ケータイWatchで「SIMロック解除」損得説明で「賛成」急減などという記事が掲載されています。読んでみると何かおかしい。「一般的にはSIMロック解除に賛成している人は損得事情を知れば反対に転ずるのだよ」と言っているように見えます。あたかもSoftBankを擁護するように。
ケータイWatchは要約して伝えているだけなので元の調査結果を見てみました。
このような調査は、質問の仕方一つで大きく傾向が変わるため、どのような質問をしたかを見てみました。
- 「SIMロック解除」の認知率 6割半ば
この数字ですが、「詳しい意味まで知っている」の21.2%と、「名前を聞いたことがある程度」の44.5%を足してしまっています。あとの方の質問で詳しく知らないと誤認する質問があり、認知率では意味がなく、ここは、理解率は2割でしかないと分析する必要があると思います。
- 「SIMロック解除」に賛成 52.7%
- 「SIMロック解除」についてのメリット・デメリット説明後では「賛成」35.8%に低下
問題の部分ですが、対象のページの下の方にある「調査結果一部抜粋」の部分の該当する質問を見てみます。「SIMロック解除」の説明には、「電話番号やネットワークの情報が入っているSIMカード」とSIMカードの機能とSIMロック解除することにより出来ることが書かれており間違ってはいません。
その次のメリットの説明は、
- 通信事業者(ドコモ、AU、SoftBank)を変えても今の携帯が使える
- 現在の通信事業者以外の携帯電話が買える
- 競争によりサービスの向上が期待できる
これらに半数程度が賛同していることから、回答者はまだSIMロック解除を理解していないように思えます。SIMロック解除の意義は、通信事業者との契約はそのままで他の通信事業者の機種も含めて携帯電話を自由に選べることにあると思えるためです。
その次のデメリットの説明は、
- 紛失、盗難にあった携帯を利用されてしまう
- 携帯電話本体価格が値上がりする可能性がある
- 通信業者のサイトが見れない
- 通話、SMS、データ通信しか出来ない
- 周波数が異なる会社間では使えない
などとなっており、4割から6割が不満に思うと答えています。
前の方の説明で、SIMの機能とは「電話番号やネットワークの情報が入っているSIMカード」と説明していますが、SIMロック解除を理解していない8割の人は忘れている可能性があり、「自分の携帯の番号で電話を掛けられてしまう、使かわれたパケット利用料やコンテンツ利用料が請求されてしまう」といった理解不足による不安から回答したのではないかと思われます。実際、8割の方は、SIMを外した状態、同じ通信事業者の別のSIMを刺した場合、それぞれの場合で、どの情報が保護され、どの情報が保護されていないかなど、知らないでしょう。
ちなみに私が確認したドコモの携帯では電話帳などはロックしていなければSIMが刺さっていなくとも見れます。別のSIMを刺すと、アプリは起動できなくなり、おさいふ携帯のICは機能がロックされ、使えません。オーナー変更を行えば使えますがIC内の情報は削除されます。
その他の事項もiPhoneのようなスマートフォンでは当たり前のことですが、回答者はiPhoneを使いたいのですがiPhoneはどういうことが出来て、どういうことが出来ないのかを理解していないのではないかと思えます。
このように理解不足を利用した誘導質問をして、不安を煽ってから、
- 改めてお聞きします。「SIMロック解除」に賛成ですか
と質問しています。当然、賛成が減ります。
そして最後に、
- 「SIMロック解除」制度を利用して機種変更をするとしたら、どの機種に変更したいですか。
と質問しています。何かと聞かれれば話題性の高いiPhoneが多くなるのは自然でしょう。ただし、自由回答形式とはいえ、通信事業者、携帯電話メーカー以外で機種を特定しているのが、iPhoneとiPadだけで、Xperiaが無いのも不自然です。
私なりに見てみると、「一般的にはSIMロック解除に賛成している人は損得事情を知れば反対に転ずるのだよ」とSIMロック解除反対派のSoftBankを擁護し、さり気なく、iPhoneとiPadは、他の通信事業者の利用者からも使いたいと思われているのだと宣伝しているように取れます。
最後に、この調査会社ネットエイジアを見てみました。代表取締役 三清慎一郎 氏は、主要株主に名を連ねており、三菱UFJ証券株式会社、SBIインベストメント株式会社(旧「ソフトバンク・インベストメント株式会社」)を経て2005年2月ネットエイジア株式会社を創業とあります。