大手キャリアから従来よりは安価な20GB、30GBという大容量プランが出揃いました。
しかし、MVNOでは既にLTEで使い放題というプランを提供しているところがあります。
大手キャリアが低価格大容量プランを発表
※以下すべての金額表示は(税抜)です。
SoftBank、AU、docomoが相次いで従来より安価で大容量のパケットプランを発表しました。
- ソフトバンクがデータ定額拡充、20GB月額6000円、30GB月額8000円(ケータイWatch)
- au、20GB/30GBのデータ定額サービス「スーパーデジラ」を提供(ケータイWatch)
- ソフトバンクのギガモンスター、仕様変更でauのスーパーデジラに対抗(ケータイWatch)
- ドコモも20GB/6000円の新サービス「ウルトラパック」、家族とシェアも(ケータイWatch)
相変わらず談合と言われても仕方ないような横並びのプランです。抜け駆けしたAUに対抗してSoftBankは仕様を修正してきました。仕様が落ち着いたところで最後にdocomoが当たり前のように同じ価格と同じ仕様で提供してきました。
定額無制限プランが無いのは「万が一」で客を欺くため
フィーチャーフォンの時代に「パケ死」という言葉が生まれて従量制パケット料金が問題視され、大手キャリアは「パケホーダイ」に代表される定額無制限プランを提供せざるを得なくなりました。このことにより大手キャリアのARPU(加入者一人当たりの売り上げ)が頭打ちとなりました。
通話定額を導入して基本料金を上げることでARPUを上げることに成功しましたが、スマートフォンも一巡し、新規契約が増えないためARPUを更に増やすにはパケットを更に使わせる必要が出てきました。
家族でのパケットシェアプランは平均化されるのでお得に見えますが、パケット利用のピークは家族内で分散せず時期が重なることが多いため、実際にはピークの合計で契約することになります。
本来なら段階性定額か定額無制限を提供すべきですが、従来より格段に安い大容量プランを提供することで「万が一の時のために」と大容量プランに誘い込むのが新しいプラン提供の目的です。
docomoの場合、データMパックの5GB 5,000円にプラス1,000円でウルトラデータLパック20GB 6,000円に移行できるのでお得度が高いように見えます。
しかし、期間で平均すると半分程度しか使わない場合もあるでしょう。でも人の心理として一度足りないことを経験すると「万が一」を考えて契約してしまいます。
docomoはデータSパックをキャンペーン対象外としてデータMパックに移行させることに成功しました。今回更にウルトラデータLパックに移行させるつもりです。
MVNOでは既に無制限プランが
大手キャリアとMVNOを同一レベルで比較することはできません。サポートや通信速度などでどうしても差が出てきてしまいます。
その分MVNOは安価にサービスを提供できます。そのため競争も激しく各社特徴のあるプランを提供してきています。
その中でスマモバはLTE使い放題プランを提供している珍しいMVNOです。
スマモバ(スマートモバイルコミュニケーションズ株式会社)は、SIM単体や端末とのセット販売も行っています。
現在キャンペーンを行っているのはモバイルルーターとSIMのセットです。
(2016/9/29 追記)
LTE使い放題プランが変更されます。今までは制限が無かったのですが、10/7までに3日間で3GBを超えると通信制限がかかるように変更されるとのことです。
ただし逆に考えると、通信制限が明確になったことで30GBプランとほぼ同等であることがハッキリしたとも言えます。
大手キャリアとの比較
プランは各社わざと複雑に分かり難くして単純に比較できないようにしています。
今回大手キャリアから提供された大容量プランはスマートフォンまたはタブレットとの組み合わせを前提としています。その組み合わせだと利用できるパケットの上限がある程度見えるからです。テザリングでパソコンからの通信を許すと短期間に膨大なパケットを使われる危険性があるためキャンペーンで一定期間は無料ですがテザリングは有料オプションとなっています。
大手キャリアから提供されている従来型のモバイルルーターは今回のプランの対象とはなっていません。3GBや7GBという制限と翌月への影響があります。
利用料はモバイルルーターが基本料金込みの7GBで5,000円弱、スマートフォンやタブレットで今回提供の大容量プランだと基本料金の他に20GBで6,000円というところです。
スマモバの場合は、端末とLTE使い放題プランのセットで3,980円ですので、単純に比較しても大手キャリアより安くなっています。
「使い放題」と言っても制限はあるでしょうし、実際にどの程度使えるかですが、
月間の通信データ量の制限はございません。ただし、他のお客様のご利用に影響を与えるような短期間での大容量データの送受信は、公平なサービス提供のため、一時的に通信速度の制限を行うことがあります。
とあり、よくある3日間で1GBなどの制限もありません。
IIJmioやLINEモバイルなどの提供しているプランは上限が10GBで3GBの追加ができますので13GBまではdocomoから文句が出ることもなく使えるでしょう。また、docomoが100GBのプランを提供することになったため今後は通信制限自体が大幅に緩和される可能性があります。
本当に大容量プランが必要なのか
面倒ですが、まず自分の利用状況を把握する必要があります。最近の数ヶ月での平均使用容量とピーク時の使用容量です。そしてピーク時の使用容量は使わずに我慢できるものなのか、チケットなどで追加してでも必要なものなのかです。
ビデオの視聴などで大容量を必要としているならピークは無く平均化しているでしょう。その容量が10GBを大きく超えるならスマモバがお得です。しかし、10GB近辺で10GB以下で我慢できるならIIJmioやLINEモバイルなどの方が安いでしょう。
一方、パソコンでの使用となると大きく事情が変わります。
最近はクラウドにデータを置いて作業することが流行りとなっており、パソコンは常にクラウドとの同期を行っています。そのため1日で数百MBなど当たり前のように使います。
また、今までのパソコンは出先で不具合が発生するとお手上げでしたが、Windows 10からはOSの初期化ができるようになり、Office Premiumはクラウドからインストールが可能となっています。そのため、出先でも諦めず環境の再構築が可能となりました。ただし、そのためにはGB単位での通信が必要となります。
モバイルルーターは複数人での利用が可能なため、出張先での会議での利用や、常に一緒に行動する仲間内で共有することで、通信費用を大幅に削減することができます。
このような場合も通信容量が読めないため、LTE使い放題プランだと料金を気にする必要が無くなります。
他MVNOとの比較とリスク
スマモバのLTE使い放題と端末のセットに近いプランとしてIIJmioがあります。どちらもMVNOで端末の分割払いと大容量通信契約がセットになったものです。比較するとこのようになります。
スマモバ | IIJmio | |
---|---|---|
セット端末 | +F FS020W | Aterm MR04LN |
端末分割払い月額 | 1,500円 | 980円 |
セット割引き | 1,000円 | 無し |
分割回数 | 36回 | 24回 |
契約プラン | LTE使い放題プラン | ファミリーシェアプラン |
容量制限 | 無制限 | 10GB |
プラン月額 | 3,480円 | 2,560円 |
セット時支払い月額 | 3,980円 | 3,540円 |
最低利用期間 | 24ヶ月 | 契約開始翌月末 |
解約事務手数料 | 9,800円 | 無し |
スマモバのセット端末である+F FS020Wは支払い合計で54,000円、割引きを適用して実質18,000円で購入することになります。+F FS020Wは2年前の機種なので現在の実売価格は約1万円ですが、一括で支払うことになり初期費用が嵩んでしまいます。
IIJmioのAterm MR04LNは支払い合計で23,520円でセット割引きはありません。
契約期間はスマモバが36ヶ月以上、IIJmioが24ヶ月以上ということになり、期間の違いはありますが端末代金という負債を抱えるリスクがあります。更にスマモバは最低利用期間という縛りもあります。
何故、リスクかと言うとモバイル通信業界は競争が激しく、常に新しいプランが発表されるからです。キャンペーンなどを利用すると契約満了時まで利用するより一度解約して再契約した方が安い場合もあります。
リスクについて計算してみました。
このグラフは、契約開始後、何ヶ月か後に解約した場合の解約事務手数料、端末代金の残債、それまでに払ってきた利用料を合計したものです。
スマモバの方が常に高いですがこれは端末の定価が54,000円と高く設定されていること、無制限となる分、プランが920円高いことなどのためです。25ヶ月目で最低利用期間を過ぎることで解約事務手数料がかからなくなります。
どれだけの容量を使いたいのか、そのために払えるのは幾らまでなのか年間予算を検討する際の参考にしてください。
例えばスマモバを12ヶ月で解約すると10万円程度かかるということです。IIJmioなら6万円ぐらいですが10GBという制限があります。
こちらのグラフはスマモバをある時点で解約した場合に、その月に払う金額とそのまま契約満了の36ヶ月後まで払い続けた場合の比較です。
25ヶ月目以降は解約事務手数料が無くなるため支払いは安くなります。
どの時点で解約しても払い続けるよりは安くなるため、より良いプランが出てきたら新しいプランで得になる金額と解約に必要な金額をこのグラフから読み取って比較し、解約時期を決める参考にしてください。
契約手続きについて
スマモバはIIJmioなどに比べて小さい会社のためいろいろな会社と提携しています。
契約に際してEPARK会員とEXPO会員への登録が必要です。会員を集めることが目的であり、有料コンテンツもありますが基本無料で退会も可能です。申し込みページはガゼル株式会社が契約の代行をしています。
MVNOはどこも小資本で始めているため会員集めに協力する形で提携したり業務委託したりしています。
スマートフォンとモバイルルーターの組み合わせでの注意
スマートフォンで使うなら「音声通話付きLTE使い放題」プランに変える方法もありますが、今あるスマホのデータ通信だけモバイルルーター経由にすることもできます。
その場合スマートフォンとモバイルルーターとの接続はWi-Fi接続となりますが、外では混信で接続が切れてしまい、気付かないうちにスマートフォンのLTE通信を使ってしまうこともあります。
大容量の通信を行う場合はスマートフォンのモバイルデータ通信はオフにしておいた方がよいでしょう。LTE通信はできなくとも通話はできます。
まとめ
大手キャリアの提供するギガモンスター、スーパーデジラ、ウルトラパックより、スマモバは断然安いです。
IIJmioも安いですが10GBという制限があります。
LTEで制限無しで安く使え、分割払いとすることで初期費用を安くすることもできるのがスマモバのメリットです。
ただし、端末の残債と24ヶ月の最低利用期間がリスクとしてありますので先の支払いまで考えて検討してください。
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