確定」による学習です。

      オートセーブや通知、ポップアップなどで文章を入力しているアプリからフォーカスが奪われると、それまで入力していた文字列が意図しない状態で確定されてしまいます。これを繰り返すことで学習結果に悪影響を与える可能性があります。

      この対策については、変な変換を始めたら学習結果を削除することで一時的に改善する場合があります。

      もうひとつとして、専門用語や業界用語が学習に変な影響を与えている可能性があります。

      辞書を初期化すると当たり前に使っている用語が変換できないことが多々あります。これを業界用語などで学習させていくことが影響するのかもしれません。

      専門用語については専門用語辞書を持つATOKに変えないと解決しないかもしれません。

      あとは、Microsoft IMEの設定を見て、変な変換をしないように変換候補を絞ることです。

      どうも釈然としませんが、無償ソフトの限界と諦めるしかないのかもしれません。

      何しろ、Windows 10 バージョン1803では更に酷くなっていますので。

  3. すぎ より:

    同感です。
    Tabとスペースを使い分けるのは困難です。
    時々、怒りで爆発します。
    Tabを廃止してスペースのみにする事は出来ないのでしょうか?
    Androidではその様な混乱は無いと思うのですが。

    • Solomon Solomon より:

      コメントを頂きありがとうございます。

      言われるようにMicrosoft IMEの変換には非常に腹が立ちます。

      そのため、Insider Meetupという年1回開催されるMicrosoft担当者との会合で、Microsoft IMEの開発担当にお聞きしたところ、[Tab]と[Space]の使い分けは問題のひとつとは認識しているようです。

      ただし、変更の優先順位は低く、Windows 10 Insider Previewの20H1(2020年4月リリース予定)に改良版Microsoft IMEが実装されていますが、これでの変更は実行プロセスのアプリケーションからの分離と設定GUIの変更に留まっています。

      [Tab]と[Space]の使い分けの問題はMicrosoft IMEのエンジンの変更が必要ですが、これはいつになるのか分からないそうです。

      当面は、諦めて使い続けるか、ATOKやGoogle IMEなどに乗り換えるしかなさそうです。

  4. たか より:

    同じ現象が出てて困っっていました。辞書設定を変えてもNGでした。
    しかし、Google IMEに変えたところよほどこちらの方が快適でした。(と言っても以前のIMEの使い勝手に戻っただけ。)
    多少変換操作に違和感はありますが、、有用な情報、有難うございました。

    • Solomon Solomon より:

      コメントを頂きありがとうございます。

      IMEはキーボードから直接文字を入力できない多くの言語で使われているため、Microsoftは変換効率よりも使い勝手の改善を優先しているようです。

      変換効率は文章を書く仕事をされている方にとっては切実な問題ですし、短い文書でも間違った返還にイライラすることが多々あります。

      現状のMicrosoftの開発ペースだとIMEエンジンや辞書の改善は数年待たないと無理そうです。

      やはり、現状では変換効率を優先するなら他のIMEを使うしかないように思えます。

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