シャープが本物の8K液晶を使ったテレビを発売、しかし、時期尚早かも

4K/8Kテレビ
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シャープは以前、8K画質相当と偽って偽8Kテレビを発売しました。

消費者は騙されなかったようですが、今度は本物の8K液晶を使ったテレビを発売します。

でも仕様をよく見ると、まだ問題があるようです。

シャープからAQUOS 8Kが発売

シャープから本物の8K液晶を使ったテレビが発売されます。

型番は LC-70X500 で70V型の8K液晶を使ったテレビです。

価格は100万円前後ですが、一般に入手できる8K液晶としては破格の値段とのことです。

基本的なスペックは、以下となります。

  • 解像度:7,680×4,320
  • 視野角:176度
  • チューナー:地デジ、BS/110度CS 各3
  • HDMI:4K対応×4
  • 8K入力:1組
  • スピーカー:フルレンジ(10W×2)、サブウーハー(15W)
  • 外形寸法:幅156.4cm、奥行き9.2cm、高さ91.0cm(ディスプレイ部のみ)
  • 重量:42.5Kg(ディスプレイ部のみ)
  • 消費電力:470W

製品ページはこちらとなります。

 

液晶パネルは文句無し

シャープは以前から他社との差別化のために8Kを強力に推してきました。

しかし、8K液晶は価格も高く一般消費者が買える値段ではなかったため、8K相当などと4K液晶を使った偽物まで販売していました。

今回の製品は本物の8K液晶を使った紛れもない本物の8Kモニターです。

何も問題無さそうですが、いろいろ気になる点があります。

 

8Kテレビとは

まず、テレビとは何でしょうか。

例えばハイビジョン(2K)テレビとは、

  • 2Kチューナーを搭載して
  • 2K液晶に2K解像度で表示できること
  • そしてHDMIからの2K映像も同様に表示できること

と定義できます。

ならば、8Kテレビとは、

    • 8Kチューナーを搭載して
    • 8K液晶に8K解像度で表示できること
    • そしてHDMIからの8K映像も同様に表示できること

となります。

AQUOS 8Kに当てはめてみると、

    • 8Kチューナーを搭載して
    • 8K液晶に8K解像度で表示できること
    • そしてHDMIからの8K映像も同様に表示できること

となり、8K液晶以外、8Kテレビの要件を満たしていません。

 

まず、8K放送は2018年12月に始まる予定です。まだ一般に販売できるような8Kチューナーは存在しません。

AQUOS 8Kは2018年12月予定の実用放送に合わせて発売される別売りの8Kチューナーを繋ぐことで8K放送を見ることができるようになるそうです。

そしてチューナーとの接続はHDMIケーブル4本を使った専用入力端子を使います。8Kの入力はこの端子だけです。

搭載されている外部入力としてのHDMIは4Kまでしか対応していません。想定される規格としてはHDMI 2.0aまたはHDMI 2.0bと思われます。

8Kに対応したHDMI規格など無いのではと思われるかもしれませんが、ケーブル1本で8K映像を伝送できるHDMI 2.1という規格が既に存在します。

存在してもAQUOS 8Kに搭載できなかったのは、まだHDMI 2.1に対応したLSIが存在しないための可能性があります。

他社は最新規格を搭載できない場合、代替え策としてDisplay Portを搭載するのですがAQUOS 8KにはDisplay Portもありません。

8Kで主導権を掴むにはHDMI 2.1を待っておれずケーブル4本での接続で強行することにしたのでしょう。

 

AQUOS 8Kとは結局何なのか

8K液晶は文句ありません。

ただし、一般的な8K映像を入力する手段がありません。

普通にテレビを見ても今は2K放送しか放送されていませんので、2Kを8Kにアップコンバート(16倍拡大)して見ることになります。

1画素を16画素に拡大して表示するため、16画素のうち1画素しか本当の情報が無いこととなります。残りの15画素は本物のように見えるけれど計算で作られた嘘の情報ということになります。

例えるなら、「缶コーヒーを16本買ったけど、コーヒーが入っていたのは1本だけで残りの15本は水だった」と騙されたようなものです。

もちろん、ネット配信での4K映像や8K映像、Ultra HD Blu-rayなど4K以上の映像を見るならそれなりに綺麗に見れると思いますが、あくまで8Kテレビとして見るなら要件を満たしていません。

8K放送が始まればHDMI 2.1搭載は当たり前のこととなります。周辺機器との接続手段を持たないAQUOS 8Kはゴミと化します。

 

まとめ

何としてでも他社に先駆けて8Kテレビを発売し、「液晶のシャープ」を復活させたい気持ちは分かります。しかし、8Kテレビの要件を満たさない製品で消費者を騙す姿勢には問題があります。

特にHDMI 2.1による8K入力に対応していない8Kテレビでは先がありません。

私もHDMI端子が搭載される1年前にプラズマ・テレビを買ってしまい、以後ずっとD端子で運用しなければならないという苦い思いをしました。

新しい技術を搭載する製品は、それに対応する周辺規格もアップデートされます。その規格に対応していない製品を買うと後悔することになりますので十分注意してください。

 

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